8 九変
1.状況におうじて、やり方を変える。
戦うときは、その状況に応じて、やり方を変えることが大切だ。
普通なら「こうする」のが正解でも、状況によっては失敗することもある。だから、ときには非常識でも「こうしない」という決断も必要になる。
マニュアルどおりにすることがつねに正しいわけじゃないんだ。
もし状況にそぐわないことをするなら、ベストポジションに立てない。そんな命令を出されたら、みんなが迷惑する。
2.損得を知り、損得を使いこなす。
まず、状況に応じて、損得も変わるから、損得について、しっかり考える。そうすれば、失敗も、心配もなくなる。
たとえば、冬は寒くてイヤだけど、雪で遊べるので楽しい。こんなふうに、得があるときは損も考え、損があるときは得も考える。
それから、人は損得で動きやすいから、損得についてわかれば、うまく損得を使って人を動かし、有利な状況をつくることができる。
たとえば、相手にとって損になることをすれば、相手をまいらせることができる。なにかあれば訴えるぞと強気でいれば、だれも理不尽なことはしてこないよね。
逆に相手にとって得になることをすれば、相手をふりまわすことができる。先輩にゴマをすって、先輩をいい気にさせて手のひらで転がすみたいにね。
3.敵の性格に応じて、やり方を変える5つの方法
①ガンガン行くぜという人は、挑発すると後先を考えないで動くので、やっつけるのには、ちょうどいい。
②自分だけを守りたい人は、トラブルをさけることを優先してチャレンジしないから、言いなりにさせるのには、ちょうどいい。
③怒りっぽい人は、すぐにかっとなってミスをしやすくなるから、おちょくるのには、ちょうどいい。
④まじめな人は、笑いものにするとあたふたするから、恥をかかせるのには、ちょうどいい。
⑤やさしい人は、人のためにがんばろうとするので、めんどうをかけるのには、ちょうどいい。
『孫子』九変(全文訳)
孫子が言いました。
およそ用兵の原則としては、将軍が君主より命令を受け、軍隊を編成し、兵隊を招集し、対峙して布陣します。(このとき)①散地では、戦ってはいけません。②軽地では、止まってはいけません。③争地では、攻めてはいけません。④交地では、道をふさがれてはいけません。⑤衢地では、諸国と親交を結びます。⑥重地では、物資を取り立てます。⑦泛地では、移動します。⑧囲地では、謀略をめぐらします。⑨死地では、戦います。
(そういうわけで)1道路には使わないほうがよいものもあります。2敵軍には撃たないほうがよいものもあります。3城には攻めないほうがよいものもあります。4土地には争わないほうがよいものもあります。5君主の命令には従わないほうがよいものもあります。
ですから、将軍のうちで、九変(上記①~⑨)の利点を知っている人は、用兵を知っています。将軍のうちで、九変の利点を知らない人は、地形を知っていても、地の利を得られません。兵士を管理するにあたり、九変の方法を知らないなら、五利(上記1~5)を知っていても、人材を有効に活用できません。
そういうわけで、智者が考えるときは、必ず利害の両方について考えるのです。利点があるときには、その不利についても考えるので、事をうまく運べます。また、不利があるときには、その利点についても考えるので、心配を解消できます。
そういうわけで、諸侯を屈服させるには、害になることをします。[諸侯を働かせるには、事業をするように仕向けます。]諸侯を奔走させるには、利益になることで誘導します。
ですから、用兵の原則としては、①敵に侵攻されないのを期待するのではなく、敵が侵攻できない態勢をととのえることが大切です。②敵に攻撃されないのを期待するのではなく、敵が攻撃できない態勢をととのえることが大切です。
ですから、将軍にとって危険なことが、五つあります。
①身の危険をかえりみないなら、殺すことができます。
②身の安全ばかりを考えているなら、捕らえることができます。
③怒りっぽいなら、バカにすることができます。
④まじめすぎるなら、恥をかかせることができます。
⑤やさしすぎるなら、わずらわせることができます。
およそ以上の5つは、将軍の過ちであり、用兵の災いです。軍隊が敗れたり、将軍が殺されたりするのは、以上の五つによるので、明らかにしないといけません。




