EX1-1【世界統一計画】
俺が学園に通い始めた際につけられた二つ名であるが、
言いえて妙なことに、俺の人生は生まれた時から底辺にいた…
【世界統一計画】
60年以上前より動き始めていたこの計画。
魔族・仙族・龍族・人族
4つの種族幾度となく戦い争い、その傷跡を残していった。
理由は様々あり、それこそ人と人が争うのと同じように…
時には奪い
時には憎しみ
時には快楽の為
それこそ、人の数ほどの理由がそこには存在した。
そこで立てられたとあるプロジェクトこそ、今に続く計画である。
種族と他種族が争う!
ならば全ての種族が認める、種族の枠を超え、
世界の争いを治める唯一無二、”最強の絶対王”を造り、力による支配を目的とした計画。
その唯一の成功例として俺は生まれた。
正確には”成功と失敗の産物”とも言える。
その日、全ては動いた。
「こ、これはっ……!!!」
解析系能力を駆使し、得た情報データを見ていた科学者の一人が魔王の元へと近付く。
「王……少しお話が………」
祖父の代から始まったこの計画は、
魔族と仙族のハーフである父クロノ・クロイツと、
人族と龍族のハーフである母アリア・テネシスの遺伝子実験により完成するはずだった。
そして生まれた自分は4種族全ての”族性”を持っていた。
それは今まで、族性反発により相殺されるか、暴走を引き起こすかの二択の中より生まれた希少。
実験は成功した……かに思えた。
しかし、残酷なことにいくら秘めた力が希少でも、それを発動し、繰り出す”魔力”が絶望的になかった。
実験は失敗した…しかし、4種族の族性を持ち未知ながらも能力者…というある意味での唯一の成功例でもあった。
1人の科学者は言った
「紛れもなく成功だ!
”コレ”は我々の希望そのモノですよっ!
全ての種族から成る唯一の成功例……
”コレ”はまだ見ぬ未来を見せてくれたっ!
研究を続けましょうっ
このレベルまで到達できたのだっ…
必ず先にある完全なる生命体を創り出すことができるっ!!!」
誰もいなくなった部屋に一人、男が入ってくる。
頭を当て、ガラス越しに彼は言う
『我々は魔界において最高傑作なのかもしれない…
しかし、同時に世界にとって負の遺産で象徴なのかもしれない!』
その通りなのかもしれない
この日…俺という中途半端が生まれたことにより、他のみんなの地獄が始まる
俺は生まれてからすぐ研究室の培養液に入れられた
俺の魔力総量に目を瞑ってあまりある程に、俺の特異体質が研究員には喉から手が出るほどに貴重だったからだ。
一応全ての種族を血を持つ混血種とはいえ、見た目が全て混ざり合った化け物だったわけではなく、
俺の場合はどちらかと言えば人族と仙族寄りで、更にその中でも人族に最も近い存在だった。
どうやら繁殖に一番成功し、その力が最も強く適した種族が人族だからだ!という見解だ。
色々な種族の血を引き継いでいるためか、ミクのように生まれてすぐの記憶は流石にないが、
自身という意思や記憶を持ち始めたのは他の種族よりも遅く、
人族よりも早い3歳頃より自身が自身として目覚めていた。
3歳を迎える頃には今の自我・記憶を有していた。
記憶にはないが聞き及んだ話では、3年の間に実験も進んだ。
最初は能力覚醒の条件確認の為、無能力者を捕え、また大戦負傷者や孤児が連れて来られ、
実験の被験者とされており、あらゆる試みを行ったとのこと。
その中には目に余る程の拷問などもあり、能力に目覚める前に自我または身体崩壊で、被験者は亡くなっていたらしいが、
この頃には最低限、能力に目覚める程には成果は進んでいた。
また同時期より初めていたクローン技術も進み、唯一の成功例に近い自分の細胞情報を元にクローンを作成。
細胞活性により早い成長を遂げ、最近では外の人々を捕えることなく、実験は行えていた。
しかし、能力に目覚めた者は悉く数日から10日以内にその能力に耐え切れず、暴走・崩壊し、その命を散らしていった。
自分が覚えている最初の被験者番号は10。
その次に意識が覚醒した時には軽く1000を超えていた。
その最初に見た一人、被験者10番名前はアオイ。
まだ俺が生まれて1年も足たず、記憶も曖昧な頃に会ったことのある、見た目は10歳程の少女。
黒く大きな瞳に可憐な容姿。
しかしボロボロの服に、手にはいくつもの針の跡があった。
彼女は言った
「アタシ達も酷いと思ったけれど、もっと酷いことをされてる子がいるなんて…
今…出してあげるね……」
多分その際、めちゃくちゃに押されたいくつものボタンの一つが起動ボタンで俺は目覚めたのだろう。
「眼が開いた…大丈夫?意識はあるの?
アタシはアオノ…真戸羽アオノっ!
逃げる前に貴方を助けてみせるからっ」
その次の瞬間、けたたましい音が周囲に流れ、部屋全体が赤く照らされる。
「ここか!?見つけたぞNO10。
すぐに施設に戻るんだっ!!」
「いやっ!離してっ!!アタシを故郷に帰しtぇ……」
暴れる少女の腹部に男の拳が深くめり込み、少女は意識を失った。
「おい、ミライ様が目覚めているぞ!」
「なんてことをしてくれたんだっ!?
まずいっ…早く濃度を戻して眠らせるんだっ!
覚醒させるにはまだ早い。
局長にバレたら怒られる……だけではすまないぞっ!!!
責任を取らされ、俺らまでモルモットにされかねんっ!」
「人族の”刀月”に進軍を阻まれ下は混乱しているし…今日は一体どうなってir…」
それを聞いた後、俺の意識はまた失っていく。
その後、その少女を見る事は二度となかった
それから2年程経った辺りで、ハッキリと自分が自分と言える意識を覚醒した頃、
目覚めた先には地獄のような光景が広がっていた。
周囲には自分と同じく培養液に浸されて晒されている目を閉じた少年少女赤子達の姿。
そして”ソレ”以外はもはや生物としての原型を留めいないものばかりだった。
培養液の中で意識が生まれてから数日、モニターや研究資料など、目に付くものを読み進め、
個々が発揮していた特別な力を能力、その研究対象者を能力者、
そして生み出そうとしているものを恩恵、更にはそれすらも超える力だということがわかった。
培養液の中は、日に何百回とその中身を入れ替えた
その多くは形を成す前に崩れ落ち、形を成した場合ガラス張りの部屋の中で、
日々訓練と実戦という名の実験に付き合わされていた。
俺の眼前には、ガラス越しの下に広がる実験場らしき場所が見えた。
そこにいる子供達は無理矢理能力を発現・発動させられ、研究員がガラス内に声を飛ばすと、
その個体はある者は炎、ある者は雷といった個々が別々の力を発動していた。
そして、その身に余る力ゆえにその身は傷つき、最終的には血溜まりの中に倒れ動かなくなる。
自然に目醒める者はまだいい。
拷問・恐怖による覚醒
憎悪・憤怒による覚醒
喪失・絶望による覚醒
そこではありとあらゆる覚醒のキッカケになる行為が行われていた
その思いや苦悩や殺意が強ければ強い程に、その身に余る強力な能力に覚醒めやすい
そう説いたのはある一人の科学者。
その科学者の参加により、研究は倫理を犠牲に劇的に研究は進み、
レア能力などの発現が容易に可能となったのだ。
検体者は大きく分けた3つに分類されてた。
上位魔族や大仙人、龍族に匹敵する能力を持つ『希少種』
それ以外に能力に覚醒めた『通常種』
そして、能力に覚醒めた形跡のない者達を『劣等種』
実験で生まれたクローンは、成長促進を上げる培養液の中で一週間を過ごすと、見た目5歳程度まで成長を遂げ、外に出る。
なんでも、それ以上になると成長速度の早さの負担と身体が能力に順応できなくなり、
能力者の見る特別な世界(空間使いなら無意識に感じ取れる空間座標など)についていけず、
発現とともに身を滅ぼしたり、通常より弱い、最悪は脳がついてこれず精神崩壊を起こしやすい。
例えその時が無事だったとしても、身体の成長と共に能力も強制的に強化され、
耐えられなくなった身体は崩壊するか、その能力に呑まれるかの二択の未来が待っていた。
それ故、大人からの能力覚醒での強者は稀だとかなんとか、科学者は言っていた。
俺自身はそういった扱いとは別に”特別”…しかしあくまで”実験体”という妙な扱いをされていた。
つまりは特別ゆえに死なれると困るが、実験体には変わらない…そういうことだ。
長く実験に貢献させる為に、成長促進などはされてはいなかったが、
クローンを創る為の細胞採取は定期的に行われていたらしい。
そして次の段階に入り、細胞採取の必要性もなくなった辺り、
3つの歳になる頃に、俺は培養液から目覚めさせられた。
実験は次の段階に進んだのだ。
しかし、目覚めたからといって何をするわけでもなかった。
先も言った通り、死なれては困る検体のため、外出禁止規制はあったが、
外の環境に触れることで能力や魔力、魔力総量に影響はないかを確認する為だった。
先程は良いような言い方をしたが、3年の間で俺という存在は、言うなれば行き詰ってしまったのだ。
ただ黙々と10畳程の部屋で本を読みふける日々が続いた。
一般的な知識はもちろん、能力やその覚醒、種族などに関しての知識はこの時に得たものである。
幸か不幸か、本の文化は人族が発祥の為、読んだその多くは人族の書いたものになり、
その後の生活に大きく役立った。
魔族は人族とは住む世界が違う
魔界自体、地底深くの劣悪な環境にあることもあり、
魔族の子供は他の動物同様、生まれてすぐにその環境に適応する力と生きる術を遺伝子レベルで組み込まれている。
人より身体能力が高いのはそれが理由だろう。
一応部屋には窓があったが4・5階程の高さに、下の門には常駐兵がおり、抜け出せるような状態にはなかった。
故に、今までガラスの培養液の暮らしから10畳の部屋に生活レベルがランクアップした。
……ただそれだけに過ぎなかった。
結局劣悪の環境には変わりなく、自由とは程遠い生活に嫌気が差してきていた頃、
窓の外を眺める自分に事件が起きる。
「3627の能力はいいよなぁああ!
《烈風》は熱を帯びてるから攻撃にも向いてるし、風を纏って空を飛ぶこともできる。
俺の能力なんてただの磁力操作だぞ!
砂漠でも行って砂金でも集めてろってかいっ?」
外ではそんな何気ない会話で、子供達がわちゃわちゃとしている光景を、ただただ恨めしそう眺めていた
「良いなぁー。
俺にもあんな能力があれば、この狭い部屋から外に飛び出し……
……?
……!?えっ?え``っ……!?」
気が付くと、見ている風景が徐々に、上へ上へと上昇していく。
能力…?
俺の能力は『風』を操る能力?
「うわっ、なんだ?
いきなり俺の能力が掻き消えたぞ??」
先程まで自由に空を飛んでいた者は大地に尻をつき、自身の起きた状況に戸惑っていた。
能力が……使えなくなっている?
「………………」
違う……
自分が使う自分の『風』の能力じゃない!
周囲に巻き起こる風は通常とは異なり、皮膚を徐々に焦がす程の熱を帯びていた。
……熱風……
先程聞こえた会話、今も能力が使えない検体番号3627の様子、そして自身に起きている現象を見て確信する。
自分の今使っている能力は彼の……
そして気づいた時には遅かった
自分以外にもう一人、俺が能力に覚醒めた瞬間を目撃した者がいたことに…
「検体番号……328…?」
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