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《3章過去編》完全無欠のサイキョウ勇者の攻略法  作者: MeguriJun
4章【氷雪の記憶 Crystal Of Snow Memory】
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EX2ー1【出会い】

「これが……人界っ!」



魔界から人界に続くガイアの魔穴を抜けた先は圧巻の光景が広がっていた。

周囲は白銀の世界に変わり、外の世界を初めて見ることも相まって広がる光景に自分自身が少し高揚しているのを感じた。

そんな感動も、背中で感じる少しの身震いで我に返る。

確かに、この寒さは赤子には堪えるだろう。

背負うミクを一度降ろし、毛布に包みギュッと抱き抱える。

暖かくなったのか、毛布の中から俺に手を伸ばそうと笑顔でモゾモゾする。

少し頬が緩む

こんな表情、フウには絶対見せられないと首を振り、気を引き締め町なり村なりを探し始める。



かつて、この世界には剣や刀といった武器で世界を制した戦闘大国があった。

そう、あったというのはもう既にないという事である。

完全上位ともいえる【能力】や【恩恵】により、時代の中においてかれた技術の一端。

しかし、その中に置いても、その技能は時間と共に磨かれていっていた。


カンカンカンッと鐘が鳴る。

ここは、首大国からだいぶ離れた片田舎の町…

そのはずれに二人は立つ。



「とりあえずは…ここに泊めさせてもらおう…」



時期も悪ければ天候も悪い…

ここは論外…

できるだけ早くに、長期滞在できる拠点を見つけたいが、急いてミクに何かがあってはそれこそ本末転倒。

そんなことを考えながら宿を探しに町を探索していると、ドンッと大きな音と共にドアが思い切り開き、

中からまだ20前半程の男が外へと吹き飛ばされてきた。



「てめぇぇぇええっ!!!…何しやがるっ!?

 こちとら金を払ってる客だぞっ!!!」


「客だからって何でもしていいわけじゃねえっ!

 他のお客様の迷惑なんだよっ!

 お前みたいのは、村からさっさと出ていきなっ!!!」



苛立ちを隠せない男の両手の爪先がキラリと光り、鋭利な刃物の形状へと姿を変える



『あれは、《爪牙マキアージュ》…』



他界攻略会議で見た、指南書での能力一覧を思い出す

人界の能力は、そのほとんどが自らの身体を強化するタイプに特化する。

この者は、新陳代謝を一部限定的に強化向上させるタイプらしい…

見て見ぬふり…というわけではないが、来て間もない村の知りもしない者。

そんな人の為に命をかける必要もないし、ましてや背中にはミクが静かに眠っている。

真の正義がどういったものか、完全に理解はしていないが、今何かをするべきではない…

その場から離れようと踵を返すと、暴れ出した男が邪魔とばかりに近くにいた女性を突き飛ばす。

吹き飛ばされた女性は勢い余ってドンッと肩にぶつかってくる。


”……この野郎ぅ……”


その瞬間、グンッと怒りが沸点を振り切る

女性に手を出しただけでなく、間違えればミクに当たっていた可能性もある…

《ミクを危険に晒した…》

それだけでもう、死罪案件である…

「離れていろ」とその女性に声をかける。


突き飛ばされた女性は視る

突き飛ばしてきた男への恐怖はもはや微塵もない

あるのは眼前の恐怖…

後退りする足さえも重い…震えてまともに動かない…

それほどまでに禍々しいオーラが、その少年の背から立ち込めていた。

そしてもはやこれは比喩でも表現法でもなく、目の前で間違いなく少年の手の周囲の空間が捻じ曲がっていた。

獲物を狩るような瞳が、そっと対象の男へと向けられようとした時、1人の初老が少年の肩に手をやる。



「坊主、見ない顔だが放浪者か?

だったら何もせずに見てなっ!」



その言葉で我に返る。

来たばかり早々、目立つ行動は控えないとと反省しつつ、

自らで治めようとした事の顛末見守る。

向かい来る男に対し、亭主はやれやれといった表情で頭を掻く。

あわや接触する程の距離へと近付いた刹那、スッと亭主は突っ込んでくる男の横をすり抜ける。

体勢を崩しそうになりながらも再度向き直り突っ込んでいこうと指を構えたその時、

ボトボトボトッと鈍い痛みと共に何かが地面に落ちる。

その自身の身から離れた部位に男は悲鳴を上げる



「おいおい、情けない声をあげるなっ…命があるだけありがたく思えよっ…

 武器を構えた時点で、命を賭ける覚悟をしろ!

 ましてやこの”国”で能力を見せるなんて…命知らずにも程があるだろ?」



血だらけの手を抑え、逃げるようにその場を後にする男

その男を見守る亭主と…その周囲の人々…



「なんだアレ…

 一介の一般人じゃないだろ?

 アイツも…あの周りにいた人々も…」


「よく気付いたなっ!

 坊主、覚えておきなっ…

外の世界じゃ妖の力が広まっていると聞くがこの”国”では関係ない。

 その一振りで全てを斬り伏せるこの国を他国の大名はこう呼ぶ『東国、刀の国』」


「国っ?さっき、アイツも言ってたな…それほどの規模には見えないが…」



まだまだ若いなっ!と頭をポンポンと叩かれる



「土地が広けりゃいいわけでもないし、人が多ければいいわけでもないぞっ!

 要はそこに生きる人の質…そして生き方よ!

 遠い昔のサムライの名残り…

 しかし、言葉遣いや生活が変われど、心の在り方までは変わらない。

 この国においては刀こそ全て…そしてそんな我らに手を出せないからこそ、この国が国である所以なのさ…」



自信満々に自身の住む”国”の自慢をする男の横をスルリと掻い潜り、

「おやっ?」と言わん限りに一人の30.40程の中高年が近づいてくる。

警戒するのを余所にその視線はある一点に向けられていた。



「おいおい小僧その刀……どこで手に入れたんだ?」



マジマジと顔を覗き込む



「その刀は最上大業物、天中八宝が一振り”桜花一閃”……

 この街の僻地で暮らす変わり者、鴨河善一の傑作じゃないか?」



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