二十七日目
これは私から君たちへのささやかな贈り物
苦しみだけではすぐに壊れてしまうからな
束の間の休息を楽しみたまえ
楽しいと時間はすぐに過ぎていく。
時計塔に示された針は、既に一回りしていた。
(そういえば、バーナビーさんは何で私をお姫様って言ったのかしら?)
こくびを傾げてアッシュに尋ねてみる。
アッシュを通して彼らが私の存在を認知している可能性がある。その際にアッシュが《眠り姫》などと、ロマンチックな例えを使うだろうか?いや、しないだろう。限りなくゼロに近い。むしろ、私を大事に思う気持ちが強いので周囲に秘匿してそうだ。
「先日のL1戦で、この二人が俺たちの回収係で派遣されてきたんだ。アリスは気を失っていたから、その姿を見てじゃないか?」
成る程、合点がいった。でも、恥ずかしい。
(私、お姫様って言われるくらい可愛くないよ……。)
「アリスは可愛いよ。」
「そうです!アリスちゃんはとても可愛いのですよ。」
……………え?誰?
鈴のように綺麗な女の子の声がする。
驚いて声の聞こえた方に振り返ると、太陽に輝く金髪の男女が立っていた。
女の子は両手を腰にあて、エッヘンとでもいうかのような態度だ。
「よ~、エコーエリー。」
バルドルと男の子が拳を軽く付き合わせ挨拶をする。
何かを少し話すと、こちらに視線を向ける。
「初めましてアリス、僕たちはEE。得意分野は電脳戦だ。」
「私はエリーです。こっちがエコーなのです。」
爽やかな笑顔でエコーが握手を求めてきた。私がそれに答えると、今度はエリーがハグを求めてくる。
とても親しみやすい性格の二人のようだ。
彼女とハグをしていると、「ホントに可愛いですねぇー」だとか、そういった言葉が小声で聞こえてくる。天然なのかなんなのか……。
恥ずかしさから視線を泳がせていると、チラリと見えたアッシュの眉間にシワが深く刻まれていた。
私は慌てて彼の元へ戻ると、彼は私の手を取り険しい目付きで二人をみる。
「二人は主に電脳……ネットの世界に強い。クラッキング技術では研究所内で1・
2を争う。」
(すっすごい……。んと、あとこそばゆいです、アッシュさん。)
「なぜ小声で私たちのことを話しているのですか?」
耳打ちされると、吐息があたってくすぐったい。
そんな私たちのやり取りに、「んー?」といい笑顔でエリーが割って入る。
「エリー、そんなに怒ったらシワが出来ちゃうよ……?」
「おい、れでぃーにシワなんて言っちゃダメだろバーナビー。」
「二人とも!!!」
顔を真っ赤にしてBBを追いかけ回すエリー。その姿を見て何時もの事だよ、とため息を漏らすエコー。
本当に皆、仲が良い。
私たち以外の子どもたちも、皆思い思いに過ごしている。
こんな穏やかな時間が、いつまでも続けば良いのに。
「アリス?」
不安そうな表情で、アッシュがのぞきこんできた。
(心配しないで。ただ……)
「ただ?」
おかしいな、何故こんな感情を持つのだろう?何時までも続く筈無いのに。
(ううん、何でもない。)
私は自分自身さえも誤魔化すように、にっこり笑った。
短め
短すぎる……気がします。




