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《3章過去編》完全無欠のサイキョウ勇者の攻略法  作者: MeguriJun
2章【第5次種族間大戦】
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4-7【理想と現実】

”何かがおかしい”


なぜかいつものように思考が上手くまとまらない。

掴んだはずの思考が、霧散して消えていくような…

それはまるで、眠る直前の泡沫のような…

世界の全てが曖昧な感じ……

頭をブンブンと振り、手で抑える。


目の前には漆黒を纏った巨大な龍が、両手足を大地へとつけ倒れ込んでいた。

一瞬、闇龍による精神攻撃を疑ったが、特にそれらしい痕跡は見当たらないし、

仮にそうだとしても闇龍に関しては、その力の解除は容易に行える。

……やはりただの気のせいのようだ


だがしかし、今に限らず思い返せば、おかしな点はいくつもあった。

搭乗する巨大旅客機の中…

確かに、他のクエストメンバーに迷惑をかけないよう、目立たないように静かにしてはいたが…

この数日、腕に絡めてくる愚妹の手を、解こうとしたことはあっただろうか?

食事の時、差し出してくるスプーンに溜息交じりに嫌々ながらも、それを口にする。

そんなことが、今まであっただろうか?

ミクと音奈が両手を引っ張り、俺を取り合う。

そんな状況において、困り顔ながら笑みを溢す…

そんなことを、今まで俺はしたことがあっただろうか?


おかしい…何かが…


同行した討伐メンバー達は、歴史に残りかねないその偉業に大いに賑わっていた。

盛大に料理を振るうコック。

露出の多い衣装を身に纏い踊る、美女達を中心に円となり、

飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎが行われている。

そんな光景を見ていると、横にいたミクが俺の腕を抓る。



「何を可愛い子達に見惚れているのですか?

 こんな美少女が、側にいるというのに…」


「そんなことない…ないさ……」



こういうのもまあ、嫌いじゃない…

そんなことを思いその光景を少し離れた位置から眺める。


そう……離れているのだ。

いつもなら、そんな行動をしてきたミクの頭を地面に叩きつけている。

こんな平和的な日常風景を、俺は求めていただろうか……

いや…確かに求めていたのかもしれない



「ミクちゃーん、お兄さぁーん!

 早くいきましょう。

 久々に美味しいご飯…食べたいです。」



でも……



「いくぞ、ミクッ!」



俺が選ぶ未来が…



「はいなのですっ!!!」



二人で音奈が手を振るその場所向かい駆け出す…そんな…

未来がこんな…


少し後ろを歩くミクと共に音奈の元へmuk~-0~=…@:.l



”こんな綺麗に続くはずはない”





バリンッッッッンン!!!


世界が弾け、今まで見ていた景色の全てが吹き飛び、その先の新たな景色がその場に広がる。

灰色にも似た景色の中、その中に一人の少女がポツリと背を向けて立つ。



「………えっ?」



少女が気付いた時にはすでに決着はついていた。

背中から血しぶきを上げ、倒れながらも必死に意識を保とうとする少女は困惑気味に俺に問う



「…な…んで…?

 まだ…アナタは私の……能力術中内に…」


「残念だったな。確かにお前の見せた幻想は、俺にとっての理想の道なのかもしれない。

 こうゆう未来も良いという願望・深層の願いなのかもしれない。

 ただ…その”理想を現実にさせないようにしている”俺に、見せるべきではなかったなっ…」


「う…そ……、そんなことで能力に気付いて、自力で抜け出したというの?

 わたくしの…《楽園ユートピア》から…

 それにそんな考え…

 思考で生きてるなんて…

 そんなのあまりにも……」



スッと少女の元へと歩を進める。



「ミライ様、おやめ下さいっ!

 貴方様が何をしようとしているのかわからない…

 でも多分、それは間違いなく貴方様が傷つくことなのでしょう?

 わたくしは今も昔も…貴方様尊敬していて……」


「”ファム”……お前には感謝しているよ。

 今から思えば、お前は俺の暴走を止める為に親父が派遣したブレーキ役だったんだな……

 そしてその任務通り、俺を止めようとしてくれた。

 ”あの”出来事を…記憶を書き換えることで……

 でももう、俺は止まらない。

 止まらないし、止まる気もない。

 ……この世界を一度、完全に終わらせるっ!」



近づいた先でファムへとスッと手をかざすと、

ファムの後部に、黒い吸引を引き起こす球体の穴が空間に発生していた。

暗黒に染まる空間は、 ――ブオオオオオン!!と低い音を立て、

全てを呑み込まんとせんばかりにファムを吸い寄せていく。



「ミライ様っ!!!

 貴方様のしようとしていることは誰も幸せにならないっ!

 ミク様を悲しまっs…」



ファムの言葉が最後まで届くことはなく、

黒い球体の穴はファムを呑み込み、シュ~~~とその場から跡形もなく消え去った。



「分かっているさ、そんなこと。

 ”あの時”から俺もミクも…ハッピーエンドに辿り着かない…」



そして、それを望んで受け入れているのは、他の誰でもない俺自身なのだから…


【※大切なお願い】








少しでも








「面白い!」








「続きが気になる!」








「更新がんばって!」
















と思ってくださったら、








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