33話 迷宮都市へ
「ふぅ〜、やっと終わったか」
ユウマは山積みになっている魔物の死体を見て、疲れたように呟く。
あれから十分で、ようやく全ての魔物を倒したユウマ達だった。
魔物がいないことがわかったシーナは、馬車を教会の所に運んで、ユウマ達と合流した。
「あとは村の人達をどうするかだな」
そう言って、魔物の脅威がなくなって、安心している村の人達を見る。
町が半壊して、住む場所を失った村の人達を、これからどうするか考える。
「アルヴァノ王国に連れて帰りたいが、馬車は1台しかないからな」
ユウマが悩んでいると、教会から出てきたセレアが、ユウマに近づいて行く。
「ないなら作ればいいじゃない」
「え? 作る?………あ、そうか!」
セレアが考えていたことがわかったユウマは、すぐに行動に移す。
「アイン、俺は創造魔法で馬車をもうニ台作る。魔力がほとんどなくなって、暫くは動けなくなる。馬車の運転は頼む」
「わかったわ。任せなさい」
ユウマは創造魔法で、シーナが運んで来た馬車を創造魔法で創造する。
8割の魔力を消費して、ユウマは瓜二つの馬車を二台創造した。
「よし、出来た。村の人達を馬車に載せよう」
魔力の8割を失ったユウマは、エレナの肩を借りて、みんなに指示を飛ばす。
教会から出てきた町の人達は、3台の馬車にそれぞれ乗り込む。
「セレア、セナさん。2人って確か馬車の運転って出来ますよね?」
「うん、出来るよ」
「私も出来る」
ユウマは以前、2人が馬車の運転が出来ると聞いたのを思い出し、2人に尋ねた。
「村の人達は全員乗りました〜」
「わかった。よし、みんなもそれぞれ馬車に乗ろう」
ユウマ達は散らばって馬車に乗り、アルヴァノ王国に向けて、馬車が走り出す。
✼
馬車を走らせて2日、ようやくユウマ達はアルヴァノ王国に帰ってきた。
ユウマはリーンに事の次第を話すと、特別にギルドが所有している宿屋に、村の人を泊めてくれることになったのだ。
「今回は本当にありがとうございました。ユウマさん達のおかげで、魔人族を倒すことが出来ました」
「いえいえ、みんなのおかげですよ。俺一人じゃ倒せなかったですし」
そう言ってユウマは、エレナ達の方を見る。
エレナ達もユウマを見て、優しく微笑んでいる。
「本当にユウマさん達は強くなりましたね。最初の頃と比べると、桁違いに強くなりました」
「そうですか? 自分では全然自覚ないですけどね」
ユウマは苦笑いしながら、リーンに報酬を受け取り、冒険者ギルドを後にする。
「この後はどうする?」
「そろそろ迷宮に行きたい所ね。ある程度強くなったし、そろそろ行ってもいいんじゃない?」
セレアの提案にみんなは賛成し、ユウマもその提案に賛成する。
「それじゃあ、まずは買い出しだな」
「はい、そうですね!」
「よし、行くわよ!」
アインが張り切って先頭を歩き、ユウマ達はその後ろをついて歩く。
ここから迷宮都市までは、馬車で一週間かかるので、それなりの量の食べ物を確保しなければならない。
「お肉、お肉、お肉!」
「そんなに肉ばっかり買わないからな〜」
アインに注意しながら、ユウマ達は肉屋に行く。
一週間程の肉を買って、他の食材を買い込んでいく。
「食料はこのくらいだな。後はあっちで揃うだろうし、今日はもう帰ろう」
「はい、わかりました」
「帰ります〜」
食料を全てアイテムボックスにしまったユウマは、エレナ達を連れて、帰路につく。
みんな馬車の移動が長かったせいか、ヘトヘトになりながらユウマの後を歩いて行く。
家につくなり、アインとセレアはお風呂に直行し、ディアはソファにダイブする。
シーナとエレナは晩ごはんの支度をし、ユウマもそれを手伝う。
「ついに明日から迷宮都市に向けて移動か」
「迷宮都市って、どんなところ何でしょうか。楽しみです」
「私も楽しみです〜」
3人は話ながら、晩ごはんを作っていく。
「む、ご飯の匂いじゃ!」
ご飯が完成した瞬間に、ディアはソファからガバッと起き出し、出来た料理を机に運び始める。
「お風呂上がったわよ〜」
「ちょうどご飯じゃない」
アインとセレアはお風呂から出てきて、まだ濡れた髪をタオルで拭きながら、椅子に座る。
全員が揃って、ユウマ達はご飯を食べ始める。
「明日は朝早くから出発しよう」
「それじゃあ4時か5時くらいにしましょう」
「わかりました。それじゃあ今日は早く寝ないといけませんね」
ご飯を食べながら、明日の話と迷宮都市の話をする。
「皆さんって、迷宮都市に行ったことあるんですか?」
「私はないかも」
「私はあるわよ、迷宮都市」
エレナの問に、アインとセレアが答える。
ディアとシーナも、迷宮都市には行ったことがないのか、首を横に振る。
「迷宮都市には3種類の迷宮があるの。まあ簡単に言ったら、初級、中級、上級って感じ」
「難易度ってことか」
「そういうこと」
そう言ってセレアは、迷宮都市のことをユウマ達に話し始める。
簡単にまとめると、迷宮都市には3種類の難易度の迷宮があり、それぞれ自分の冒険者ランクにあった迷宮を選ぶ。
Sランク、Aランクが上級、Bランク、Cランクが中級、そしてDランクが初級という目安だ。
必ずしもその難易度の迷宮に、入らないといけないという規則はなく、1つ上の難易度も挑戦していいことになっている。
だが、Dランク冒険者が上級に行くのは、最低でもAランク冒険者2人以上の同伴が必要らしい。
「迷宮の説明はこんな感じ。あとは武器屋、防具屋が多数存在するわ」
「流石迷宮都市。武器や防具だけは揃ってるってことか」
ユウマは感心したように呟く。
「そういうこと。まあ私達の強さだと、上級でも問題ないんじゃない?」
「そうじゃの、妾達の強さだと楽勝じゃ」
ディアは元気よく立ち上がり、高らかと宣言する。
「そうだな、俺達じゃあ上級でもいけるだろ。ほらみんな、明日も早いしもう寝るぞ」
『は〜い』
ユウマ達はご飯を片付け、それぞれベットにつく。
✼
「みんな、忘れ物はないか?」
「大丈夫です」
「ええ」
「大丈夫じゃ」
「ないです〜」
「大丈夫よ」
みんなの答えにユウマは頷き、迷宮都市に向けて、馬車を走らせる。




