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04話 Sランク冒険者


「───ふっ!」


 エレナはユウマが作った剣で、ゴブリンの首を一閃して跳ねる。

 ゴブリン焼きを食べた後、ユウマとエレナは北門を出て草原でゴブリンを探し始めた。

 

 5分後にようやく1体目を見つけて、ユウマが創造魔法で剣を作り出し、エレナがその剣を使っているという訳だ。


「1体倒しました!」

「おう、お疲れ」


 エレナを労いユウマは周りを見渡し近くにゴブリンがいないか探していると、ゴブリンと戦っている3人パーティーを見つける。

 

「───“火球”」 


 パーティーの後ろにいる青年が、ボールくらいの大きさの火を、ゴブリンめがけて撃ち込む。

 グガァァァ、と苦痛の声を漏らしゴブリンは倒れる。


「そっか、この世界って魔法があるのか」

「この世界ってどういうことですか?まるで別の世界から来たような言い方ですけど」

「あれ、言ってなかったっけ?俺、異世界から来たんだよ」

「え?………ええええええ!!!」


 ユウマが平然と言うと、エレナは驚きのあまり大声で叫ぶ。

 驚くのも無理はないだろう、まだ出会ってから少ししか一緒に過ごしてないが、異世界から来た素振りも見せていないので、わからないのも無理はない。


「そんなに驚くことか?」

「驚きますよ!だって異世界から来る人って、勇者様じゃないんですか?」

「いや、多分違うと思うけど。だって俺、勇者じゃないし」


 ユウマは自分のステータスに、勇者という言葉がなかったことを思い出し、エレナに言った。

  

「それに俺、そんなに強くないし」

「………え?何を言ってるんですか!ご主人様はめちゃくちゃ強いじゃないですか!」

「そ、そうか?」


 エレナはすごい気迫でユウマに言うが、当のユウマはあまり自覚がないようだ。

 

「ま、まあ、俺が異世界から来たってのはまた今度ってことで、今は魔法について話そうぜ」

「また今度って、そんな軽い話じゃないんですが………」

「とにかく!魔法って誰でも使えるのか?」


 エレナはまだ話したそうだったが、ユウマは無理やり話の話題を変え、エレナは渋々といった形で答える。


「いえ、魔法は誰でも使えるわけではありません」

「そうなのか?じゃあ誰が使えるんだ?」

「基本は魔法使いですが、魔法使いじゃなくてもその魔法の属性が適性であれば、その人はその属性の魔法を使うことが出来ます」

「ふむ、そういうことか。じゃあその適性ってどうやってわかるんだ?」


 ユウマはエレナが言ったことを整理し、その中で疑問に思ったことをエレナに聞く。

 エレナはこんなの常識ですよ?、といった感じでユウマに話す。


「魔法の適性は魔導具屋で見てもらうことが出来るんです」

「へぇ〜、魔導具屋なんかあるのか」


 日本では一度も聞いたことがない言葉に驚いていると、先程ゴブリンと戦っていたパーティーがこちらに向かって来る。


「なあ、この辺にシャドウウルフを見なかったか?草原地帯で探してたんだが、なかなか見つからなくてよ」


 パーティーのリーダーと思わしき青年が、ユウマに話しかけて来る。

 

「シャドウウルフだったら、さっき森の中で倒したぞ」

「マジで!でも森の中か〜、北の森は結構危ないからな」

「シャドウベアーのことか?」

 

 青年の危ないと言っていることが、もしかしたらシャドウベアーなのでは?、と思い青年に聞くと「ああ、そうだ」といった返事が返ってきた。


「じゃあ、大丈夫だぞ。シャドウベアーは森の真ん中くらいにいるから、入ったとこくらいなら大丈夫だと思うぞ」

「そんな情報どっから仕入れて来たんだ?」

「仕入れたも何も、自分で見てきたからな」


 ユウマは平然と言うと、パーティーの青年達はポカン、と呆然といった顔でユウマを見つめる。


「あ、ヤベッ、言っちまった」


 自分で言ったことを今更理解し、また色々聞かれる前にここから立ち去ろうと、「そ、それじゃあ」と言って歩き出そうとしたら、後からガシッ、と肩を掴まれる。


「ど、どういうことだよ!シャドウベアーから見つからずに逃げれたってことか⁉」

「まぁ、そんなとこ」

「そんなとこって、めちゃくちゃすげぇじゃねーか!」


 今すぐ立ち去ろうとしたいユウマだったが、青年はどうやらユウマを離す気はないらしい。

 だが、このままだとまた話が長くなりそうだと判断したユウマは、無理やり肩に置かれた手をどけて、青年に向き直る。


「とにかく、そういうことだから。じゃあ」

「え、ちょっ───」


 青年が何か言う前に、ユウマはエレナの手を引き、全速力でその場を離脱する。

 青年のパーティーが見えなくなったので、ユウマとエレナは足を止め、呼吸を整える。


「ようやくまけたか」

「はい、そのようですね」


 ユウマは周りを見渡し、先程のパーティーがいないのを確かめると、ゴブリン探しを再開する。


 5分もしない内に2体のゴブリンを見つけると、エレナは一気にゴブリンに接近し、1体のゴブリンの首を跳ね、振り向きざまにもう1体のゴブリンの右肩から左脇腹にかけて斬り込み、ゴブリンを倒す。


「これでゴブリン3体倒せたな」

「はい、冒険者ギルドに報告に行きましょう」


 ゴブリンを無事倒したユウマとエレナは、冒険者ギルドに足を進めるのだった。


 ✼


 冒険者ギルドに着いたユウマとエレナは、ある異変を感じていた。

 

「なあ、何かざわざわしてないか?」

「はい、ざわざわしてます」


 そう、ユウマとエレナが冒険者ギルドに入る前からざわざわしており、何に対してざわざわしているのかわからないユウマとエレナは、何が起きているのかさっぱりという訳だ。


 それでも依頼の報告はしないとエレナが冒険者になれないので、ユウマとエレナはリーンのいる受付に行くことにした。


「リーンさん、依頼達成の確認お願いします。あと、何かあったんですか?」

「あ!やっと来た!」 

「え?ど、どうしたんですか、いきなり」


 いきなり大声を出したリーンに驚いたユウマは、後ずさりどうしたのか質問する。

 

「どうしたもこうしたもありませんよ!ユウマさん達を待っていたんですからね!」

「え?待ってたって何で?」

「シャドウベアーがいたところに案内してもらうためですよ!そのためにSランク冒険者である、セナさんに来てもったんですから!」


 そう言うとリーンの後から赤い髪をストレートに下ろし、目はキリッとしていて、胸は服の上から来ている銀色の鎧に負けじと主張している。

 リーンさんに負けないくらいの美女で、クールな感じだ。


 鎧も重装備というより、軽さを重視した軽い装備をしている。

 そして何より目を引くのは、腰に下げている2本の剣だ。

 1本は白い刀身の剣で、もう1本は凍りつくような青い刀身の剣を腰に下げている。


「Sランク冒険者のセナだ。よろしく頼む」

「Dランク冒険者のユウマです。こっちはさっき、試験のゴブリンを倒してきたエレナです。よろしくお願いします」


 Sランク冒険者ということに驚きつつ、ユウマは差し出されたセナの手を、ギュッと握る。

 その手はひんやり冷たく、腰に下げた青い刀身の剣のようだった。


「じゃあ案内してもらっていいか?」

「はい、わかりました」

 

 Sランク冒険者ということで、断ることも出来ずユウマはエレナとセナを連れて、北門に向けて歩き始めた。



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