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開幕へ向かう者達(3)

遂に対抗戦が開始された。

対抗戦は学年ごとでおこなわれる。

一日中闘技場から声援が消えることがなく、その決闘の多さに試合は夜更けまで続いた。


レイアは観戦席にいた。

流石にレイアは体力が持たないという理由でバディを組まずに見学していた。

バディ相手に迷惑を掛けてしまうと思ってのことだ。


レイアが応援していたのはザックとライアンだったが二人とも一回戦負けし悔し涙を流していた。


「二人ともよく頑張ったよ」


「くそー全然、練習通り動けなかったー!」


「連携ってなかなか難しいものだね……」


ザックもライアンも大きな怪我はなく、レイアは安堵していた。

対抗戦では皆が授業で学んだことを全力でぶつけ合う場のため、大怪我を負うものは少なく無い。


「しかし、まさかアルのやつがシードなんて」


「二つ名持ちだからね」


「姉様が誰かに二つ名を与えるなんて珍しいよ。よほど気に入られたんだね」


ザックとライアンはレイアの顔を見る。

二人もセレン・セレスティーの噂は聞いたことがる。

スタイルが良く、かなりの美人で社交界では色んな人間から声を掛けられた話は有名だった。


「羨ましいなぁ」


「まぁ私たちには一生縁のない話しだね」


レイアはその話を聞きながらニコニコしていた。


「でもレイの姉さんの二つ名変じゃないか?」


「そういえば"魔人殺し"なんて誰がつけたの?」


二人の疑問は当然だった。

二つ名は殆どが二文字でこんないびつな二つ名は聞いたことながない。

その質問にレイアは平然と答えた。


「姉様だよ」


「は?」


ザックとライアンは顔を見合わせる。

二つ名持ちの本人が、二つ名を自分に付けるという意味がわからない話だった。


「姉様は元々二つ名は持ってなかったんだ。左遷先にいた前のシックス・ホルダーと喧嘩になって倒しちゃったんだよ」


シックス・ホルダーになるためには2パターンある。

他のシックス・ホルダーから二つ名をもらい、四人でトーナメントして優勝するか、現シックス・ホルダーと戦って勝つかだ。

後者は前者より稀で恐らく歴史上でそれをやってのけたのはセレンくらいだろう。


「マジで強いんだな……そんな人から二つ名もらえるなんて、アルのやつはどんだけ強いんだよ……」


「一人で魔人を倒すくらいだからね……」


「最近届いた姉様の手紙に書いてたけど、あの姉様が"私の隣に置いておきたい逸材"って書いてたから、多分相当な強さなんだろうね」


ザックとライアンの二人は言葉を失っていた。

魔力が無いに等しく家柄も最低、さらに素行も悪くて教師から目をつけられてる問題児のはずのアルフィスの存在は異様そのものだった。


聖騎士や魔人も倒し、挙句の果てには下級貴族で二つ名をもらうというのは前代未聞の出来事だ。


「そういえばアル君、面白い話をしてたんだよ」


「なんだ?」


ザックが食いつく。

ライアンもその話は気になる様子だ。


「火の王に挑むと」


ザックとライアンは絶句した。

火の王に挑むということは"勝つか死ぬか"どちらかしかない。

火の王に挑むために火の塔に入って帰ってきた人間は一人もいないというのは火の国に住む者ならみんな知ってる。


だが、そんな話を聞いてもザックとライアンはいつものネガティブな軽口は叩かなかった。


二人は感じていた。


"アルフィスならやってのけるかもしれない"と。




_________




アゲハは寮の自室に篭っていた。

エンブレムの新しい力を修得するためだった。


「ついに……できた……」


アゲハは右手の甲の痛みでベッドに倒れ込む。


アルフィスの母であるアメリアから教えてもらったエンブレム形状変化の方法は二つある。


展開後、円形であるエンブレムの伸縮。

広げたり縮めたりできるというもの。

リナと戦った話を老人にした時に"矛盾している"と言われたが、これで合点がいった。


リナの頭スレスレを通った風の刃がエンブレムに掻き消されずにアルフィスに直撃していた。

つまりリナはエンブレムを縮めて風の刃の通り道を作っていたのだった。


二つ目はエンブレムを展開し、円形が広がりきった瞬間にエンブレムの形状を完全に変更させる。

こうなれば自由自在にエンブレムの形は変わる。


ただ問題が一度円形ができてしまうと、もう形状変化させられず、エンブレムを解除してもう一度おこなわなければならない。

エンブレムの再発動には時間が掛かるためリスクがある。

この広がりきるタイミングを掴むまでにアゲハは何回エンブレムを使ったかわからなかった。


だがアゲハはこの短期間でエンブレムを完全形状変化をさせる技術をマスターしたのだった。



中庭



ベンチに座って空を見上げているアルフィスに一人の女性が近づいた。


「お待たせしましたね、アルフィス」


アルフィスはその声の元を見ると疲れ切った顔のアゲハがいた。

それを見たアルフィスは笑みをこぼした。


「アゲハ、ようやく来たな」


アゲハも笑みを浮かべ、手の甲の黒くて濃く描かれた蝶のようなエンブレムを見せた。


「あなたのお母様の想い……形にできました。いつでも戦えます」


「そうか……んじゃ行くとしますか」


アルフィスは勢いよく立ち上がり、アゲハと共に闘技場へ向かった。

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