~第九回~
はい、零堵です。
四ヶ月ぶりの再開です。
また、ちまちまと書いていきたいと思います。
次の日になり、俺こと、市倉優希は、朝から憂鬱だった。
まあ、何でかといわれると、今日もバイトがあるからである。
普通のバイトだったら、こんな気分にはならないと思われるが
俺のやっているバイトというのは・・・
「メイド喫茶でメイドさん」だった。
いや、勘違いしないでほしいのだが、何も俺がやりたいからやっている訳ではない、断じてな?
そもそもの原因となったのは、俺の姉貴、市倉由紀が原因なのだ。
俺は姉貴の言われるまま、メイドさんをやる事になったのである。
昔っから、姉貴には勝てないんだよな・・・俺・・・
そんな訳で、姉貴が修学旅行中の間だけ、俺が姉貴の代役として、メイドをやる事になったのだった。
朝起きて、まず顔を洗う事にした。
洗面所に向かい、改めて自分の顔を見てみる。
そこに写っているのは、あきらかに男の俺の顔、でもウィッグを装着すると
完璧に姉貴に見えるんだよな・・・ま、俺と姉貴は双子なので、似てると言うのも解る気がするが・・・はあ・・・今日もバイトか・・・
そう考えていると、お袋が
「あら、優希、どうしたの?ため息なんかついて」
お袋がそう言ってきたので、俺は
「いや、ちょっとバイトの事でな・・・」
「あら、あんた、バイトしてたの?由紀がしてたのは知っていたけど、何所でバイトしてるの?」
「いや、何でもない、気にしないでくれ、それより朝ごはん出来てる?」
「出来てるわよ?冷める前に食べちゃいなさい」
「ああ」
そう言って、洗面所から移動して、リビングに入った。
リビングに入り、テーブルの上に出されている朝食を見てみる。
出されていたのは、カツ丼だった。
しかも出前で頼んだ物じゃないらしく、家で作ったみたいな感じで
具財に我が家オリジナルの食材が入っていた。
お袋は、料理研究家でもあるので、これは作ったんだな・・・と、実感した。
とりあえず、お袋の作る料理に、今まで不味い物はなかったので、安心して食えるな・・・
早速、オリジナルのカツ丼を食べてみる。
味に関しては、何かの出汁が効いてるからか、滅茶苦茶美味かった。
これならお替りしても軽くいけるな・・・という感じで、あっという間に食べ終わり
お替りをお袋に要求したが「ないわよ、あんた食いすぎよ、あんたの分、今の大盛りだったのよ?」と言ったので、結局お替りはくれなかった。
ま、腹はいっぱいになったし、食べ終わった後、学校があるので
自分の部屋に戻り、制服に着替える事にした。
制服に着替え終わった後、鞄の中身を確認し、携帯をポケットの中に入れて
外に出る事にした。
外に出ると、外の天気は快晴で、滅茶苦茶暑く感じた。
通学するのかったるいな~と思いながら、通学路を歩いて行き、数十分後
通っている学校に辿り着く。
何所かに寄り道するわけでもなく、真っ直ぐに自分のクラスに行き、自分の席に座ると
早速、俺に話しかけてくる者がいやがった。
「よ、優希」
そう離してきたのは、同じクラスの悪友の真吾だった。
「よ」
俺は真吾に軽く挨拶すると、翔太が
「なあ・・・優希、今日も行かないか?」
「行かないかって何所だよ」
「何言ってるんだよ、あの喫茶店だよ」
それってあのメイド喫茶の事か?っく、俺は嫌だぜ
と言うか・・・俺は、そこで働く事になってるので、一緒に行くとか物理的に無理なんだが?
「あ~悪い、一緒に行けないんだわ」
「何でだ?」
「バイトが入っててな、悪いな」
「そうか・・・それじゃしょうがないな、じゃあ一人で行くか・・・あの子、いてくれるといいけどな・・・」
とかぶつぶつ言っていた。
あの子って、もしかして・・・姉貴=俺の事か!?
うわ、すっげ~鳥肌が立つんだが・・・
出来れば来てほしくないな・・・と思いながら、学校のつまらない授業を受けて
時間が過ぎていき、あっというまに放課後になった。
俺は、誰にも話す事なくそそくさと教室を出て、真っ直ぐ自分の家に戻る。
家に戻ってから、家族の有無を確認して、どうやら・・・誰もいないと解ったら
早速変装の準備に取り掛かる事にした。
着ている服を脱ぎ、スカートを履くのは
仕事着だけでいいな・・・と思ったので、薄いTシャツとGパンを履く事にした。
着替えてから、ウィッグを装着して、発声練習をしてから、自分のいつも履いている靴とは違い、姉貴の別の靴を履く事にした。
外に出て、怪しまれてないか・・・を確認してみると、俺の姿を見ても、不審に思う人物がいなく、ほっとした。
しっかりと施錠してから、外に出て、バイト先のメイド喫茶に向かう事にした。
は~・・・今日もやってやるかな・・・あんまりやりたくはないけどな・・・
俺は、そう思いながら、バイトに励む事にするのであった。