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永久の旅人  作者: 明鳥夢猫
絵画と老人
16/20

裂け目の家

地上のほとんどが砂漠に覆われた世界の物語。

盗賊に襲われた村で出逢ったトワとフォレス。襲い来る盗賊達を倒した二人は共に故郷を目指し旅に出る。


 ~登場人物~

トワ…砂漠の世界を旅する男。常に黒装束でサングラスを掛けている。

フォレス…盗賊に襲われた村でトワが出逢った少年。

 明け方の砂漠を、トワとフォレスはラクダに跨がり、東に向かって進んでいた。


 フォレスは眠そうにトワに話し掛けた。


「ねぇ、トワ。日の出が見えるよ。そろそろ休もう」


「もう少し進もう。まださほど気温が上がっていないからな。進める間は進んだ方がいい」


 トワがそう言うと、フォレスは堪えていた欠伸をして頷いた。


 夜通し慣れないラクダで移動することは、10歳のフォレスには相当な疲労であるから、仕方がない。


「なぁ、フォレス」


 歩きながら、トワがふいにフォレスに声を掛けた。


「なぁに」


「君に頼みたいことがある。

 この先、どんな場合でも、俺が不死身であることは他人に話さないで欲しい。知られると色々面倒でな」


「いいよ。それなら、日本生まれってことも内緒にした方がいいね。日本が砂に埋もれたのは結構前だからさ」


「機転が利いて助かる。ありがとな」



 しばらく進むと、砂の山々の向こうに崖のように切り立った岩山が現れた。土を固めたかのような岩肌は横に長く伸び、近付くほどに高くそびえて巨大な壁のようだった。


「うわあ!凄く高いね」


「ああ。こんなにバカデカイと登れやしない。時間はかかるが、回り道するか」


 トワは岩壁の左右を交互に見て、


「よし、あっちの方が近そうだ。行こう」


 と、壁の右側の端を指差してフォレスに言った。


 その時、


「待ちな。そこのアンタ方」


 しゃがれた老人の声がした。


 二人が振り向くと、そこには紺色のローブを纏った老女が杖をついて立っている。


「あなたは…?」


「私の名はバーバラ・アイ。通りすがりの老いぼれさね」


 彼女は被っているフードの下で、口元に大きな皺を作り、微笑んだ。


「アンタ方はここらじゃ見ない顔だね。旅人かい?」


「はい。トワと申します。こっちのフォレスと旅をしております。あなたはここにお住まいで?」


「そうだ。でも、長く居やしないよ。この辺りは野盗だらけだからね。さっき、あの角を曲がったら、アンタら崖の上から銃で撃たれとったよ」


「えっ」


 フォレスは青ざめる。トワがマントの懐から双眼鏡を出して右側の崖の上を見ると、人の頭が見え隠れしていた。


「本当のようだ。命拾いしたな」


「えええっ」


 フォレスはますます青くなる。老人はフェッフェッと笑って背を向けた。


「付いて来な。しばらく隠れた方がいいよ」


「トワ、どうする?」


 不安げに聞くフォレスを安心させるように、トワは優しく頷いた。


「…とりあえず付いて行ってみよう。大丈夫。何かあってもお前だけは必ず助ける」


 二人はバーバラ老人の後に続いて、岩壁を左へ進んだ。


 壁に沿って歩く内に、岩壁に縦に伸びる大きな裂け目が現れた。大きいと言っても、遠くから見れば単なる岩の凹凸の影に見えるだろう。それほど見えにくい裂け目だった。


 裂け目から差し込む外の光は、中の洞窟のような空間を照らし出した。トワは、よくここを見つけたものだと感心した。


 そこには、モンゴルの先住民が使いそうなテントが立っていた。その横には、馬小屋がある。バーバラは二人にラクダを馬小屋の柱へ繋がせ、テント内へ招いた。


 中に入ると、フォレスは目を丸くし部屋の中を見回した。



久しぶりになってしまいました。

お読み頂きありがとうございます。

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