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世界はゲットーだ!  作者: TREND MONGERS
混乱の始まりと終わり
6/6

銃声

 パァン……


一発の銃声が、寂れた市街地に小さく響き渡る。


一行は連邦軍からはぐれ、合流を目指しあちこちさまよっている最中で、この時アーラは隊を離れ、地下壕を拠点に一人で物資の探索を行っているところだった。


ここへきて一週間にもなるが、最近はあまり攻撃も受けていなかったので、この小さく、間抜けた、緊張感のある音はアーラを警戒させた。


「このあたりももうダメだな。さっさと伝えに戻らないとまずい」


目前の景色に背を向け、歩き出す。

そこに続けて、静寂の中にヘリのプロペラ音が割り込んでくる。


「まただ。間髪入れずにきやがる。」


つるっとしたヘリの側面には、"COMMONWEALTH"とある。結構な低空飛行からか、凄まじい轟音だった。

通り過ぎて行ったヘリの正体を、アーラは知っていた。


 そのまま歩きながらも、このことを伝えるため携帯電話を取り出し、ソーニャへと繋げた。


「もしもし?コモンウェルスのヘリが通って行ったのを見た。ここにも雨が降るぞ。すぐ戻る。気をつけてな」

「了解」


素っ気ない返事の後すぐに電話が切れた。電話では最低限のことしか話さないのはいつも通りだが、普段は急に切ったりはしない。でもまあ、状況が状況だから、余裕がないのも無理はないと思い、先を急ぐことにした。


「あ……銃声のこと言ってなかった」


ヘリはともかく、あの一発の銃声は不安を引き起こした。今まで敵の気配のしなかったこの地で、出所の分からない銃声はたとえ一発であっても安心できない。


 アーラは地図へさっと目をやり、改めて帰路を確認し直すと、走り出した。

物資のためのかばんはまだ軽い。それでも急いで戻らねば。それに今の最悪の気分、不安、怒り、さらに悲しみさえあるこの気持ちを晴らすためにも走る。ただ、それでも、いくら速く走ろうとも、正体不明の不安は増していくばかりだった。心臓の鼓動が異常に速くなるのはなぜだ?不安からか?急ぎすぎか?訳が分からなくなりながらも足は止めず、正確に道を辿ってゆく。


とにかくアーラは虫の知らせに身を任せ、仲間のもとへ向かった。

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