黄金王伝 第五章
華やかなりし黄金王
五人の英傑を集い、数多の伝説を築きし黄金王
その名はヘイオス、その武勇、決して古の英雄に並ばず。
黄金王、その智慧、決して古の賢者に比肩せず。
なおも彼が英雄と称される所以は、彼の英傑たちとの絆にあり。
これは黄金王の伝説のその一節、彼らが魔の故郷にて乗り越えし、第一の苦難なり。
「ヘイオス、我らが主よ、此処は我ら、魔の力の淵源なり」
そう言うのは、水竜に因む者、英雄ヌヴィヤ。
「ヘイオス、我らが王よ、彼奴等は我ら、魔より生まれし者なり」
そう言うのは、炎帝ソネルヴェの子、アフェット。
「汝ら、何故我らの道を阻むのか?」
目前に立ちはだかる魔の眷属たちに、ヘイオス、黄金王はそう問いかける。
「理由は一つである。汝、ヘイオス、お前は我らの同族を、相反する者と共に随従させている。神に属する者を連れ立つことは、魔への冒涜なり。ヘイオス、愚かな王よ。お前はどうして魔の力を自身の友から奪うような真似をするのか?」
魔の眷属たち、魔より生まれ、魔で形作られた者たちは、ヘイオスにそう答え、そして問うた。
「魔と神は反するとも、我らは人なり。水と火は互いを消すが、しかし水を持つ者が、火を持つ者によって、その身を蝕まれることがあろうか?見よ、我らが友を。一体誰が、力を失っていようか?」
ヘイオスは堂々とそう答える。
「だが、神は許さぬ、魔も許さぬ。汝らはいずれ裁きを受けよう。神に属する者は、神を喰らう魔の蛇に、魔に属する者は、魔を焼き払う神の雷によって」
魔の眷属たち、なお食い下がらず、ヘイオスを取り囲む。
「ならば、私、魔弓の射手たるティヴィオが、我が主と友に襲い掛かる牙を折ろう。その雷を裂いてみせよう」
疾風の矢じり、ティヴィオがそう答え、弓を構える。
それを見た魔の眷属たちは、皆、爪と牙を光らせ、ヘイオスたちに襲い掛かった。
だが、それを、戦の神、ユーヴェが依る者マデューが、手に持った剣で切り裂く!
海神、クォ・レイフォの子、ピドムートが、その槍で薙ぎ払う!
神の力を持つ者が、絶え間なく襲い来る魔の眷属たちを、次々と始末していく。
「おお、ヘイオスの僕、神の力を持つ者たち!汝ら、魔の者と旅をしていて、何故これほど強いのか!魔の領域にあって、何故これほど輝くのか!」
消えつつある魔の眷属たちが、そのように、マデューとピドムートに問う。
「その問いには、すでに、我らが主、ヘイオスが答えた。我らは共に研鑽し、守りあう友、その絆は決して我らを弱くはしなかった。むしろ、この旅で、我らは更にその力を高めさえした」
二人の答えを聞き、魔の眷属たちは、呪いの言葉を残しながら、ヘイオスらを睨む。
「おお、ならば我らは汝らに災いを残そう。汝らの旅が、闇に覆われ、血に塗れたものになることを、我らが主、深淵の魔に祈ろう」
『黄金王伝 第五章より』




