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俺とボクとの青春譚  作者: あららー
2度目の入学
9/9

戦争の騎士

 俺は政府のために力を使わない。


だがこいつらの今までを間違っているとは言っても無駄だろう。今更その力の使い方が間違っていると言っても、それは心に響かないだろう。


戦争をなくす理由をいくら考えても結局は別ベクトルの力が必要になる。神が地球に与えた色々な物を全て繋ぎ合わせたら、その先には争いが必ずある。


そんな救いようのない事実から、人間は目を背けて生きていかなければならない。気付いたところでそのモヤモヤの解消は、平均100年近くの人間の寿命では叶わないのだから。


だから人は与えられた理不尽な環境に抗うのではなく適応することで、()()な人生を歩んでいく。それは楽に生き抜くには正しい選択だ。


だが、不完全な人間という生物の中には時折、適応できない種類の人間が生まれる。社会不適合だとか、精神疾患だとか異常者の烙印を押される人間。


環境がそうしたのか、生まれた時からそうだったのかは分からない。俺はいろんなことに気付く人間だった。他人からは考えすぎだとか、心配しすぎだとか言われるが、俺はそう思わない。


とある人間が言った、みんな違ってみんないい。


俺だってできるならそう思いたかった。だが、その違いの理不尽さを感じる側に生まれてきた。学校生活では、友達と思ってたやつにも格下扱いされるような。


その見下してくる奴らを恨めばこの理不尽さに納得できるのか?いや無理だろう。にんげんの本能とも言えるその理不尽を捻じ曲げることはできない。その心を持たない人間が仮にいたとして、その人間が何をすればその本能は無くなるのか。


きっと何をしても無駄だろう。人を見下す人間を見下す人間がいるその繰り返しでしかない。だからそれに気付かない人間が幸せに生きていく。その感情を向ける側にしろ向けられる側にしろ、それに気付くことさえなければ無いものとできる。


俺はそういう理不尽に気付いた上に、その解決方法は自分が気付かない、気にしないこと。または、自分がまた格下を見つけて心の安定を得ることだということに気が付いた。じゃあ俺は生まれた時から今の俺になるしかなかったということなのか。


そう考えていた時に、旋という別の世界線の俺に会った。その可能性に触れた時に、俺のその考えが否定されたように感じて、嬉しくなった。生まれた時に同じ人間だったとしても、人生が違うだけでこんなにも違う人間になるんだと。


それと同時に、今の俺はもうこうはなれないんだという理不尽さにも気付いた。


だけど、違かった。その理不尽は同時に変わるチャンスもくれた。だから、俺は今までの理不尽もこれからの理不尽も全てをぶっ壊す。例え、世界の形を捻じ曲げることになっても。身の丈に合わない望みだとしても。


ーーー


「じゃあ今から、律君の理解者を見てみるの?」

端にいた女教師が言う。


「気になるのは分かるが、今日はそのために集まったのではない。本題に入るぞ。」

ここにいる誰よりも屈強な男がそう言って話し始めた。


「ここにいる理解者をもつ生徒達には、午後から別のカリキュラムを受けてもらおう。」


戦争の騎士(ナイトオブウォー)育成計画


この計画は全国十校で進めるものとする。


第1フェーズ 各校で理解者を使った戦闘のトーナメント戦を行う。ランクを明確なものとする。


第2フェーズ トーナメントにおいて各校一位のものに戦争の騎士の称号を与える。


第3フェーズ 直接戦争地で戦い、戦果によって報酬を得られる。


一年間で3度の第1フェーズを行った後、第2フェーズを行う。第2フェーズに行ったものは、すぐに学校を卒業資格を得る。第3フェーズは卒業後全ての理解者が行くものだが、戦争の騎士となれば早く行くことができる。


「つまり、理解者を持つ俺達は必ず戦争に参加しないといけないと?」


「当たり前だろう。その力は兵器として作られたのだ。しっかり使うべきだろう。」


クズめ。さすがに表からクズだとしっかりと殺したくなるな。


「トーナメントとはいつから行われるのですか?」

背の高いヒョロい男子生徒が質問した。


「一般高校でいう期末試験と同じくらいだ。トーナメントのない期間は、この学校の施設を使って理解者の調整をしろ。」


「ありがとうございます。」


どうやらこの高校はやっぱり、理解者の訓練ルームがあるらしい。あとで奏先生に聞けば教えてくれるだろう。


この集まりは、誰1人名前を聞くことなく終わった。聞いても覚える必要は無いが。だが、奏先生には質問しておくか。


「奏先生。どういうことですか?目的が奏先生と他の人間とじゃ全く違うじゃないですか。」


「あいつらはー、私のことも同類だと思ってるよー。でも、一応研究とか国の力を借りないと出来ないから一緒にいるだけだよー。」


「なるほど、ボクの理解者の力を奴らに見せなかったのは手の内を明かすことになるからですか?」


「それはお父さんたちが残した言葉に従ってるだけだよー。旋君から聞いてないのー?」


聞いていないな。


ー(まだ言えないよー。)


なんか理由があるにしろ、言葉足らずすぎるだろ…そのおかげでスムーズに計画が立てられないんだよな。


「なんか、まだ話せないって言ってます。」


「あー、確かにそうかー。まあとりあえず、君の力が使えないのはお父さん達の遺言みたいなのがあるからだよー。使うのはトーナメントぶっつけ本番になるかもねー。」


まじか…楽しみにしてるんだが…


「じゃあ俺は訓練室使えないんですか?」


「うん、あまり使わないで欲しいー。」


はあ…


「分かりましたよ。」


うまくいかないな…。








 

ありがとうございます。また読んでください。


評価やアドバイス、感想をお待ちしてます。

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