32話 祝☆騎士団結成
僕たちは王都の武器屋で軽い魔道メイスと軽い魔法杖を1本ずつ、更に魔道書屋で“付加の魔道書”を買った。
そして僕はガーネットの町へと戻る馬車の中で見た目を貼り付けるエンチャントを行った。
レベッカは武器が2本持ちになってしまったので、少しでも彼女の負担を軽減するために魔法杖も軽い物を貼り付けたのだ。
そして馬車に乗っている間中、レベッカがひたすらに魔道書を熟読していた。彼女は本当に頑張り屋さんだ。
⸺⸺
夕焼けの空が広がる頃、僕たちは町のみんなに出迎えられて、ガーネットの町へと帰還したのであった。
⸺⸺ガーネット領主の屋敷⸺⸺
家に入ると美味しそうな匂いが漂ってくる。お母様が何か作ってくれているのかな?
「ただいま!」
「ただいま戻りました!」
みんなでダイニングへと向かうと、テーブルいっぱいにピザやチキンなどのパーティ料理が並んでおり、お父様とお母様が優しく迎えてくれた。
「皆、お帰りなさい。皆のその顔は、上手く登録できたようだね」
と、お父様。
「ふふん、登録だけじゃなくて、僕たちすごい人たちに会っちゃったもんね!」
「まぁ、どなたにお会いしたの?」
「アレン・ヴァレンタイン聖騎士部隊長に会ったんすよ」
と、グレン。僕の両親は声を揃えて「「アレン!」」と嬉しそうな声を上げた。
「ウォルター団長にもお会いしたのじゃぁ!」
「お兄ちゃんがレオ部隊長と喧嘩して……ボコボコにした……」
「ちょ、ライカ、それは言わなくていい! あっ、れべちゃ姉さんがレオから魔道メイスをプレゼントされて、デートに誘われてましたよ!」
「フウガ様もそれは言わないで下さい~!」
みんながあまりにも楽しそうに報告をするので、お父様もお母様も驚きながらも顔を見合わせて笑っていた。
みんなで口々に報告をし、ご馳走を食べ、ガーネット騎士団の結成を心から祝った。
僕はみんなの楽しそうな顔を見て、ようやく僕の夢が叶ってきたことを実感する。僕ひとりだけじゃなくて、みんなで幸せになる。これを更に町全体、領内全体へと広げていきたい。
なんだか、楽勝で出来ちゃうような気がする。だって、僕はひとりじゃないから。
⸺⸺
僕の部屋を男子寮、レベッカの部屋を女子寮としてそれぞれ2段ベッドが追加されており、自然と僕の家を拠点とすることになったので、玄関に“登録証”を飾った。
後々仲間が増えた時のために“宿舎”も必要だ。でもまずは領内の見回りが先か。なんにせよ騎士団の結成はまだまだ始まりに過ぎない。
明日からまた忙しく、でも楽しい日々が始まるのかと思うと、僕は興奮してなかなか寝つけなかった。




