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小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜  作者: るあか
第二章 騎士団の結成

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23話 魔石の森の異常

⸺⸺魔石の森⸺⸺


「おい。この森、昨日とは全く雰囲気が違うぞ」

 森に足を踏み入れるなり、グレンがそう言って刀の(つか)に手をかける。

「あちゃー、やっぱ予感は当たったかぁ……」

「あちこちから魔物の気配がしますね!」

 と、フウガ。

「ひぇ……なんで急にこの森がこんなことに……」

 涙目になるレベッカ。確かに、僕は3歳くらいの頃からほぼ毎日探検していたけど、こんなことは初めてだ。これは、明らかな異常である。


「みんな、この森はそこまで広くはないから、手分けをして魔物を倒してほしい」

「御意!」

 鬼のみんなは声を揃えてそう返事をする。すごい、なんて整った部隊なんだ。更に僕は森を見渡しところどころ草木が枯れているのを見つけ、こう付け加えた。

「一つ注意事項。ぐれちゃの刀をボロボロにしたスライムだった場合、武器を直接触れさせない方がいい。だから、ぐれちゃとすずちゃに雷属性をエンチャントする。それで上手に戦って」

 フウライは初めからそれを自分で出来るから問題はない。

「おう、頼むぜ」

「了解じゃぁ!」

 グレンとスズランが武器を構えたのを確認すると、僕は木の杖を使わずに魔法を放った。

「エンチャント!」

 エンチャント魔法は魔法杖だとかえって上手く発動が出来ない。本当は“魔道メイス”って武器があれば一番良いんだけど……。


 僕の両手から出た魔力の光が2人の武器を包み込むと、すぐにどちらの刀身からもバチバチと電気が飛び散った。

「おぉ! ライカみたいじゃぁ!」

「これをフウガがやってるみたいに斬撃飛ばして戦えば良いんだな!」

「そゆこと! じゃ、こーどー開始!」

 パンッと手を叩いて始まりの合図を鳴らすと、4人の鬼たちは一瞬でその場から居なくなった。

「はわわわ……みなさんすご過ぎですぅ……!」

「れべちゃは僕と一緒に魔水晶の泉に行こう」

「はい!」


⸺⸺魔水晶の泉⸺⸺


『フシューッ……』

「ひぇぇ! 昨日のスライムが……!」

 ガタガタと震え出すレベッカ。その泉の周辺には、昨日見た巨大スライムだけではなく小型のドロドロスライムも大量に集まっていた。辺り一面の草木はすっかり枯れてしまっている。

 そして泉に浮かぶ巨大な魔石を見ると、黒くモヤモヤしたものを放っていた。昨日はこんなふうにはなっていなかったのに!


「とにかく、まずはこいつらみんな倒さなくちゃ」

 木の杖を構えて初級魔法を連射する。雑魚ばっかりなので、一瞬で辺りのスライムたちを一掃することが出来た。

「フィル様お見事ですぅ~!」

「よし、この間に魔水晶に結界を張る!」

 僕は魔水晶に手のひらを向けて、カグツチに結界を張った時と同じ魔力を手のひらから放出した。

 これは、魔障に耐性のある性質の魔力に自身の魔力を変換させた後、それを魔水晶にエンチャントしているのだ。


 魔水晶から黒いモヤが少しずつ抜けていっている。よし、これなら……。

 そう安心した瞬間、再び地面からドロドロスライムの大群が湧き出ててしまう。

「フィル様! またあのスライムが!」

「くっ……!」

 右手で魔水晶に結界を張りながら左手で攻撃の魔法を撃とうとすると、急激なめまいに襲われ結界を張る手が止まってしまった。

「うっ……!」

「フィル様、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫……ちょっとクラっとしただけ」

 前世では両腕で違う性質の魔法を扱えたけど、この身体ではそれは出来ないらしい。

 それなら、またスライムの討伐を先にしなくては。


 再びスライムを攻撃魔法で一掃し、魔水晶に結界を張ろうとすると、黒いモヤの量が初めの量まで増えていることに気が付いた。

 これはマズい。一定量の結界の力を一定時間送り続けないといけないんだ。

「困ったな……」

 きっとこの調子では、散らばっているみんなのところにも再びスライムが湧き出てしまっているはずだ。

 とにかく次にスライムが湧き出て来るまでに結界を張り終えるしかない。そう思って再び結界を張るための魔力を魔水晶に送る。すると、レベッカが僕のすぐ隣で僕をジロジロと見ながら魔法杖を構え始めた。


「れべちゃ……」

 彼女は難しい顔をしながらうーん、うーんと試行錯誤をしている。

 彼女の魔力の流れを集中して感じ取ってみると、彼女の魔力そのものが魔障に耐性のある性質のものだと言う事に気が付いた。

「れべちゃ! 魔法杖しまって!」

「ふぇ……やはり私では……」

「違うんだ! 魔法杖がれべちゃの魔力を邪魔しているんだ!」

「えっ……あっ、はい!」

 レベッカは魔法杖を背中に収めると、両手のひらを魔水晶へと掲げた。

 その瞬間、サラサラと流れるように真っ白な魔力が魔水晶を覆い始めたのである。

「いける……! れべちゃ、魔水晶は任せたよ!」

「はいっ!」

 レベッカのおかげで解決の糸口を見つけた僕は、辺りに湧き出るスライムの討伐に専念した。


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