3 謀攻
1.まずは戦わないで勝つ方法をさがす
戦わないで勝つことが最高だ。だから、戦い方のランキングでは、トップは謀略となる。どうすれば敵が自滅するかを考えることだ。
2番は、外交。仲間の多いほうが勝ちやすい。
3番は、武力。力ずくで戦うと、力の強いほうが勝つ。
最悪なのは、敵の守りの固いところを攻めること。
2.勝ちやすく、負けにくい戦い方をする
力ずくで戦うしかないなら、こうする。
①自分が強いなら、攻めに出る。
②力が互角なら、攻めたり、守ったり。
③自分が弱いなら、守りを固める。
こんなふうに勝ちやすい戦い方、負けにくい戦い方をするんだ。
3.そこのことは、そこにいる人のまかせる
現場にいない人には、現場のことが分からないから、正しく指揮できない。
だから、現場にいない人の評論なんか気にしないで、現場にいる人の意見に従ったほうがいい。
4.相手を知り、自分を知り、勝ち目を知る
これから戦うぞというときには、つぎの5つが大切だ。
①戦えるかどうかをわかっている。
②多いほうがよいか、少ないほうがよいか、正しく判断できる。
③みんなの心が1つになっている。
④きちんと準備をして、敵のスキをねらっている。
⑤現場のリーダーがすぐれ、現場にいないトップが口出しをしない。
以上ができたら、相手を知り、自分を知ることができて、勝ち目もわかる。
『孫子』謀攻篇(全文訳)
孫子が言いました。
そもそも用兵の原則としては、戦うことなく無傷のままで敵国を降伏させることが上等で、戦って敵国を降伏させるのは二番です。
戦うことなく無傷のままで敵の軍団を降伏させることが上等で、戦って敵の軍団を降伏させるのは二番です。
戦うことなく無傷のまま敵の旅団を降伏させることが上等で、戦って敵の旅団を降伏させるのは二番です。
戦うことなく無傷のまま敵の大隊を降伏させることが上等で、戦って敵の大隊を降伏させるのは二番です。
戦うことなく無傷のまま敵の小隊を降伏させることが上等で、戦って敵の小隊を降伏させるのは二番です。
そういうわけで、連戦連勝することは最善ではありません。戦わないで敵の兵隊を屈服させることが最善です。
ですから、敵の策謀をうち破るのが最善です。敵の外交をうち破るのは次善です。敵の軍隊をうち破るのは三番目です。敵の城を攻めるのは最悪です。
城を攻める方法としては、櫓(大きい盾)、轒轀(城を攻めるための装甲車)、その器械(城を攻めるための道具)を整備するのは、三カ月をめどにして終了します□。距闉(敵の城内を監視するために土を盛り上げて作った見張り台)は、さらに三カ月をめどにして完了します。将軍がイライラをこらえきれないで、蟻附(アリのように群がって城壁をよじ登ること)を命じ、兵士の3分の1を戦死させても、城が陥落しないというのは、城を攻めることにともなう災いです。
ですから、用兵のうまい人は、敵の兵士を屈服させたとしても、戦ったわけではありません。敵の城を陥落させたとしても、攻めたわけではありません。敵の国を敗北させたとしても、長引かせたわけではありません。必ず無傷で勝つ方法を使って天下において争います。
ですから、兵士は疲れませんし、利益は全うされます。以上が謀攻(謀略によって攻撃すること)の原則です。
用兵の原則としては、こちらの兵力が十倍のときには敵を囲みます。五倍のときには敵を攻めます。二倍のときには敵を分けます。同等のときにはしっかりと敵と戦います。少ないときにはしっかりと敵から逃げます。かなわないときにはしっかりと敵を避けます。
ですから、兵力が小さいのに強硬なら、兵力の大きい相手のえじきとなるだけです。
そもそも将軍とは、国の補佐役です。補佐がゆきとどいているときには、国は必ず強くなります。補佐にぬかりがあるときには、国は必ず弱くなります。
ですから、軍隊が君主のために悩まされる原因は3つあります。
①君主が進軍すべきでないことを知らないくせに進軍を命令したり、退却すべきでないことを知らないくせに退却を命令したりするなら、軍隊の活動を阻害します。
②君主が軍隊の現状について知らないくせに、将軍と同じように軍隊を管理しようとするなら、兵士たちは惑います。
③君主が軍隊の戦法について知らないくせに、将軍と同じように軍隊を指揮するなら、兵士たちは疑います。全軍が惑うようになり、疑うようになったときには、諸侯からの圧力が加えられるようになります。これが「みずから軍隊を乱して、敵を勝たせる」と言うものです。
ですから、勝てることを知るためには、5つのことがあります。
①敵と戦えるか、戦えないかを知っているほうが勝ちます。
②多数を用いるべきか、少数を用いるべきかを分かっているほうが勝ちます。
③上の者と下の者とが心を一つにしているほうが勝ちます。
④準備をととのえ、相手がスキを見せるのを待つほうが勝ちます。
⑤将軍が有能で、君主が現場のことによけいな口出しをしないほうが勝ちます。以上の5つのことは、勝てることを知る方法です。
ですから、「相手を知り、自分を知れば、いくら戦っても危機にみまわれることはない。相手知らなくても、自分を知っていれば、勝ったり負けたりする。相手を知らず、自分を知らなければ、戦うたびごとに必ず敗北する」と言われるのです。




