~第十四回~
はい、零堵です
これで、完結と致します。
次の日、俺こと市倉優希は嬉しかった。
何故なら……姉貴の変わりは、今日で最後だからである。
今日の夜に姉貴が帰ってくるので、姉貴の代役として働く事は今日で、最後になりそうだった。
ま、今日が終わったら、姉貴の格好をしなくてすむし
ほんと嬉しいぜ……って、感じだった。
とりあえず、今日も学校があるので、制服に着替えて、朝食を取ってから
学校へと向かった。
学校に辿り着き、クラスの中に入り、自分の席につく。
席に着くと、俺に話しかけてきたのが
「よ、優希」
そう話しかけてきたのは、真吾だった。
「よう、一体なんだ?」
「いやな?今日、学校終わったら、一緒に遊びに行こうとおもってな?どうだ?」
「遊びにか……すまん、バイトだ」
「バイト?おまえ、一体何所でバイトしてるんだよ?」
「それは、内緒だ、ほらチャイム鳴るぜ」
俺がそういうと、真吾は
「ま、いっか」
と言って、自分の席に戻っていき、チャイムが鳴って、普通の授業が始まった。
授業内容はそれほど難しくなく
あっという間に時間が過ぎていって、放課後
俺は、真っ直ぐ家に帰り、自分の部屋に入ってから、着ている学生服を脱いで、私服に着替えてからウィッグを装着、そして声を姉貴の声にして、お袋に見つからないように家を出る事にした。
家に出る事は、何とか成功して、バイト先の喫茶店
マイ・ドリームに辿りつき、店内に入る。
店内に入ると、ちびっこ店長の麻衣が
「あ、由紀ちゃん、いらっしゃいー」
と言ってきた。
俺は、姉貴の声で
「すいません、今日で代役が終わりになります」
と言うと
「およ?と言う事は……優希君だっけ?今日で終わりって事なのかな?」
「はい、そう言う事になります」
「そっか……じゃあ今日一日頑張ってね?着替えてきてねー」
「はい」
そう言ってから、控え室の中に入り、誰も入って来ないように、しっかりと施錠する。
施錠してから、ロッカーからメイド服を出して、それに着替える事にした。
着替え終わった後、身だしなみをチェックし、控え室から出ると
「あ、お姉様、おはようございます」
そう言ってきたのが、俺=姉貴の事をお姉様と呼んでいる萌だった。
萌の姿は、私服姿で、まだメイド服に着替えてないみたいだった。
「おはよう、じゃあ私は仕事に専念するから」
「あ、はい、私もすぐに着替えてきます」
そう言って萌が控え室の中に入っていく。
俺はそれを確認した後、ホールに出て、接客をする事にした。
店内にいるのは、相変わらず男ばっかりで、女性客がほとんどいなく、気持ち悪い声色で、店員を呼んでいたりしている。
「由紀ちゅわーーん」
とか聞こえてきたので、とりあえず作り笑顔で「はい」と言った後
呼んだ客の所に向かった。
呼んだ客は、凄く太った男で、汗が額やら首筋やら、てかてかと光っている。
うわ……めっちゃ暑苦しくないか?こいつ……
これでも一応お客なので、俺は
「ご注文は何でしょうか?ご主人様」
そう言うと
「じゃ、じゃあ……この魅惑のパッションフルーツをた、頼むぞな」
「かしこまりました、少々お待ちくださいませ」
そう言って長くいたくなかったので、すぐに移動する事にした。
厨房に行き、注文を言って、数分後、品物が出てきたので、お盆の上に載せて、さっきの客の所に持っていく。
「お待たせ致しました、魅惑のパッションフルーツとなります」
「あ、ありがと……そ、その食べさせてくれないかな?」
「…………かしこまりました」
内心嫌だったが、俺はスプーンを持って
「ご主人様、あーん」
と可愛い風に言ってやると、男がキモイ顔で「あーん」とかやっていた。
こいつ……絶対に彼女とかいなそうな感じがするな……
そんな地獄のような時間が過ぎていき、ちびっ子店長の麻衣が
「由紀ちゃん、もうあがっていいよー今までありがとね?」
と言ってきたので、俺は「おつかれさまでした」と言って、控え室に入り
私服に着替える。、
着替え終わった後、マネージャーの志保さんと麻衣に
「今までありがとうございました」
と言うと
「ねえねえ?また由紀ちゃんが仕事できなかったら、またやってみるのもいいんじゃなーい?」
「店長……それは言わない方がいいかと、思いますよ?」
「だってーここまで由紀ちゃんに似てるって、結構凄い事だよ~?」
「それはそうですが……あの、優希君?また、代役としてやりたいと思ってますか?」
「いや…………出来ればやりたくないですね」
「そうですか……ほら、優希君もこう言ってますし、店長の言う事は却下されましたよ」
「ちぇー……ま、いいかぁ……それじゃあ、今日までありがとね?」
「はい、では、さようならです」
そう言って、俺は店を出て、家に戻る事にした。
家の中に入り、自分の部屋に入ってから、ウィッグを取る。
声を普通に戻して、姉貴が帰ってくるのを待つ事にした。
一時間後、「ただいまー」と言う声がして、姉貴が帰ってきたみたいだった。
俺は、姉貴に
「はい、これ」
と、ウィッグを渡すと、姉貴が
「今までありがとね?優希、あ、何だったらまたやってみる?これ装着してさ?美人姉妹として、やるのもありかもよ?」
「何自分で美人とか言ってるんだ?姉貴」
「んー?なにか言ったかしら?」
「いや……とにかく、俺はもう金輪際、やらないからな!」
「ええー?」
こうして、俺の姉貴の代役としての活動が終わったのであった……
後日
「なあ、優希」
「何だよ?真吾」
「俺さ?前に行ったメイド喫茶に行ってみたんだけどさ……で、好きな子を見ていたんだけど……なーんか雰囲気が違っていたんだよな……なんていうか……別人?って感じでさ?もしかしてさ?双子の妹とかが代役でやってたんじゃないかと思うんだ、優希はどう思う」
「んな事俺が知るかぁぁぁ!!」
~FIN~




