リュード、追放を実感する。
400PVありがとうございます!前作を二日で超えてしまいました。
嬉しいです!
助けた少女、ヒスイと共にリュードはカルボナーラを食べていた。
コカトリスの濃厚な卵の味がよくパスタに絡み合っていた。美味である。
食事をしながらリュードは今に至る経緯をヒスイに話した。
今までパーティの中ではただの攻撃役に収まらず、作戦立案からメンバーの補助まで
様々に行っていたこと。
パーティの重心として戦闘に限らず活動していたこと。
それらを一切顧みず、目先の金と憶測でたてられた話だけで
一方的にパーティを追放されてしまったこと。
リュード達が食事が終わるころにはすべてを話し終えていた。
そして改めてパーティを追放されてしまったことを実感していた。
今後自分がどうしていくかを考え、頭を抱える。
勇者になるためにパーティ≪フレアフレイル≫で建てた手柄は
基本的にパーティとしての手柄となる。
なぜならば個人の俺の実績として見られることはさほどない、
見ることができないからだ。
国としても有力パーティのメンバーを把握こそしているが
個人がどのような活躍をしたのかというのは冒険者という職業上、確認しづらい。
例えば誰がとどめを刺したかなどは比較的わかりやすい。
特に≪フレアフレイル≫は戦士ラスタの大火力の攻撃で
竜にとどめを刺すことを主軸とした戦いをしていた。
ラスタがつけた大きな傷を見れば一目でわかるのだ。
一方でリュードが行っていたことはどれもわかりづらいものだった。
毒によるダメージもとどめをさすための毒でないことがほとんどだった。
竜を一瞬で殺せるような毒はそうそう見つからないからだ。
だからリュードの使用していた毒は動きを鈍らせる毒がほとんどだった。
リュードが動きを鈍らせ、魔法使いのサリーがダメージを与えて
ラスタがとどめを刺す。これがパーティの主軸となる戦い方だった。
リュードはこの戦い方を行うためのプラン立てと他のメンバーの補助、
回復魔法や補助魔法などのサポートも行っていたのだが
わかりづらい活躍は国のように大きな組織だからこそ把握することができないのだった。
リュードのこれまでの実績はほとんど水の泡と化してしまった。
ヒスイに話したとき、自分の置かれた状況を考え直した。
そして改めて途方に暮れるのだった。
竜魔王を討伐するのはリュードの夢だ。
しかし、また冒険者のパーティを募るにしても
今度は信頼できるメンバーが見つかるだろうか
。
リュード自身の活躍を評価せず、目に見える力とお金に目を曇らせるような
パーティはごめんである。
リュードはしばらくは一人で冒険者活動するしかないと考えていた。
一人では活動の幅は狭くなってしまうが、
それでもやらないよりは遥かに良いことなのだから。
それに日銭も稼ぐ必要もある。
先ほど勢いでリュードはラスタたちに所持金のほぼ全てを渡してしまった。
今になって後悔が募る。
そんなリュードの元に食事を終えたヒスイの言葉が降りかかった。
「それなら私の元で働いてくれませんか?私、竜討伐するためのパーティを
作っていますの。そこで私のパーティの一員になってほしいのです」
ヒスイの言葉はリュードには衝撃の発言だった。
一から出直そうと思っていた矢先の話だった。
まさかの展開、リュードのこれまでを聞いてかつパーティに迎えてくれるとは。
「俺はついさっきパーティを追放されたばかりだ。そんな俺でもいいのか?
まずは詳しく話を聞かせてくれないか?」
リュードはヒスイの話を聞いてから判断しようと思うのだった。
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次回投稿は明日の朝の予定です!