絶交
「ちゃんと、忠告したんだ。あとは、あんたの責任だよ。せいぜい、いたぶられるんだな」
わたしの心のスクリーンを、埋め尽くすようにして、凛音の美しい顔が、不快に歪んだ。さらには、その頭が花びらのように、割れ、そこから食虫植物のような、おぞましい触手が伸びてくる。
わたしは、ひっと、小さな悲鳴を上げ、後ろへと飛び退いた。
「ああ。びっくりさせちまって、悪いね。レイシアス人ってさあ、調教するのに、苦労するんだよね」
こんな、凶暴な人格、どうしてわたしの中に生まれたのだろう、とわたしは訝った。レイシアス人を、調教?
そんなことが、できるのだろうか。この広大な宇宙を駆け巡る猟奇的種族を、飼い馴らすことなんて。
「わ、わたしは、行くからね。これからも、久留麻先生の治療を信じて、つ、ついていくから。あ、あんたみたいな、おかしな娘とは、もう、こ、金輪際……」
「何よ? 金輪際? へえ、あんた、難しい言葉、知ってんだね。この、あたしと、絶交しようって。は! 何様だよ、あんた」
凛音が、けらけらと笑った。
もう、我慢できない。
わたしは、意識を閉じた。スクリーンが、暗転するように真っ暗くなって、凛音は、一時的にわたしの意識上から消去される。今後、彼女に呼び出されても、わたしは、もう行くつもりはなかった。
わたしが信じるのは、久留麻先生なのだから。




