帽子屋の憂鬱と三月うさぎ
はぁ、とため息した。
私は酷く疲れている。
あんな低脳と話していると私まで頭がおかしくなってしまいそうだ。
帽子屋、クロという名前の私は苛立ったように心の中で言う。
すると私の中で「そうかなぁ?面白いやつじゃない?」と半笑いの声が聞こえた。
三月うさぎである。
私の、もう1人の人格である。
こいつは私とは全く正反対の性格をしていて、紳士的な私とはまるで釣り合わない。
だが決してあの低脳のような下品さはない。だから付き合っていられるというものだ。
そう、低脳とはあいつである。
「あの低脳ドラゴンが……。」
壊すことしか知らない下品極まりないジャヴァウォックというドラゴン、その名もピット。
赤い血のような髪に血のような瞳、その瞳は狂気に渦をまいていて四白眼だ。
牙を常に剥き出し、無差別に無機物も生き物も壊していく。
ドラゴンと化しても同じことだ。
あの強さは認めるが非常に馬が合わないことを私は初めて会った時から察していた。
こいつは無理だ、と。
案の定、私とあいつが目を合わせるだけでとてつもない喧嘩が起きてしまう。
つまり今こうして私が愚痴を1人でブツブツと呟いているのは先程その状態であったからである。
終わることの無いお茶会を永遠と楽しみ嗜むのが私の優雅な趣味。
それをあいつはものを壊しながらいくつも私のお茶会を邪魔をしに来るのだ。
あの真っ赤な髪は綺麗だと思う。そう、紳士的であり優美な人物が所持していたらあの髪は非常に美しく見えるはずだ。
なのに中の人物があれでは、綺麗な髪も血に塗られた髪色にしか見えなくなるのが現状だ。
あの破壊しか知らない化け物を調教して紳士的な生き物にしてやりたい。
と思うくらい。
そんな私も気を取り直すため壊されたお茶会のステージを直して、気を取り直しまたお茶会を始めようとしていた。
バグモンスターを作り始めてから何度も日数が経った。
アリスが女王になり、私はプログラムをあの方に全てが洗脳されてしまった。
おかげで民を傷つけているという、紳士的ではない行動をしている。
だがプログラムのせいか、罪悪感が目覚めないことが問題だった。
所詮ここは0と1の世界なのか、そんな性格や感情のプログラミングも単純なのかもしれない。
それでも私達はこのちっぽけな世界で生きている。
バグモンスターをつくる。
それがたとえ私のモットーを逆らうものだとしてもそれが役目なのだから。
「……満たされませんね。」
『じゃあピットでも呼ぶ???』
「殺されたいのですか?」
おお、怖いとわざとらしく三月うさぎは怯えたような声を作って笑った。
腹のたつ人格だ。
私はため息をついた。