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5 兵勢(勢)

挿絵(By みてみん)


1.優勢になるために必要な4つのこと


 ①役割分担を決める。


 ②連絡手段を整える。


 ③あたりまえの方法とあたりまえでない方法を使う。


 ④自分の強みを使って、敵の弱みを攻める。


 こうやって戦うためのコンディションを整のえることによって、自分を優勢にもっていくことができる。


挿絵(By みてみん)


2.常識と非常識を使いこなす


 あたりまえの方法だけじゃなく、あたりまえでない方法も使ってこそ、勝てるんだ。常識ばかりじゃなく、非常識も必要ってこと。


挿絵(By みてみん)


3.勢いよく戦えるようにする方法


 まずは力をたくわえる。


 それから、ねらいをさだめて、タイミングよく力を使う。


挿絵(By みてみん)


4.見せかけを使って有利な状況をつくる


 弱そうに見せかけて敵を油断させれば、勝ちやすくなる。


 そのためには、たくらんだり、そぶりを見せたり、演出したりする。たとえば、先生にあやまるとき、今にも泣きそうな勢いであやまれば、先生に「かわいそう」と思われ、許してもらいやすくなるみたいに。


 こうして敵をあざむき、えさをばらまいて、敵をワナにはめるんだ。


挿絵(By みてみん)


5.おのずと勢いづくようにする。


 転がりやすいものを選んで、転がりやすいところにおけば、おのずと勢いがつく。


 つまり、まずは実力をたくわえ、実力を発揮しやすい環境を選べば、人生も好転していくわけだ。


挿絵(By みてみん)


『孫子』兵勢篇(全文訳)


 大軍を管理するにあたり、あたかも少数のようにスムーズに管理できるのは、きちんと組織だっているからです。


 大軍を戦わせるにあたり、あたかも少数のようにスムーズに戦わせられるのは、命令を伝える手段がととのっているからです。


 全軍の兵隊が敵の攻撃を受けても絶対に負けないようにさせられるのは、奇策と正攻法とをうまく使いこなせるからです。


 攻撃をしかけたとき、あたかも卵に石を投げつけて割るように容易に勝てるのは、こちらの充実した力を使って敵の虚弱なところを攻めるからです。


 およそ戦いにおいては、正攻法で敵にぶつかり、奇策で敵に勝つものです。ですから、うまく奇策を使いこなせる人は、天地のようにきわまりがありません。大河や大海のようにつきることがありません。


 終わってもまた始まるのは、まさに昼夜のくりかえしと同じです。死んでもまた生まれるのは、まさに四季のうつりかわりと同じです。


 音はもともと五音(宮・商・角・徴・羽)にすぎませんが、それらを組み合わせることによって無限の音を出せます。色はもともと五色(青・赤・黄・白・黒)にすぎませんが、それらを組み合わせることによって無限の色を出せます。味はもともと五味(辛・酸・鹹・苦・甘)にすぎませんが、それらを組み合わせることによって無限の味を出せます。(これらと同じように、奇策と正攻法も、組み合わせることによっていろいろな戦い方を無限に生み出せます)。


 戦いの勢いは、奇策と正攻法によって決まります。奇策と正攻法がもたらす変化は、どうにもきわめつくせないものです。奇策から正攻法が生まれたり、正攻法から奇策が生まれたりして、奇策と正攻法とが互いに生みあうわけですが、それは輪のようにつながっていて、つきるところがありません。これをきわめられた人は、はたしてだれかいたでしょうか。


 激流が巨石をも押し流すようになるのは、勢いのたまものです。ワシやタカなどの大きな鳥が襲いかかって、小鳥をあっけなく打ち殺してしまうのは、動きのたまものです。


 そういうわけで、戦いのうまい人は、その勢いは強く、その動きは速いのです。勢いは、弓を思いきり引きしぼるようなものです。動きは、タイミングをみはからって矢を放つようなものです。


 ごちゃごちゃと乱闘になっても、軍隊が乱れません。ぐちゃぐちゃに陣形がくずれても、敵に敗れません。


 本当は治まっているけれど、乱れているように見せかけます。本当は勇ましいけれど、怯えているように見せかけます。本当は強いけれど、弱いように見せかけます。


 治まったり、乱れたりは、組織化にかかっています。勇ましかったり、怯えたりは、勢いにかかっています。強かったり、弱かったりは、軍隊のありようにかかっています。


 ですから、敵を思いどおりに動かせる人は、陽動すれば、敵がそれにひっかかります。エサを与えれば、敵がそれに食いついてきます。以上によって敵を思いどおりに動かし、こちらは兵卒を配置して敵を待ち伏せます。


 ですから、戦いのうまい人は、勢いを頼りにし、個人の活躍には期待しません。ですから、各人にふさわしい役割を与え、うまく勢いに乗せることができます。勢いに乗せることのできる人は、人を戦わせるにあたり、丸太や丸石をころがすようにします。


 木や石の性質として、平地に置けば動きませんが、急坂に置けばおのずと動きます。四角ければ動きませんが、丸ければおのずと動きます。(兵士もこれと同じで、その置かれている状況に応じて、おのずと勢いがついたり、つかなかったりするものですから、おのずと勢いがつく状況に兵士をおくようにします)。


 ですから、うまく人を戦わせる勢いは、高い山の上から石をころがしたときに生じる勢いと同じようなもの(おのずと生じるもの)であり、それがここで言う勢いです。


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