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《3章過去編》完全無欠のサイキョウ勇者の攻略法  作者: MeguriJun
1章【幼少期】
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プロローグ

界歴0299年



ドォーーーーン!!!と、周囲を焼き払う業火が少女を襲う。

しかしそれを意に介さず、炎を斬り裂くと先にいる大魔王の懐へ潜り込む。


「やっーーー!」


横一閃の剣撃を宙へ飛び、避ける大魔王。

その先にそびえる山々がキレイに真っ二つに斬られていた。

これこそ、彼女が勇者足り得る所以。

史上”サイキョウ”と言われる少女の<能力(スキル)>



《氷河期(コキュートス)》摂氏界召喚っ!!!」



右手を横に振り、大魔王の放った一言で見える全ての景色が氷の世界へと変わる。



「3、2、1…《太陽王(プロミネンス)》白煉の園、召喚っ!」



その瞬間、氷の世界は一瞬で炎の巻き上がる地獄へと変わる。

バキンッ!鈍い音がミクの鎧から響き、次の瞬間には粉々に砕け散っていく。



「なっ!?」



魔を纏う龍の加護を持つ鎧が砕けたことで、白煉の熱波をモロに受ける。

初めて味わう肌のひりつき、火傷のような痛みが全身を襲う。

魔力装の全力を注ぐ二刀を除き、身につける全てが燃え上がり焼失、一瞬露わになった自身の姿に視線が向いた…

…その隙を大魔王は見逃さなかった。

腹部への蹴りに反応し、腕でガードするも、吹き飛ばされ後ろの岩盤に叩きつけられた少女。

すぐさま岩盤にめり込んだ右手を引き抜こうとするも、足で押さえつけられる。



「二本の刀に気を取られ過ぎたな…

 どんな強固な鎧でも金属である限り、超高温と超冷温を繰り返されれば耐久がもつわけがないっ!

 魔力装を集中させ過ぎたのが敗因だ」



右手の暗黒空間から剣が生成される。



「これで終わりだ。………じゃあなっ………」



大魔王の持つ剣が勇者の胸をつらぬいた…

その先から凍結が始まると、その勢いは止まらず、

パキーン!と甲高い音と共に何重もの氷の層が少女の周囲を覆い、巨大な氷岩へと形を変えた。

完全に凍りつくのを確認し、背を向け歩きだした


はずだった。


気付くと大魔王は先程とは真逆方面を向き、足を運んでいた。

思考が止まる。

何が起きたのか全く分からない…

ただ後ろからのプレッシャーにハッと気付き振り返ると、そこには大魔王へ向けて飛び掛る勇者の姿があった。

急な出来事の数々に反応が遅れ、そのまま倒されると、先程とは真逆の状況で、その両手を勇者の両の脚が押さえるようにし、

喉元に剣を突き付けられる。



「な…なんだ!?…何が起きた…………?」


「はぁはぁ、…斬られる…その瞬間の【時間】を斬ったのです。

 ……始点と終点を置いて……時間を丸ごと斬り捨てて…なかったことにしたのですよ…」


「これから過ぎる時間……

 いやっ、”今”から見れば過ぎた時間を斬り裂いたのか……

 規格外にも程があるだろ…」


「ハア…ハア…《空間》を丸ごと召喚する人に言われたくないのですよっ!」



大魔王と勇者の目が合う。

大魔王が何を言いたいのか…

大魔王が何を望んでいるのか…

少女は知っていた…

だからこそ…



「これで…終わりなのですっ!」



剣を両手で握りしめ、力を加える。



「さようなら…大魔王っ!!!

 いいえ…”お兄ちゃん”…」


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