魔女殺しのロボットと少女の微笑
魔女はどこだ。
魔女はどこだ。
僕はブツブツと呟きながらさまよっている。
森の中をさまよっている。
僕はたくさんのコードで繋がれていて継ぎ接ぎだらけのロボット、オートマター。
そしていつしか魔女殺しの騎士と呼ばれていた。
ローサット12号。
それが僕の名前、作品名だ。
魔女殺しの機械として生まれた僕を作ったのはまさかの魔女である。
その魔女の名をウィッチテラー。
またの名をテラー。
あの魔女は僕に殺されるために僕を作った。
それなのに。
テラーは逃げ続けている。
他にも魔女は潜んでいて、僕はそれを見つけては剣を振るい排除してきた。
それが悪いことはいい事かはわからない。
それが僕の役目としてプログラムされているからだ。悪くもよくも僕には関係がない。
今日も魔女はいなさそうだ。
……もし、この世から魔女がいなくなったら。
僕の存在価値はなくなるだろう。
なんて思っていたら。
「……よお!!バンダースナッチ!!」
上からジャヴァウォック、ピットが飛んできたのか大きな翼を羽ばたかせながら降りてきた。風に目を瞑りながらも息を吐く。
バンダースナッチ。
ジャヴァウォックの幼なじみだったらしいが、魔女テラーにより捕まり殺された。
そのバンダースナッチを使って生まれたのが僕らしい。
おかげで見も知らずのこのドラゴンからは幼なじみ扱いだ。非常に困る。
だがそこまで嫌いでもないからまぁいいだろうとは思っているが。
「……何の用だ。」
「なぁ、あいつらアリス連れてきたんだ。」
「アリス?」
そういえば、ピットはあのネコ共が俺たちの敵を連れてくるらしいぜ、といつしか聞いたことを思い出した。
「……そいつは魔女か?」
「なんでお前魔女しか興味ねぇの?」
ピットは肩をすくませる。
仕方ない、お前の破壊衝動と似たようなものだと言えばなるほどなと笑った。
「魔女ならば殺すのみだ。」
「おいおい、やめろよ?あいつは俺の獲物だ。ひひっ、それに魔女じゃあねぇよ。お前が見ればわかるだろ?」
僕は俯く。
やるせない気分になってきたのだ。
「……すきにすればいい。」
「はぁ?、ったく、つれねぇやつ。」
僕はバグモンスターも何も作らない、魔女を殺すだけのロボット。
黒でも白でもない。
僕は1人でここを生きていくから。
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影の国のアリス。
そうだ、このゲームの名前はそうしようか。
だって黒と白しか世界が彩ってない。
なら私はどっち側?
ううん、どちら側にも染まってないわ。
だって私はアリスじゃない。
それでも私は理由もなしに白の方へと導かれていく。
ここはゲエムの世界。
私はここの主人公。
黒も白もお互いゲームのキャラクター。
それでもあなた達は感情を持つのね?
なんて面白い。
影の国、この世界で。
私はメインとして、ストーリーを進めていこう。