42話 結界の異常
僕はあちこちに湧き出るスライムを討伐しながら、レベッカと共に町の入り口へと向かう。
すると、町の外から10人くらいの真っ白な鎧の騎士団が姿を現した。先頭にいるのは、アレンだ!
「あっ、アレン!」
「フィル君! 君のお父上から事情を聞いて急いで駆け付けたのだが……もうかなり収まっているようだね?」
「まだだよ、丁度良かった、今から町の結界の修復をしなくちゃいけないんだけど、このスライムたちが厄介だからアレン隊でやっつけてくれる? 武器では直接触らない方が良いよ」
「了解した。皆聞いたな、主に町の入り口のスライムを討伐。必ず属性をエンチャントしてから戦え!」
「了解!」
アレン隊のみんなは瞬時に散っていった。
「俺はフィル君と一緒に結界の確認をさせてくれ」
「うん、ありがとう!」
僕はレベッカと新たにアレンを仲間に加えて町の入り口に設置してある結界の確認をした。
「割られてる……!?」
結界に埋め込まれていた魔石は中心がえぐられるように割れていた。
「そうだな、何かで殴られたようだ」
「ふぇぇ、誰かがいたずらをしたって事ですか……?」
泣きそうになりながらそう言うレベッカに対し、アレンが「町の結界を壊すなんてイタズラじゃ済まないぞ……」とため息をついた。
「それにしてもいつ割られたんだろう? 何ヶ月も前に割られてたのかな……? こんなにすぐに町の中に魔物が湧くとは思えないけど……」
それに、スライムの存在が気になる。
「確かにそうだな、他の結界も直しつつ、よく調べてみよう」
そう言うアレンに僕はうんと相槌を打って、他の結界も直して回った。
街の中の最後の結界を直したとき、レベッカがある痕跡に気が付く。
「あれ? フィル様、アレン様。ここ、何かが塗られたような跡がありますね……」
「何!?」
「あっ、本当だ、れべちゃ、ナイス」
えへへ、と照れるレベッカ。
「よし、この布で拭き取って王都に持って帰って鑑定をしてみよう。もしかしたら魔石に森でフィル君が拾った物と同じものかもしれない」
と、アレン。僕もそう思う。
「そう言えばアレンはその鑑定結果を持ってきてくれたの?」
「そうだよ。ついでに調査をしようと思ってたまたま10人の部下を連れていたのが、こんなところで役に立ってしまったよ」
「そうだったんだ。スライムは厄介な相手だから強い部隊が来てくれて本当助かったよ。鑑定結果は後でね、町の結界も治ったから、僕たちはこのままアマツ山に結界を張りに行くよ」
これでスライムや普通の魔物の湧きも止まるはず。
「了解。俺の部隊もこのまま同行しよう。山全体に結界を張るのは骨が折れるだろう」
「ありがとう。一応今回はペリドットとアマツ京に面してる南側だけ結界を張ろうかと思ってるけど、それでも重労働なのは間違いない」
僕たちはスライムの湧きが止まったのを確認すると、念の為町の防衛にグレンとフウガを残した。
入り口で防衛を続けてくれていたサクラとカグツチとも合流をし、大量の魔石を運んでくれるペリドット騎士団とアレン隊と共にアマツ山へと向かった。




