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レイシアス人は、狩りをする  作者: 夜羽


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対話その三 明音

 天真爛漫少女、明音は、いつだって唐突に現れる。彼女は、暗いところが微塵もない、純粋無垢な楽天家だ。世界は、善に満ちていて、いつだって、正義が勝つのだと心から信じ切っている。

 明音もまた、わたしの心の反動が生んだ対極人格で、世界の良いところだけを見ると決心した、潔い分裂人格だった。

 そんな、明音にも、久留麻先生のことを聞いてみた。

 明音は、いつもの天真爛漫な笑顔で、そこらへんを跳ね回るようにして踊りながら、わたしを見た。彼女の周りには、いつでも花畑がセット。蝶々が舞い、鳥の囀りが平和を唄っている。

 「素敵」

 彼女は、答える。

 「とっても、素敵よ。すてき、すてき」

 彼女の前に、デフォルメされた久留麻先生がいつの間にか現れ、明音とダンスを踊り始める。花々のかぐわしい香りに満ちた大地の中で、久留麻先生に先導されながらバレリーナのように踊る明音を見て、わたしは、少しだけ嫉妬を覚えた。

 明音は、実際に久留麻先生に、会っているのだろうか?

 わたしは、猜疑心の欠片もない、明音が羨ましかった。他人を信じることが、大切なんだと、明音は教えてくれる。

 でも、わたしは・・・・・・。

 久留麻先生にだって、人間の影の部分を見ようとしてしまう。隠された暴力の影を。

 たとえば、もし、わたしが久留麻先生の奥さんになったとしよう。そんな想像をして、少し、顔が赤らんだが、これは想像の話だ。

 奥さんになって・・・・・・とても、素敵な結婚生活を送ることになる。けれど、たぶん、わたしの心の中では、日ごとに不安が増していく。

 いつか、この人は、暴力を振るうようになるんじゃないか。誰にだってある、暴力性を、このわたしが引き出してしまうんじゃないか。だって、わたしは、本来、愛されるべき親にさえ、暴力を振るわれたのだから。わたしの何かが、男性の暴力性を誘発するのだ。

 そんなふうに。

 思ってしまう。

 そうすると、パニックに陥って、また、ぶくぶくと泡が水中深くから浮上してくるように、新しい人格が生まれるようだ。

 明音は、ずるい。わたしだって、明音になりたい。

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