4ー6【幻影使いكذب】
「自然を”司る”能力、<能力>の上位に位置される力を、皆は<恩恵>と呼んでいます。
<恩恵>は元々星の恩恵とされ、定められた獣のみに与えられる星を守る為の力でした。
しかし、遥か昔にその獣を凌駕し、その血肉を喰したことで<恩恵>をその身に宿した者…それが龍族です。
<恩恵>は通常の能力を大きく上回る能力効果の他に、もっとも特徴的なものがあります。
それはその力との”同化現象”……自らのに肉体を、使用する能力と同化させることが可能なわけです。
例を挙げるならば、炎の<恩恵>なら自身を炎へ……
水の<恩恵>なら自身を水へと変化・同化させることが可能で、
相手からすれば、術者の姿のない自由自在に操られた力が襲い掛かってくる…
もちろん物理攻撃は受け付けない、まさにホルダー本人自体が脅威そのものになると言えます。
龍族……そして世界を守る為に存在する幻獣にのみ許されたその力は、
それぞれが世界に一つしか存在しない固有のものとされています。
しかし稀に、その力に近い……近づく者がいます。
<能力>でありながら、<恩恵>の領域に達するほどの力…
それを能力の”進化”と言い、強化系である人族にのみ許された力なのですが、
更に、稀少に存在する自然系能力者の人族がその進化を遂げると、<恩恵>に迫る力を発揮します。
人族でそこに辿り着いた者は少なく、かの3代目勇者・炎城寺爆焔もこの力を使い人族をまとめたと言われており………」
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以前に受けた授業内容を思い出す。
能力の進化……烈が到達した領域はまさにそこだった。
ミクが家を出た後に異常な魔力増加を感知した為、すぐさまその場に駆け付けた。
しかし、そこで見たのはそんな力を発揮した烈を物ともせず圧倒したミクの姿だった。
自然系能力が進化した力は<恩恵>にも匹敵し、その一例として能力同化が挙げられる。
剣撃戦を主軸にするミクは同化能力を使われた場合、不利な状況と思ったのだが……
彼女の成長は、もはや自分のあずかり知らぬ領域へと昇華されているのかもしれない…
漆黒の幻影を司る闇龍…
もはやそれすらも、彼女の前では無力に尽きてしまうのかもしれない
そんな風に、感じられた……
……ピリッ!
「っ!?!?」
一瞬電流が走るような頭痛が襲う。
色々心配事が絶えないせいか、疲れが溜まっているのか……
ふと目頭に当てた指をどけ、正面にいるクローとファムへと視線を戻す。
「…で、今回はどのようにしてついて行かれるのですか?
さすがに移動時間・距離共に長期クエストで隠れてついていくのは難しくないですか?」
「そこが問題なんだよな。
さすがに今回は龍王直属の指名だし、ミクや音奈だけでなく、お前からの推薦も必要になるかもしれない」
「それは一向に構いませんが、果たして通してもらえますかね?」
「一応ギルドリーダーでもあるからな、どうにか口利きでやってみるさ」
予想の通り交渉は上手く進んだ。
その条件として、難色を示していたクローの参加。
そしてミク、音奈の希望から無理矢理討伐メンバーへと参加を決めた。
主に前者が大きな要因ではあるが、ギルド【シンフォニットガーデン】の功績やその役職から、
予想より楽に参加メンバーに加わることができた。
クエスト前日の夜、支度の為部屋に戻ろうとすると、何か悍ましい気配がする。
耳をすませると、俺の部屋の中から何かガサゴソと漁る音がする。
先程の件もある…気配を消し、そっと部屋の扉を少し開け、中の様子を見る…
「…はぁ…はぁあっぁぁぁ!
お兄ちゃんの匂いぃぃい♪
今日の充電をぉぉお♪」
「……」
スッ…と部屋の扉を閉じ、額に一指し指を当て眼を閉じる。
俺は一体何を見たのか…
できたら見間違いだと良いな…と思いながら、改めてそっと扉を開ける。
「んにゃ~~~///!
お兄ちゃんのベッド最高ぉぉぉおおお♪
快眠の為ですっ!
快眠の為には仕方ないのですっ♪」
「……」
スッ…と部屋の扉を閉じ、額に一指し指を当て眼を閉じる。
俺のベッドで、悶え転がり回る訳の分からない生物が見えた気がした。
できたら見間違いだと本当に良いな…と思いながら、再度改めてそっと扉を開ける。
そこには先程の悪夢のような光景はなく、いつもの静かな部屋が広がっていた。
いや…これは…
タンスを開け、シャツを数える。
「……」
ミクよ…一着ならまだバレないかもしれないが、なぜ五着もなくなっている?
それになんなら、俺のお気に入りのポロシャツとジーパンまでなくなっているではないか…
ため息が漏れる。
本当に…ミクの将来が本格的に不安でならなくなってきた。
……しかし、俺も同伴するクエストでなぜ俺の衣服を持ち出す必要があるのだろうか?
何か分からない、不思議な違和感を感じつつ、
俺達は最悪のクエスト死四龍:闇龍討伐クエストの為、
南半球奥地…逢魔境ダークホールへと向かった。
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