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俺の妹が色気付いたって?

「c国を先に叩くなんて一応考えがあるんだよね」

 エリンがカガンの頭を確かめるように尋ねた。

「その前にワハイ島を叩いただろ。c国だけ叩いたら僻むじゃないか。バランスを考えないとな」

「バランスを壊しているように思うけど」

「バランスを脅かしているのがc国さ。叩けば以前の状態に戻るだろ」

「なるほどねえ。ところで父上は最近何してるの」

「分からない人だけど、国の事らしいよ」

 その言葉にエリンは少しドキッとした。

 用事がある風を装い、宮中に足を運んだ。国王の宮殿は築200年で国の宝だ。基礎の石垣はさらに数百年古い。同じく古めかしい貴族院と元の元老院がある。宰相の行政院は宮中の前にある。行政院の隣に宰相は住んでいる。

 心の格好をした池に眉目麗しい若者が佇んでいた。父親が無くなったため19歳で貴族院議員になった。若さは際立っていてまさに若様だ。シキアイ議員は池を挟んで歩いているエリンを見つけた。エリンはシキアイに眼を向けて周遊道を歩き近ずく。視線をちっとも外さない。二人の視線は分針のように進みやがてシキアイの元でカチッととまった。

 直前伏せた視線を5cmほど高いシキアイの胸元から上げていく。一時間でも二時間でも見つめ合うことのできる両の瞳は澄んでいて飽きることは無い。お互いの手が求めあい言葉は要らない。暫くは鳩と鯉が二人を囲むばかりだ。

 なぜ長時間見つめ合うことが出来るのだろう。恋人同士以外なら母と幼い子くらいだ。きっと意志とか意識とかがないのだろう。時刻を知らせる宮中の鐘が鳴る。

「執務に戻らなければ」

「そこまで付いていく」


 分かれてエリンが池に戻ると一人の若者が居た。国王の第七子の王子だ。国王は何故か子沢山だった。エリンが近づくとガララギはエリンの両の手を取ると、どこにいっていた? と尋ねた。エリンがうやむやに濁すとガララギは僕の部屋に行こうと手を引いて宮殿に拉致するが如くに連れて行った。古めかしい甲冑や剣が壁に数点あるだけの淋しい部屋だ。窓からは広い庭と城下が見える。青い空と少しの雲が遠くまで見える。

「君の機が見えることが有るよ」

 首都の空は航路の一つになっているから、エリンもお城を見ながら飛ぶ。時に窓から手を振るガララギを認め、翼を振って答えたこともある。暫く窓外を見た後、ガララギはエリンを抱いて、背を反らし顔と胸を観察してから顔を近づけキスをした。エリンはじっと雲を見ていた。王子はキスをして胸に顔を埋めると満足して開放する。

「今度一緒に飛ぼう。戦闘しよう?」

 相手にならないがエリンは頷く。国王一家の所有する機体は年代物だ。中にはプロペラ機もある。王子はアクロバット飛行が好きでかなり上手い。戦闘機パイロットも務まりそうだがプロペラ機が好きでジェット機には乗らない。だからエリンもプロペラ機で戦闘することになる。そんな遊びが出来るのは王子だからで楽しみの時間だった。暫くは熱心に話す王子に付き合うことになる。王子は兄弟の事は話さない。プロペラ機の操縦を熱心に話す。エリンにも勉強になるオタクぶりを発揮する。それは直ぐにエリンに習得されてしまうからガララギは悔しい。

 約束を交わしてから王子は再びエリンを抱いて背を反らし顔と胸を観察してからキスをした。お尻を触られエッと視線がピコッと上を向いたがジッとしていた。エリンは王子をなぜか受け入れる。でも一言も話さなかった。それはいつもの事で、なぜ話さないかエリンにも分からない。王子は一方向の会話に慣れているから可笑しいとは思わない。

 宮殿を後にして振り向くと宮殿は静かだった。宮殿はいつも静かだ。何しに来たんだろう。振り返ってそう思った。さて気合を入れて訓練だ、と腹を叩いた。通勤のバイクを引き出すと轟音を響かせ空港に向かった。首都の爆音は主にエリンの戦闘爆撃機とバイクのものだった。


 ㇿ国は国の東の端で起こっていることは良く分からなかった。偵察機を飛ばして情報収集に励んでいる。撃墜したら怒るだろうな。原潜が無くなっても良く事態が把握できていない彼らも秒で怒るだろうな。建国以来他国の事に頭が一杯で戦争能力にしか興味ない国だ。本当に刺激に敏感で触らぬ神に祟りなしで他国からの腫れ物に触る扱いに少し自尊心を感じて欲しいけど張りぼてでも強さを信奉する国民性は進化することは無い。

 一気に東の半分を奪ってしまえば呆然として反撃も思いつかないだろう。でも占領なんて頭に無いからc国と喧嘩させて半分を献上するのも良いかも知れない。ㇿ国側からミサイルを撃ち込もうかな。c国の首都あたりまで飛ばせば頭に火が付くかもしれない。北極海からが良いかも。何処から飛んできた? なに、北極海! うん良さそう。即座に反撃しよう。何処が良いかな。金じょんの都の沖合位かな。そこから不凍港を狙うなんて頭が良すぎるかな。おそろしやの国だからいきなり核をぶっ放すかもしれないから慎重を要する。一応同盟国同士だからそれはしないだろう。


次回は宇宙将軍

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