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《3章過去編》完全無欠のサイキョウ勇者の攻略法  作者: MeguriJun
3章【過去編】未来(ミライ)日記
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EX1-5【終わりと始まり】

「とうとう、フウ達二人きりになっちゃったね…」



あれから、幾月が流れたのだろうか…

古くからの仲間達は次々に命を落としていき、実験は行き詰っていた。

そしてついに予見されていた事態が起こる


【第4次種族間大戦】


これにより実験は凍結。

残された4人は余裕がないとのことで同じ部屋に押し込まれ、何もされないまま一週間が過ぎた。

それは延命の処置もされないことを意味し、

部屋に入って二日目にはNO15521号、そして一週間目の今日先程NO16380号がその命を散らせた。

皆、他種族の複合する異常魔力と強制覚醒による能力の暴走で半年ともたずに死んでいった。

残ったのは魔力欠乏症により能力暴走の起こらない俺と、未だ能力覚醒しないフウのみだった。

そのフウでさえも、人族をベースにした未完成のクローン技術という代償のせいか、

日増しに弱っていき、寝込みがちなっていた。


そんな折、少女は突如その重い腰を上げ、起き上がると部屋の片隅にまとまってある荷物を漁る

ふらつく彼女を目の当たりにし、慌てて近付こうとすると、振り向いた彼女の手には、

目を盗み、隠れながら事前に削り作り出したであろう石のナイフがあった。



「ねぇ、ミライ……

 フウの最期のわがまま、聞いてくれるかな?」



その時の彼女は一体、どのような表情をしていたのだろう…

寂しそうな…

苦しそうな…

その時の俺は、そんな風に見えていた。

虚ろな瞳の中にある、その光に気付くことがないまま…



「フウはね…実験の最中、培養液の中で朽ち果てて死んでいくのは嫌…

 このまま崩壊が進んで崩れ朽ち果てるのも嫌…

 だからミライ……

 私の心中に付き合って…」


「…………それはできない。

 俺という半成功例が生まれたことによって実験は加速度的に進められた。

 捕まった人達も、多くのクローン体も…お前達を生み出したのは全て、俺の責任だ。

 死ぬのが怖いわけじゃないし、お前とならそれも悪くないのかもしれない。

 でも、俺は何も為せていない…何も残せずに死ぬことだけは許されないんだ!

 先に逝った奴らの嫌悪も憎悪も怨念も……全ての想いを背負った俺は、簡単に死ぬという安息に逃げちゃダメなんだ。

 俺は生きて、あいつ等の生きた証…決して無駄ではなかったんだと証明していかなければいけないんだっ!」


「そうだね…そしてそれは他でもない、フウがアナタに伝えた言葉…

 でも…どう?

 随分都合のいいな解釈だと思わない?

 犠牲になった人達がそれを望んでいると、本当に思うの?」


「自分勝手でもいい、望んでいなくてもいい。

 これが俺の出した彼等に対する答えだから…

 もう逃げない…

 もう迷わないっ!

 俺は俺が決めた信念の元に生きると誓ったから…」



ゆっくりと手を差し伸べ、彼女へと歩み寄る



「そうして生きることの大切さを教えてくれたのは、他の誰でもないお前だ…フウ。

 だから一緒に考えよう。

 俺は絶対、お前を見捨てないからっ!」


「……もう…遅いんだよ…」



投げつけてくるナイフを左手で掴み取り視線を彼女へ向けるとすぐそばに彼女はいた。

反射的に払いのける形で右手を振るうと、そこには今まで味わったことのない感触が左手にあった。

彼女の両手は俺の左手を握り、そのナイフを自分の胸に突き刺していた。



「…っ!!…フウ…なんで?」


「…ふふっ、フウはね…わ、わがままだ…って言ったでしょ?

 私のことを…忘れてほしくなかった。

 ごめんね。

 アナタに更なる重荷を背負わせてしまって…」



膝から崩れ落ちるフウを抱き支える。

その身体に違和感を感じる……軽すぎる。

触れる身体のその箇所は服越しにグジュリとした奇妙な感触で、人の身体とは到底思えなかった。

お腹の辺りの服をまくり上げる。



「っ!!!……フウ…………お前っ……」



それは目を背けてしまうような姿。

肉は削がれ、剥き出しの折れた骨は通常の形状とは全く異なり、

それですらも、彼女の身体の部位にとってはまともに見える程の、凄惨極まりない状態だった。

そっと、服を元に戻し、伏せた視線を彼女へと向ける。



「……バレちゃったか…

 研究成果を利用して崩れる身体を無理矢理延命措置させていたけど、その代償でね…もう維持しきれなかった。

 フウももう長くはなかった…

 ならいっそう、せめていっそうアナタの手で……死にたかった…」



すぐさま能力による回復を図ろうとするその手を、フウは止める。



「このまま死なせて…

 例え今助かったとしても、身体の崩壊がもう止まらない…」



徐々に崩壊を始める彼女…

その揺らぐ髪から、そっと花の髪留めが落ちる。



「…………ビデンス…」


「あ……バレちゃったんだ…

 うまく誤魔化したつもりだったんだけどね…

 花言葉は……

 調和…

 真心…

 …………そして淡い恋

 ……もう一度愛します……

 姿形は違うし記憶を持っているだけに過ぎないけど、

 アナタにまた巡り会えてすごく嬉しかった…

 多分、これが”恋”なんだとフウは思うの。

 でも私にはそれを自分で理解したり、確認する時間があまりにも足りなかった。

 だからもし、生まれ変わりが本当にあるのなら…

 今度はちゃんと、アナタを好きになりたい…

 好きだとちゃんと、アナタに言いたい…

 だからミライ……生きてっ!

 そして…もう一度フウと巡り会って……

 そしたら今度こそアナタにちゃんと好きって伝えるから……」


「……あぁ、待ってる……

 …ずっと…待ってるから…」



微笑みを浮かべる彼女をそっと抱き締める。

そこから感じた胸の鼓動が、静かに脈打つのを止めた。


界歴0286年○月○日

世界統一計画は最後の実験体…検体番号328号の死亡をもって完全凍結した。



未だ止まらない第4次種族間大戦の混乱に乗じ、監視カメラを破壊すると、

そっと彼女の亡骸を、その未熟で不完の能力で焼失させる。

もう二度と…彼女が誰かに辱められないように……

その瞳に涙の跡はなかった。

俺にはもう、辛いだの寂しいだのと泣き叫ぶ資格を持ってはいないのだから…

俺のせいで失われた命があまりにも多すぎるから…



それから約1年後、俺の運命を変える出来事が魔界に……そして俺自身に起こる


【※大切なお願い】


少しでも




「面白い!」


「続きが気になる!」


「応援してあげてもいいかな」


「更新がんばって!」




と思ってくださった方、応援を是非お願いします(*- -)(*_ _)ペコリ


応援は簡単、たった2、3秒で終わります!




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どうか皆様の数秒を、私に分けてください!




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何卒応援よろしくお願いします!




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 応援ありがとうございます!感謝してもしきれません<m(__)m>


 今後とも面白い話を作っていきますので、楽しんでいってください!



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