リュード、敵を斬る。
おはようございます。
そろそろリュードの前パーティについてのお話も投稿したいですね。
討伐対象だったドラゴブリンたちは洞窟の入り口付近でつっかえている。
押し合いへし合いを経てようやく一匹のドラゴブリンが洞窟から飛び出してきた。
そんなドラゴブリンにヒスイは容赦なく魔法を放った。
ヒスイの氷魔法にはドラゴブリンを一瞬にして氷漬けにしたのだった。
ドラゴブリンたちはヒスイの魔法を見ても一切ひるまずに突撃しようとしてきた。
そうして洞窟からまた数体のドラゴブリンが飛び出してきた。
しかしヒスイがもう一度指を鳴らすと彼らドラゴブリンたちは氷像となった。
そして手を降り下ろすとともにドラゴブリンの氷像は再び砕け散るのだった。
「私の魔法は氷です。少しはできる魔法使いだと自負しているのですが、いかがでしょうか?」
ヒスイの魔法を見てリュードは感嘆した。
こんな魔法はリュードの前パーティ≪フレアフレイル≫の魔法使いサリーもできなかった。
サリーも氷魔法を使うことができたが
ヒスイの魔法とは違うものだった。
呪文を唱え、魔法が放出する。
そして吹雪を起こす。
そういう魔法の使い手だった。
その吹雪は相手を凍えさせ、足元の動きを鈍らせる。
動きが鈍った相手にラスタが一撃を叩きこむ。
この作戦は≪フレアフレイル≫のよくこなした戦術だった。
リュードが立案し、サリーとラスタの二人合わせた攻撃力で相手を撃破するという非常に効率的な戦術だったのだ。
しかしヒスイは弱いモンスターであるドラゴブリンとはいえ、一瞬で氷漬けにしたのだ。
もしかしたらサリーよりも強い魔法使いかもしれないとリュードの心は少しだけ踊った。
リュードはヒスイの魔法を褒めるしかなかった。
「もしかしたらサリーよりもすごい魔法使いかもしれないな、君は」
「サリーってもしかして、前のパーティの方でしょうか?
今は私の魔法だけを見てくださいね。もうあなたは私たちの≪デュエット・パーティ≫の一員なんですから」
リュードは逆にヒスイに注意されてしまっていた。
自分はもう新しいパーティの一員なんだと。
しかし、どうしても前パーティの人たちは思い出してしまう。
リュードは気を取り直し、ドラゴブリンと対峙しようとする。
「ヒスイにあれだけの魔法を見せてもらったんだ。
俺も今までの冒険者生活で培った技を見せないとだな」
リュードはいうと同時に右手に一本のナイフを構える。
そして洞窟から飛び出してきた一匹のドラゴブリンに向かって
リュードは駆けた。
目にも止まらない速さでドラゴブリンの胴を切り裂く。
ドラゴブリンは首を傾げた。
この男は何をしているのだろうと疑問に思ったのだろうか。
そしてふと違和感を感じたのか、自分の胴を見た。
いつの間にか斬られていた。
その現実に気づいたドラゴブリンはバタリと倒れて動かなくなっていた。
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次話は明日の午前に投稿予定です。