残酷な才能
これ、マジかと思いますか。
純三が、小説家になろうというサイトを利用する楽しみは
いくつかある。
まず、自作を公開して誰に読んでもらい、上手く行けば感想が欲しい。
それと誰かの作品を読んで楽しみたい。面白いと思ったのには感想を書き、
作者の反応を見たい。
そして、互いの作品を読み合って、交流するのを楽しみたい。
とにかく、自作を読んでもらうため、という気持ちもあり、相手の作品に感想を残す。
半分以上が、読んでもらって感謝しているとコメントしてくれる。
正直、純三はこっちが読んだんだから、あなたも僕のを読んで感想書いてよ、と虫の良い
ことを考えるが、現実は厳しい。
純三は、小説家になろうのトップ画面の新作短編を見て、気になった作品を読む
のが楽しみで、好感が持てたのには感想を残している。
そんな中に彼はいる。仮にAとしておこう。
Aの作品は親しみやすく良い感じだなと感じ、読み進めていくと、プロ作家の名をあげ、
その人の甥だと書いてある。
マジかよ。純三は、そのプロ作家が好きなのでニヤリとする。
初めは作品のネタで甥を名乗っているのかと思っていたが、文章の質というか読後感、
手触り? の質の良さからしで、上質なのは間違いない。
そして何よりAは、プロ作家と同じ名字で、本当に甥だと書いている。
おいおい、マジかよとAの作品を読む。
確かに、滑らかな文章でプロ作家の親戚かもしれない、純三はそんな気がしてきた。
Aは、ほとんど伯父のプロ作家を読んでないと書いて、それも本当かもしれない。
他人の作品を読む習慣がないのだろう。
文芸に限らず芸術って、努力とか個人の意思の強さではどうしようもない物だと、純三は
思う。才能は不公平だ。だから面白いんだ。それにプロ志望で書いたからってプロ作家に
なれたなら世の中、小説家だらけになる。
気が向いたから文章を書いて、それが商業雑誌に載るレベルかもしれないんだから、Aを
凄いなあと憧れる。純三は、Aの作品への本気の感想として、サインもらいに行って良いかと、
書いた。
と同時に、何年も書いて一向に上手くなれない、自分の不甲斐なさを感じるのだった。
「俺、もう死のうかな。馬鹿らしい。嫌になっちゃった」純三は、思わず老母にこう言い、
力なく笑う。
「なに言ってんだ。まぁこれ飲め」婆さんの淹れたお茶は温かく美味い。
純三は、不意に目に涙が浮かんで来た。
読んでくれてありがとうねm(__)m
マジなんです(笑)




