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浮遊

どうもMake Only Innocent Fantasyの三条 海斗です。

いやぁ、久しぶりの更新となりました。

今回は少し不思議な世界を現実とクロスさせてみました。

どこがどうというのが読んでわかってくれるのなら、僕が書きたかったことがかけているということなので少しうれしいです。

では、どうぞ!

 白い世界。

 そこにはただ浮いているという感覚があるのみで、動こうとしても動けない。

 一体ここはどこだろう? そんな疑問が頭をよぎる。

「やあ、ようやく会えたね。」

目の前に立った青年はそういった。その青年の顔や声に覚えはない。

「知らなくても無理はないよ。僕と君は初めて会うのだから。」

青年は微笑む。その笑みはまるで本当に心待ちにしていたかのようだった。

「ずっと君のことをここで待っていたんだよ。」

 青年は手を差し出した。その手は真っ白で生きているのかと疑うような色をしていた。

 この手を取ってはならない。

 私の直感がそう告げる。

「何をそんなに警戒しているんだい?」

 青年は穏やかな表情で近づいてくる。こちらも離れようともがくが、体は一向に動いてはくれない。

「怖がらないでくれよ。少し傷つくじゃないか。」

 青年のその声は本当に悲しそうだった。その声に私は思わず気を許しそうになる。だが、それも一瞬。すぐに離れようと再びもがく。

「無駄だよ。ここは精神世界……僕の世界。君は動くことすらかなわない。」

 一体、この青年は誰だ? どうしてこんなことをするんだ?

 その疑問はずっと消えない。

「僕の正体も目的もすぐに分かるよ。手を取ってくれればね。」

ぷかぷかと浮かぶ青年は俺の目の前に止まるが、手をつかもうとせずにずっと差し出したままだった。

「君が手をとってくれるまで僕はずっとここにいよう。」

 青年はその言葉の通り、ずっとそこから動かなかった。

 どれくらいの時間が過ぎただろう、本当に青年は動かなかった。

「さぁ手を取って。」

 時々発する言葉はそれだけだった。

 もういいだろう。

私はその手を取ろうと力を入れた。今度はすんなり動けた。

「ようやくとってくれたね。」

 そこで私はすべてを知った。

 ああ、この青年は……。

浮かんでいた感覚がなくなり、落ちていく。

つかんでいた手はいつの間にかなくなっていて、次の瞬間には青く澄んだ空が目に映った。


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