13 火攻
1.敵が戦いに使うものを使いものにならなくする
火攻めとは、敵が戦いに使うものに火をつけて、使いものにならなくしてしまうことだ。
こうなると、敵は戦いたくても、戦えなくなるから、楽勝できる。
今風に言うなら、黒を白と言いくるめられるくらいの有力者でも、SNSで炎上させられたら、痛い目にあうよね。
火をつけるときのポイントは、2つある。
①燃え上がるようにするため、空気の乾いているときを選ぶ。
②燃え広がるようにするため、風の吹いているときを選ぶ。
つまり、タイミングが大事ってわけだ。
2.火をつけてから、戦いをしかける
火がついたら、すばやく攻めかかるんだけど、敵がおちついているなら、様子を見たほうがいい。
敵の中から火をつけるのが基本だが、外から火をつけられるなら、そうしてもいい。
火をつけるときは、風の向きや強さも考える。トレンドが大事ってわけだ。
ちなみに、どのようなことが起きても、なんとかできるようにするため、あらかじめ準備しておくことも必要だ。
3.戦争は危険だ
滅んだ国は、よみがえらないし、死んだ人は、生きかえらない。
だから、トップは頭にきても、かんたんに戦争を始めてはいけないし、リーダーは憎たらしくても、かんたんに戦いを始めてはいけない。
今はイライラ、ムカムカしていても、そのうちそんな怒りや怨みも消えるものだ。
そういうわけで、クールに損得を考えて、得になるなら戦うし、損になるなら戦わないようにすることが大切なんだ。
孫子が言いました。
火攻めには五種類あります。第一は「火人(野営中の敵に火をかける)」です。第二は「火積(敵の食料に火をかける)」です。第三は「火輜(敵の輸送車に火をかける)」です。第四は「火庫(敵の倉庫に火をかける)」です。第五は「火隊(戦闘中の敵に火をかける)」です。火を使うときには必ず条件があり、条件は必ずふだんから整えておきます。火を燃え上がらせるには、時のよしあしがあります。火を燃え広がらせるには、日のよしあしがあります。よい時は、天気が乾燥している時です。よい日は、月が箕・壁・翼・軫の位置にあるときです。この位置に月がある日は、風が吹きます。
敵の内部で火の手が上がったときには、すばやく外から攻めかかります。火が燃え上がり、敵兵が冷静なら、待機して攻めてはいけません。火を燃えるにまかせ、攻撃できそうなら攻撃し、攻撃できそうにないなら止めます。外から火をつけやすいなら、内部から火をつけるまでもなく、タイミングを見計らって火をつけます。火が風上でついたときには、風下から攻撃してはいけません。昼の風は長く吹き、夜の風はすぐ止まります。およそ軍隊は、必ず5種類の火攻めがもたらす変化を知り、火攻めのポイントをおさえて守備に役立てます。ですから、(敵に大きな損害を与える攻撃方法として火攻めと水攻めがあるわけですが)火を用いて攻撃の助けとする場合、その威力は明らかです。水を用いて攻撃の助けとする場合、その勢いは強力です。ただし、水は、絶つことはできても、奪うことはできません。
そもそも(火攻めや水攻めによって)戦って勝ち、攻めて取り、そして成功したとき、その成果を活用しないのは、悪い結果となります。これを名づけて「むだ使い」と言います。ですから、「賢明な君主は、これを思慮する。優良な将軍は、これを活用する」と言われるのです。利益にならないなら行動を起こしません。成功につながらないなら軍隊を使いません。危険でないなら戦争をしません。君主は敵に対して怒っているからといって、軍事を発動してはいけません。将軍は敵に対して怨みがあるからといって、戦いをしかけてはいけません。利益につながるなら軍隊を使い、利益につながらないなら止めます。そのときは怒っていても、そのうち怒りも消えて、喜ばしい気分になるものです。そのときは怨んでいても、そのうち怨みも消えて、楽しい気分になるものです。しかし、いったん滅んだ国は二度と立ち直りません。いったん死んだ人は二度と生き返りません。ですから、賢明な君主は、軽々しく開戦しないように注意し、優秀な将軍は、軽々しく戦わないように用心するのです。以上が国を安泰にし、軍を保全する方法です。




