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《3章過去編》完全無欠のサイキョウ勇者の攻略法  作者: MeguriJun
2章【第5次種族間大戦】
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6-3【帰還】

南半球奥地エアノスミカ最果て…逢魔境ダークホール

その大地は大きく抉られ倒れる暗黒の龍へと少女は近付く…



「そんなことが…!?

 受け入れ難い現実を拒絶して、その上で逃げる訳でも立ち止まることすらもなく前に進もうとするなど異常の境地…

 どんな狂った精神をしているんだ?」


「酷い言われなのですね。

 ただミクはお兄ちゃんが誰かに殺されるなんて絶対にありえないと思っただけですよ。

 さて…もういいですか?

 さっさと片付けて、ミクはお兄ちゃんの元へ戻りたいのですよ」


「ミクちゃんストッオオォォォォプ!!!!!」


「ッ!!!」



握り締められた剣が、まさに横に振られようとした刹那、

周囲1キロには響き渡ったであろうほどの声が辺りに木霊する。

その声の主はうって変わりの華奢な少女。。



「あうぅぅ~、耳がぁぁ~……

 ど…どうしたんですか?

 連絡兼回復後方部隊の音奈が、なんでこんなとこまで…」


「緊急伝令が入ったの!

 ミクちゃん、アナタと………闇龍…貴方に……」


「…お、俺にそちらからの伝令?一体誰が…」


「それが……龍王…グレンノア様からです」



▽ ▽ ▽



「久しいな、アルデウス……

 間に合って安心したぞっ」


「よく言うわっ!

 こんなガキをよこしおいてからに。

 これほど人外、龍族の中でもいないぞ…」


「そうか、その話を聞いて確信した。

 率直に申す

 支王ミク…今すぐ王都への帰還を願いたいっ」



通信機器から映し出されるアルデウスに向けられた視線をミクへと移る

そんな龍王グレンノアの言葉に不満そうな視線を送る



「…なんですか?随分勝手なことを言い出しますね…

 まあ、お兄ちゃんに会うために今すぐにでも帰りたい気持ちは、そらもうありまくりますが…」


「…頂上会議において、突如現れた新たなる魔王…改め大魔王により、

 我々全種族の王とその配下の者達は全て敗北した…」


「はあ?!なんだと?」



龍王の言葉を聞き、割り込むように闇龍は問う



「お前ともあろう者が冗談のつもりか?

 わざわざ通信までしてきた、割に笑えんぞっ!」


「事実だっ!

 現状、残り大魔王が提示した期限があり、3日の猶予があるが、

 それをタイムリミットに種族のみならず、星の生態全ての危機に瀕している。

 現に我自身、手も足も出なかったのを考えれば、かなり現実的な滅亡危機だと思うぞ…」


「……お前にそこまで言わしめるのか?

 龍の頂点に立つお前が手も足も…

 そんな奴がこの世界に…

 このガキといいどうなっているんだ?」


「ちょっと待ってほしいのですが」



先程と違い、今度はミクが会話に割って入る



「で、結局何をどうしたいのですか?

 ミクにソイツと戦えとでも言うのですか?

 この討伐クエストですらも、嫌々参加させられたのに?

 なんでそんなことしなきゃならないのですか?」


「…先程も言ったが、こちらにある最大最強戦力は大魔王により蹂躙されている。

 正直、我自身が本気で戦って勝てる未来が想像できん。

 しかし、もしも仮に勝てる可能性がある人物がいるとするなら、

 奴と同じく未知なる力を持つ其方しかありえん。

 これは依頼ではなく願いだ!

 頼ることしかできんが頼む。

 手を貸してはもらえないだろうか?」



龍王グレンノアがミクに対し、頭を下げる。

龍王の周囲にいる人々はもちろん、闇龍アルデウスが口を半開きにして言葉を失う。

それは、生まれながらにして王の素質を持ち、

その力から最速で龍王へと昇りつめた彼が、他者に対し一度として行うことがなかった行為…

それを見たもう一人がミクに対し、頭を下げる



「俺からも…頼む……」


「闇龍っ?正気ですかっ?

 随分とお人よしなのですね、人ではないですけど…

何を言っているかわかっているのですか?

 仮にも先程まで、あの人の出したクエストで殺されかけているんですよ?

 アナタに当てられた人々は皆、編成の中では下位能力者なのです。

 つまりは最初からミクとアナタを戦わせる算段…

 そして、尚上位能力者を残しているということは、相打ちがベスト…

 そして生き残って疲弊した残りをその能力者が打つ!というのが思惑だったんでしょう」


「あぁ分かっているさ…

 それでもワシは腐っても龍族なんだ。

 あの龍王が…どんな状況においても下げることのなかった頭を下げ、他者に討伐を頼んでいる…

 それがどれだけのことなのか察しがつく。

 先程まで殺し合いをしていた相手に頼めることではないだろうが、それでも頼む!

 ワシが保証する…お前は現在この世界で俺の知る限り最強の存在だ」



ハアーと深く溜息を吐く



「闇龍…アナタはまだ生きている人々にかけられた能力による精神封印術の解除、

 龍王は今後一切、うちのギルドメンバーを巻き込まないこと…

 この条件で手を打ってあげるのですよ。

 でも、戦うのはいいですが、どうするのですか?

 ここからアスフォードに帰るには、どんなに急いでも一週間くらいはかかるのですよ。

 ある程度は走れますが、さすがに海は渡れないですし…」


「残念ながらワシに高速の手段はないぞ!

 元々一人が好きでここを根城にしてたわけだしな…」


「引きこもりのぼっちじゃないですか!

 偉いなら部下の一人二人引き連れてて下さいです!」


「なぜワシは怒られたんだ?」


「ミクちゃんですから…」



現地組があれこれと思案する様子を、龍王は呆れたように見る



「光龍アピスをそちらに向かわせる。

 強力な能力ゆえ、魔力消費は著しいが、最速でそちらに向かえるのは奴しかいない……」


「ん~、現実的ではないのですよ。

 確か光龍の光速は瞬間的なもので、持続性はないはずなのですよ。

 それに、仮にこちらに到着はできても、そちらに向かうのが問題なのです。

 ミク自身、瞬間的に光速に近い速度は出せても、光速飛行に耐えられる自信はないのですよ。

 継続的に高速で飛空移動できる誰かでもいないと……」



ザンッ!

皆が頭を悩ませる。

移動手段に行き詰ったそのタイミングで、

後方から、その場にはいなかった第三者が姿を見せる。



「……なんとか………間に合うかもしれないのですよ」



通信が途切れる



「よ、よろしかったのですか?

 これ程の大事を独断で決めてしまっては…」


「ふんっ、焼きが回ったと自覚している。

 しかし、種族全てが滅ぶよりマシだろう」



しかし、そんな覚悟と思惑とは裏腹に時は無常に過ぎてゆく。

壊滅していく城や都市を見ているだけしかできぬまま、その日は訪れる。

周囲が茜色に染まる頃、大魔王城の前には、集められる限りの戦力を配置し、様子を伺う。



「やはり間に合わなかったか…仕方ない。

 我のプレスなら、あの暴風を根こそぎ吹き飛ばすこともできるっ!

 それを開戦の合図に皆で大魔王を討ち滅ぼす!」


「いけませんっ、お身体に障ります!

 それに、またどのタイミングでブレスを返されるかも分かりません。

 その場合、こちら側の被害が甚大…間違えれば全滅もありえます!」



そんな様子を上空から見ていた者が1人…

気付いた者が指差す先、巨城を覆う《空流エアロストリーム》の前に黒いローブを風に靡かせる者が一人



「素直に死を受け入れればいいものを…

 この期に及んで私の《空流エアロストリーム》に楯突き、我が居城に攻め込もうなどとは愚かしい。

 そんなにも死に急ぎたいならいいだろう……

 ここで貴様達には引導を与えてやろう!」



上空に巨大な暗黒空間が出現する。

その中からゆっくりと姿を現したそのモノに皆が愕然とする。

それは天を穿ち、海を裂き、大地を砕いた新生の宝具

人界、魔界、天界、仙界の中心にある世界を生み出した太古の剣



「これこそ、千年前に天から大地に落とされた神の一撃!

 天地海を割り、今の世界を創り出したとされる神生具っ」


「確かに存在はする……

朽ちたとはいえ形は残っている。

 しかし、創り出せるものなのか?

 そんなもの、あの魔王クロノにもできない芸当のはず……」


「時間には早いが、開戦前の狼煙には丁度いい。

 少しばかり掃除をしておいてやろう。

さあ、震撼するがいい。

 神剣ティタノクトドン!!!」



神が世界を創ったとされる超巨大神剣ティタノクトドン。

今まさに上空より大地へ向け、落下を始めた瞬間、

後方よりダンダンッ!と大地を踏みつけるような大きな音が鳴り響くと、一つの影が空を駆けた。

それは白き獣

まるで空中に足場があるかのように、颯爽と駆け抜ける姿に、皆の視線が集まる。



「本当に……間に合ったのか」



龍王の視線が、後方からその者が走り抜けた先にある神剣、そして巨城の方へ向き直る。


”世界の秩序を守る”

その役割上、群れを形成し複数体の個体が確認されている中で唯一、

大気を司るギフト《大気輝エア》を持つ一体の特別個体。

太古よりその個体のみが転生し、意思を繋ぐ最強最古の狼


原始白狼ルプスニクス


そして、神剣に向かうその者の背中には二人の少女の姿。



「次点着地ポイントから一歩先、上2m先セットなのですっ!!!」



次の瞬間、ダンッ!と強く踏み込む音がする。

大気の見えない足場を踏みつけ、高く飛んだ先は神の剣の最高部。

上空からその影が光を帯びて落ちてくる。



「《全剣》…ワールド…スラァァァァアアアアアシュゥウッ!!!」



上段に構えられた剣が振り下ろされる。

少女の前に広がる黒く染まる空。

それを斬り裂く斬撃が、振り下ろされる剣とシンクロするように大地へと伸びてゆく。

その一閃は空を斬り、大地を斬り、眼前の神剣を斬り裂く……

どころかそれでも斬撃は止まらず、城を囲む暴風を斬り裂き、城を本体を斬る。

そして城後方の暴風を斬り裂くと、霧散する嵐と共に消えていった。


露わになった巨城は縦に一刀両断され、左右へ崩壊を始めると、

途端にその動きを止め、徐々に左右に分かれた城は大きな地響きを上げながら元の位置へと戻り、

無理矢理張り付き崩壊が止まる。



「来て早々に随分な挨拶ですね……勇者っ!」



ズドーーーーン!!!と凄まじい音と砂煙りが立ちこめる中、

超高空より着地をした一人の少女が、立ち上がり顔を上げる。

顔の周囲を覆う黒霧、その中から微かに見える眼光が勇者の視線と合う。



「さぁ、この騒がしい喜劇の幕引きといくのですよっ!」

「いいえ……これから始まる生物達の悲劇の幕開けです…」





【※大切なお願い】


少しでも




「面白い!」


「続きが気になる!」


「応援してあげてもいいかな」


「更新がんばって!」




と思ってくださった方、応援を是非お願いします(*- -)(*_ _)ペコリ


応援は簡単、たった2、3秒で終わります!




このページの下の方にある、☆☆☆☆☆ボタンをポチッと押すだけです! もちろん無料です!




どうか皆様の数秒を、私に分けてください!




皆様のそのヒトポチでモチベーションが爆上がりします☆




何卒応援よろしくお願いします!




>すでに☆☆☆☆☆ボタンを押してくださっている読者様


 応援ありがとうございます!感謝してもしきれません<m(__)m>


 今後とも面白い話を作っていきますので、楽しんでいってください!



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