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姿なきもの  作者: しらたま
ハル篇
3/9

三、カレー

あの後少し屋台を回ってから祭りを抜け、ヒナタの家に来た。

やはり、この地域全体が祭り会場なだけあって、家の中でも祭りの音が聞こえてくる。


「ただいまー。」

「…?」

「ヒナー?居ないのー?」


ソフィアから1歩も動かずのんびりしていると、居間にヒナタの兄のシュウが入ってきた。


「お邪魔してます。」

「ヒナタならお風呂洗ってるよ。」


「そうなの?」

「居たなら出迎えてくれよー。オレ家主だよ?」


「自分は客人だよ。」


「チッ。」


「うっわー。人に舌打ちしたらいけないんだぞー。」


「知るか。舌打ちは自由だろ。」


そんなことを話しているとシュウが何気なく服を脱ぎ始めた。


「ねぇ!なんでここで脱ぐの!?」


「上くらいならいいじゃん!もう見慣れてるっしょや!」


「こっちは見慣れたくもないんだよ!部屋で着替えれ!」


「女が男の前で脱いでる訳でもないのに。ケチ!」


そう言い去りとても面倒くさそうな顔をして部屋へとのそのそ歩いていった。


(そういう問題じゃないんだよなぁ…。)


少しすると廊下からトタトタと足音が聞こえてきた。


「あれ?シュウ帰ってきたの?」


「部屋で着替えてる。」


「あぁ、やっぱり。さっき声したもん。」


風呂場まで聞こえていたのか。


「あー…っとね、したっけカレーもうできてるから温めといてくんない?」

「あと流したらこっち終わるから。」


「わかった。」


今日ナツナギ家はカレーなのか。

昨日うちもカレーだったな。なんという偶然。


「1か2でやってね!3でやると焦がすから!」


(ムッ)


別にそんな念押さなくても大丈夫なのに。

自分はそんなにやらかしそうに見えるか。


ちょっとムスッとしながら台所へ向かう。


大きい鍋と小さい鍋が1つずつ。

大きい方は自分とシュウので甘口だ。小さい方はヒナタので辛口。

前に少し貰ったが辛すぎてとてもじゃないが食えたもんじゃない。


よくこんなもん食えるなぁ。などと考えつつ鍋を火にかける。

時々焦げないようにかき混ぜ、手をかざして温度を確認する。


「おっ、手伝いしてんの?」


「ヒナタに頼まれた。」


「なんだよ、オレに頼めばいいのに。」

「ハルがやってんのにオレがなんもしないのなー。」


斜め後ろからカチャカチャと音がする。

皿でも出しているようだ。


「今どんぐらい温まってる?」


シュウが確認するために後から手を伸ばしてくる。


「あー…、もうちょいか。」


(邪魔くさっ…。)


腹が立ったので足を踏みつける。


「痛ッ!?」


「狭い!邪魔!」


「ひでー!」

「ったく、先にご飯盛っとくぞ。」


「わかった。」


「熱っ!?」という声と共に炊飯器を開ける音と米の匂いが漂ってくる。

自分はおたまでクルクルとルウをかき混ぜ、横に置かれていくご飯にかけていく。


少し黄色がかった甘口の全かけは自分。半かけはシュウ。

黒っぽい辛口の半かけはヒナタ。


シュウはそれをそれぞれの席に運んでいく。


その間自分はコップにお茶をよそう。

青い水玉はシュウ。黄色い水玉はヒナタ。緑のシマシマは自分。

何度も往復するのはめんどくさいのでお盆にコップとポットとスプーンを乗せて持っていく。


コップとスプーンはそれぞれの席に。ポットはよくおかわりをするシュウの席に寄せて。


ちょうど配り終わったところでヒナタが帰ってきた。


「あっ、シュウおかえり。」


「おう。ただいま。」


「もう全部やってくれたの?」

「やっぱ2人だと早いね。」


「そうか?そっちが長かったんじゃない?」


「本当?あれかな、ついでにフタも洗ってたからかな?」


お腹空いたのだが先に食べててもいいだろうか…。




……別にいいか。


「いただきます。」


「「あっ!ずるい!」」


さすが双子だな。見事なハモリ。


「一緒にいただきますしようよ!」

「食べたかったんなら言えばよかったのに。」


「いただきます。」


「いただきまーす。」


(!!)


やはり作る人が違えば味も違うもんだな。飽きずに食べられる。

それと何より、ランのの100倍美味しい。


「美味しい?」


激しく頷く。


「よかったー。」

「ハルちゃん来る時にカレーするの久々だから好み変わってたらどうしようかと…。」


安心するといい。自分は何度死んでも甘口を貫き通す。中辛も許さない。


やはり美味しいものというのは早く食べ終わるもので、もう無くなってしまった。

おかわりをしたいのだが、3杯目で腹を壊すと止められてしまった。


シュウは明日、朝早いらしく、ご飯を食べると寝てしまった。


自分たちも「シュウが寝るなら寝ようか」ということになり、シュウが寝て少しした後に自分たちも寝た。

ナツナギ シュウ

ヒナタの兄。


能力:

①[脚力増強]

②[人の能力を制御する]

命と引き換えなら完全に消せるかも。



亜人について②:

亜人には常世生まれと現世生まれがいます。

主な現世生まれは、自ら命を絶った人と、手違いで迷い込んで帰れなくなった人です。稀に人以外の動物から亜人になった者もいます。いずれも人に当てはめた年齢で15~20歳が多い傾向にあります。そして、生きずらさから自殺してしまう人も少なくはありません。

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