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序章
あれは、5年前の6月30日。
15歳を迎えた沫時真が出会った運命。
誰もいない美術館の展示室。
飾られているのはただ1つの作品。
タイトルプレートには『天使』の文字。
巨大な鳥籠の中。無表情な人型の生命体は不思議な色の瞳を持ち、背中には白い羽があった。
手に入れたい、なんて思わない。
ただ、自由に羽を広げる君を見てみたい。
何にも邪魔されない場所で、話してみたい。
そう、思っただけ。
僕の”願い”で盗んだのに「ありがとう」と言ってくれた君と、
静かに暮らしたいと思っただけ、なのに。
その日、人間と天使の戦争が始まると知った――――。
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