後編
後編です。
どうぞ↓
「はぁ…はぁ…」
急ぐんだ、私。絶対に、行くんだ。
「待っててね…隼人…」
私はひたすら走るだけだった。
~*~*~*~*~*~*~*~
「3時58分…」
やっぱり来てくれないか。そりゃあ、年賀状で告白とか、度胸ないって思われても仕方ない。もしかしたら、ダサいって思われてるかも…
坂下公園では、毎日午後4時ぴったりに噴水のショーが始まる。約束を4時にしたのはこういうことだ。
「はぁ…」
黙ってうつむく。なんでこんなやり方にしたんだろう。後悔している。
すると、後ろで水の音がし始めた。
「ママ!きれーだね!」
「ふふっ、そうね。」
どこかで親子の声がした。
「何やってんだ俺…」
そう言って、しゃがみ込んだ。思わず泣きそうになる。
すると。
「隼人!!」
「へっ…?」
顔を上げると、笑みが向こうから走ってくるのが見えた。
「ご、ごめっ…はぁ…はぁ…」
「恵美…来てくれたんだ…」
「うん!1分遅れちゃった…ごめん!」
「それくらいいいよ!」
恵美はにこっと笑って言った。
とにかくうれしかった。
思わず涙があふれた。
「はっ、隼人!?」
「あっ…ごめ…」
「んっ…」
恵美は僕をぎゅっと抱きしめてくれた。
「安心したんでしょ?まだまだ子供だなー。」
「ふぇっ…」
優しい、母のようなぬくもりに、涙が止まらなくなる。
そして、恵美は僕だけに聞こえるように、僕の耳元で言った。
「今日は寒いから…特別だよ?」
「っ…うん…」
「よしよし。」
今日は甘えよう。僕はぎゅっと抱きしめ返した。
~*~*~*~*~*~*~*~
キレイなオレンジ色に染まった空を二人で見上げながら。つないでいる手を確かめながら。
二人は家へ帰ろうとしていた。
「ねーねー。」
「んー?」
「明日、空いてる?」
「多分。なんで?」
「いやー、一緒に初詣いかない?」
「いいよー!楽しみだなぁ♪」
「恵美。」
「どうした?」
「改めて、僕と付き合ってください。」
改めて言われるとドキッとする。
「えっ…あっ…うん…」
自分でも、耳まで真っ赤になっていくのが分かった。
「よしっ!」
隼人は満足げだった。
「じゃあ、バイバイ。」
隼人が子供みたいに手を振る。
「…うん!バイバイ!」
私も手を振り返す。
あぁ、明日も楽しみだなぁ。
最後までありがとうございました。
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