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整形美人<16>

ダブルとは云え、大の男が三人。神楽くんがベッドへ上がると、ぎしりと鳴った。

「止めろッ、松平。お前、何考えてるんだ?」

自分の好きな相手が、目の前で他の男とヤろうって云うんだぞ?

「一度でいいんだ。それで神楽くんは…」

「だからって、お前はそれでいいのか?」

俺はもがきながら、松平を怒鳴りつける。一度だけだと云われて納得できるか!

「真田さん」

声を掛けられて、ぎくりとする。神楽くんの整った顔が、俺のすぐ近くにあった。

顎を救い上げられ、唇が重なってくる。

整った顔とすべらかな感触の所為か、男とキスをしているような嫌悪感は無かった。

だが、無理やりに違いない。

唇が離れたところで神楽くんを睨みつける。

「往生際が悪いですね」

「好きでも無い奴とやれないと云う程、ガキじゃないが、縛られたままって云う状態は不本意なんでな」

「でも、縛らないと、貴方はきっと逃げますよ」

「逃げると思うなら、俺をその気にさせちゃどうだ?」

挑発するようにせせら笑ってみたが、神楽くんは悲しげに目を伏せただけだ。

「残念ながら、俺も初めてです。そこまでのテクニックを期待されても困りますよ」

神楽くんが俺の股間に手を伸ばす。

煽り立てる手に逆らえるほど、俺も枯れてない。しかも、顔だけ見れば神楽くんはそこらの女も敵わないレベルだ。整形の所為で、画一的で作り上げられた感はあるものの、好みと云えないこともない。

「松平。お前、本気でいいんだな?」

気を逸らすために、松平に目をやった。

「ああ。責任は取る」

「アホが!」

そんな悲壮な決意を覗かせるくらいなら、止めりゃいいだろうに。

「生憎、俺も男ははじめてなんでね。萎えた責任は取れないぜ?」

「そんな心配しなくてもいいですよ。別にね」

松平を説得するのは諦めて、改めて神楽くんに向き直った。正直、俺の節操無しの息子が役にたたないことは無いだろうが、一応、そんな格好付けでもさせてもらいたい。

神楽くんの手が、俺のジーンズを脱がせにかかる。筋肉質な俺の身体にまとわりつくジーンズは脱がせにくかったらしい。神楽くんは、ボクサーパンツごと尻だけを脱がせるに留めた。

足にジーンズが絡んで、いよいよもって身動きが取れない。

松平が俺の身体を倒し、肩を押さえつけた。

神楽くんが、ゴムを指にはめ、ローションを手に取る。

「ま、さか」

この時、はじめて俺は自分の勘違いを悟った。

「おいおい、冗談止せよ」

俺の怯えたような視線に、神楽くんがニヤリと笑った。明らかに楽しんでいる。

まとわりついて邪魔なジーンズを何とか脱ごうと、俺はもがいた。急に暴れだした俺を、神楽くんは冷ややかに見ている。

「往生際が悪いんじゃありませんか?」

「カマ掘られるとなったら話は別だ!」

大体、俺のゴツイ身体にその気になる奴の気が知れない!

後ろにいる松平の顔に、頭突きを食らわせ、腕が緩んだ隙にジーンズを脱ぎ捨てようとしたが、バランスを崩して頭から勢いよく床に突っ込んだ。

「そのまま、後ろから押さえつけてください」

ベッドへ引き戻そうとする松平に、神楽くんの無情な声が響く。

床にうつぶせになったままの俺に、松平が馬乗りになった。

「ご協力、ありがとうございます。なるべく優しくしますから」

一瞬、何のことか判らなかったが、情けなく突き出した状態のケツに神楽くんの冷たい手が触れる。

俺は羞恥と情けなさで泣きそうだった。


「本当に一度だけです。俺に勇気をください。姉と戦える気力を」


囁きながら、俺の中に神楽くんが入ってくる。優しくするとの宣言通りに、時間を掛けて、ローションで解された入り口は引きつれるような感覚はあるものの、痛みはさほど無い。

いっそ、痛ければ泣き喚いてやることも出来たのに。

薄いゴム越しの神楽くんの律動が、やけにリアルだ。

俺はもう正常な思考をどっかへ飛ばしていた。

ぽたりとシャツ越しに神楽くんの汗が落ちるのを感じた。


ずるりと身体から神楽くんが出て行く。

その妙にリアルな感触に、俺はぞくりと身体を震わせた。

「ありがとうございます」

脱力しきった俺のこめかみに、神楽くんのキスが落ちる。

神楽くんの唇が俺に触れた瞬間、今まで強張っていたのが嘘の様に、払いのけ俺は咄嗟に身を引いていた。

それを神楽くんは悲しげに見つめ、開きかけた唇をきゅっと引き結ぶ。

そのまま背を向けた神楽くんが部屋から出て行く音に、俺は詰めていた息を吐き出した。

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