異世界ヒーロー4
奴が笑いながら何度も拳を叩きつけてくる
俺はそれをかわしつつ様子を見る
「いいねぇ!最高だ!!」
奴は笑いながら何度も話しかけてくる
気持ち悪い
「お前は想像以上につまらないな」
俺はそう言った。だけど奴の攻撃はスピードも早く拳を一度でも受ければ普通なら致命傷になるだろう。
それほどの力を持っているにも拘わらず狂った思想に取り憑かれた哀れな男だ。
「本気でいくよぉぉぉ!!」
奴がそう言った後
大気中の水分が蒸発していき周りに巨大な炎の渦が出来上がっていく
「無秩序な炎!!!」
巨大な炎が俺に目掛けて放たれる
地響きを上げながら近づいてくるが
俺はそれを避けず受け止める
ドォォォォォォォォン
村中に音が鳴り響き辺り一面を煙が覆う
「さてどうなったかな」
煙が晴れていき
そこに無傷のヒーローが立つ
奴の炎を受け止められたのは他でもない
この聖剣…いや俺達の能力のおかげだ。
俺達の能力は2つのみ。
その一つは
例外不認定
能力
この剣の所有者を世界は傷つけられない
つまり誰も俺に傷を…ダメージを与えることはできないと言うことだ。
理不尽を払い除ける絶対無敵なヒーローに相応しい能力だ。
そしてもう一つは…
「まさか…君が主人公!?!?!?」
奴が震えながら嬉しそうに言うのが聞こえた
奴の考え方に…気持ち悪いけどその考え方に寄った返答をするのであれば
「そうだな…。もし俺が主人公なら」
「お前は俺の新しい力を披露する為の噛ませだ」
俺達の2つの能力
その最後の1つは
不敗の英雄
能力
相手の能力をコピーでき剣を通し行使する事が可能
「無秩序な炎」
奴に対し奴の技を放った
「うそうそうそうそ!!!」
ドォォォォォォォォン
先程と同じ音が村中に鳴り響く
自分の技に焼かれる。狂った奴には相応しい最期だ
…それから俺は村の皆とまゆの遺体を弔った
その間、何度も泣いたししばらくその場で思い出に浸った。でももう弱気にはならないまゆの想いも背負ってるから
「行かなきゃ…。」
行かなくてはならない
まだしばらくその場にいたい自分の気持ちを押さえ込む
「もう、行くのですか?」
聖剣が女性の姿で目の前に不意に現れた
てか意識の中以外でもその姿で出てこれるのか…
「行くよ。これ以上はウジウジしすぎだってまゆに怒られそうだし」
立ち上がって村を出ようとしたその時。
「いってらっしゃい」
後ろで声が聞こえた気がした
僕は振り返らず答えた
「いってきます」