告白 4
セリアさんとダンジョンに向かう。
「屋敷を出る時クレアから『私たちはセリアさんを応援してます!頑張ってください!』とか言われてましたが、あれって何のことですか?」
「カミトは気にしなくていい。いずれ分かること」
「……?分かりました」
そんな会話をしつつS級ダンジョン『炎焔』に到着する。
「私はカミトがメルとS級ダンジョン『奈落』を探索した時、自分の不甲斐なさを痛感した」
あの時、20階まではセリアさんとソラも交えたパーティーで探索していたが、21階からはセリアさんとソラの実力では探索することが難しかったため、2人は俺たちに同行できなかった。
その悔しさをバネに暇さえあればダンジョンに潜っていたらしい。
「次こそはカミトと一緒に探索してカミトの力になりたい。その気持ちだけで頑張ってきた。だから今日は私の実力を見てほしい」
「分かりました。しっかりと見させてもらいます」
「ん」
少し嬉しそうに口角を上げたセリアさんが11階を選択し、俺たちは11階へと向かった。
「カミトは『炎焔』を20階まで攻略したと聞いたから本当は21階から潜りたかった。でも私の実力では20階層のフロアボスであるサラマンダーを倒せない」
セリアさんが悔しそうな表情で告げる。
「ですが『炎焔』の11階からはランクAのモンスターばかり出現します。しかも15階からはランクAの上位種も出現するくらいです。それらを相手にソロで戦えるのなら凄すぎですよ」
実際、ランクAの上位種をソロで倒せるのならS級冒険者一歩手前と言っていい状況だ。
あの短期間でかなり努力をしたことが理解できる。
しかし俺の言葉に嬉しそうな顔を見せない。
「私はまだまだ強くなりたい。メルに追いつき、カミトと肩を並べて戦えるくらいに。でも今日はカミトに実力を見てもらうことが大事。だからしっかり見てて」
そう言って歩き出したセリアさんが深紅の双剣を握る。
そんなセリアさんに俺は鑑定を使う。
*****
名前:セリア
年齢:22
レベル:1531
筋力:13953
器用:15979
耐久:13933
俊敏:16000
魔力:13958
知力:15984
※上記のステータスはスキル、称号、武器の効果を含む。
スキル:【身体強化 Lv.MAX】
【俊敏強化 Lv.MAX】
【双剣術 Lv.MAX】
【シーフ】
称号:〈死線を越えた者 Lv.MAX〉
装備:深紅の双剣(全ステータスが1500上昇)
深紅のローブ(全ステータスが1500上昇)
深紅の靴(全ステータスが1500上昇)
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【シーフ】
魔力を消費することで意図した物を奪えることに加え、器用•俊敏•知力のステータスが2000上昇する。
成功率は相手の器用•知力によって変化する。
〈死線を越えた者 Lv.MAX〉
死線を超えた者に与えられる称号。
戦闘時、自身の全ステータスが5,000上昇する。
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一時期、ドクサソリの毒で寝たきりになっており、その毒から復活したことで〈死線を越えた者 Lv.MAX〉を獲得している。
そのため、元々ランクAのモンスターなら1人で討伐できるほどの実力者だったセリアさんが〈死線を越えた者 Lv.MAX〉の効果で全ステータスが5,000上昇し、条件次第ではランクSのモンスターと戦える強さとなった。
(頼もしい限りだ。シーフの能力を使っているところは見たことないが、かなり優秀な能力と聞いている)
そんなことを思っていると「グァァァァァっ!」との方咆哮が目の前から聞こえてきた。
「ミノタウロスですね」
目の前に現れたのはランクAのモンスターであるミノタウロス。
しかもランクAの中では上位に分類される。
「セリアさん、任せてもいいですか?」
「ん、任せて」
そう言ってミノタウロスに特攻する。
「はーっ!」
深紅の双剣を両手に持ち、素早くミノタウロスを刻む。
「速い。それに攻撃の手数が多いな」
見る見るうちにミノタウロスの全身が傷だらけとなる
「グァァァァァっ!」
その痛みに耐えられたいミノタウロスが咆哮を上げた後、持っている斧を振り下ろす。
「遅い」
しかしセリアさんのスピードの方が速く、ミノタウロスの攻撃は空振りに終わる。
「ラスト」
そう呟いたセリアさんが再びミノタウロスの全身を切り刻む。
「グァァァァァっ!」
時間にして数秒。
セリアさんの素早さについていけないミノタウロスが断末魔を上げて魔石となった。
「おーっ!さすがセリアさん!」
俺は手放しでセリアさんを褒める。
「これくらいのモンスターなら楽勝」
“ブイっ!”と両手で可愛くVサインを作るセリアさん。
その後もセリアさんの無双は続き、結局、無傷で数多のモンスターを討伐した。
夕方頃となり俺とセリアさんはダンジョンを後にする。
「カミト。この後暇?」
「はい。予定は何もありませんよ」
「ん。なら少しだけ付き合ってほしいところがある」
とのことで俺はセリアさんについていく。
すると噴水の綺麗な公園にたどり着いた。
「へー、こんな場所があるんですね」
「ん。私のお気に入りスポット」
セリアさんのお気に入りと言うだけあって、何時間でも眺めていられる。
しばらく噴水を眺めていると「カミト」と真剣な表情のセリアさんが話しかけてきた。
「どうしましたか?」
俺はセリアさんの方を向き問いかけると、セリアさんが「すーっ、はーっ」と大きく深呼吸をする。
そして…
「私はカミトが好き。初めて会った時……ううん。助けられた時からカミトのことが好き。5番目の女で構わないから私も婚約者にしてほしい」
真っ直ぐな視線で俺に告白した。