07話 夜に咲く花
熱い想いを伝えたけど、これからどうするかはノープラン
いやはや、本当にノリと勢いは怖いね。
少し一人で考えたかったから、みんなとは離れて
町の中心を流れる川の岸辺に座る。
辺りは暗く、もう夜だ。
「町の中に川が流れるなんて風情があるな」
蛍のような物、が飛び回り淡い光で水面を照らしだす。
川の畔が青白く輝く。
余りにも美しく幻想的な光景に思わず声がもれる。
「おお……おぉ」
岸辺に咲くのは自らは光らないが所々光を反射させる青い花。
薔薇の雫に使った花に似ているけど、あれが庶民なら
これは貴族、どことなく気品を感じさせ、高貴なそれでいて儚さがある。
それが光に照らしだされ次々に咲き誇る。
「昼間は咲いてなかったよな?」
「……」
「これは、輝夜の花 ‐ナハトグランツ‐ というのじゃ」
ひとりごとのつもりだったんだけどな
かぐやか……いい名前だ。
「これはその川、天の川のような綺麗な川辺に生息し、夜になると活動する精霊虫の光にのみ反応して、夜にだけ咲く希少な花だ。綺麗じゃろ?」
「ああ。綺麗だ。それしか言葉が出ない。この美しさは心に直接突き刺さるな」
この見るだけで、心を癒し潤す力
芸術と通じるものがある。
――これだな。
「一輪摘んでもいいか?」
「いいぞ。希少とは言うたが、この土地にしか咲かんだけで生命力は強い」
俺は輝夜の花をそっと一輪だけ摘み
おもむろに念じる。万物調合。
《薔薇の雫+輝夜の花》
《夜薔薇の涙 作成成功》
手元に青白く、光を反射しささやかに輝く香水が出現する。
香りは鼻を通り脳髄を過ぎ、心に優しく残る。
「これが名産品だ」
ルーノに渡し、香水の使い方を軽く説明。
その香りが風に乗り辺りに広がると気のせいか辺りが少し明るくなった気がする。
「お前が昼間に使った匂いの付く水もいい匂いがしたが、これはなんじゃ!? ステイタス上昇でもしたような、気分が高揚してきたぞ!?」
「ふぉぉ~~~~~~!!!!」
ちょいちょい変になるな。こっちが素か?
「匂いって何か嫌だな。香りな? これは香水。香りのついている水であってるけどな」
「これをこの町の名産品として売るぞ」
「売る? いいな! これはいいぞ! 町に金が舞い込んでくるぞ!!」
大量生産する為には色々と足りないが、ここでそれを言うのは野暮だろう。
今は何かが始まるって予感を二人で楽しむか。
儲かったら何をして、何に使って……
大盛り上がりのまま朝を迎えた俺達を
「で、お客さんは何処にいるの?」
ミラちゃん、つぶらな瞳で地獄に落とすのはやめようね?
やる事リスト
1:商売を始める
2:屋台を作る
3:仕立て屋を捕まえる