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白い時間を、君に
佐倉が本当に白を必要としたのは、
それから一週間後だった。
終業後のオフィスで、彼女は俯いたまま言った。
「……もう、限界かもしれません」
僕は返事をする前に、少しだけ黙った。
白の中で、今回は三年を使った。泣き止むまで。
呼吸が整うまで。
「考えてもいい」と思えるまで。
現実に戻り、僕は言った。
「今日は、何も決めなくていい。ちゃんと休もう」
それだけだった。
佐倉は何も言わず、
ただ深く息を吸って、ゆっくり吐いた。
「……なんか、
すごく長い時間、
一人で考えてた気がします」
白は、そういうふうに残る。
人に「考える余白」を渡す力。
それが、僕の能力だった。




