ダンジョンでの訓練 4
飛びついてきたリーシャとレオノーラを力強く抱きしめる。
「さすがカミト様ですわ!」
「カッコ良かったです!カミト様っ!」
リーシャとレオノーラが俺に抱きついた状態で言う。
「ごめんな、不安にさせて。もう大丈夫だから」
そう言って再び力強く抱きしめる。
「いいなぁ……」
「むぅ……」
そんな俺たちを羨ましいそうに見るユメさんと睨むメルさん。
メルさんの睨みにビビりつつも、俺はユメさんを手招きする。
「……?」
首を傾げながら俺に近づくユメさんの頭に手を置き、優しく撫でる。
「ふぁ……」
「ユメさんも怖い思いをしたからな。よく頑張ったよ」
「あ、ありがとうございます……」
そう言って嬉しそうな顔をする。
すると今度はサヤが俺に近づいてくる。
「カミトさん。私も怖かったです」
そしてご丁寧に頭を差し出してくる。
そのためサヤの綺麗な髪に手を置き、優しく撫でる。
「サヤもよく頑張ったな」
「ありがとうございます。カミトさんのナデナデは気持ちいいですね」
「ほんと!?ウチもー!」
それを聞いたシャルちゃんまで俺のもとに来る。
「シャルちゃんもよく頑張ったね」
「ふわぁ……とても気持ち良いです……」
「ははっ、クレアの頭を良く撫でてたからかな」
そう言って俺はシャルちゃんを撫で続ける。
そんな俺たちの側で、サヤがメルさんに話しかけていた。
「カミトさんのナデナデは最高だったよ、お姉ちゃん」
「な、なんで私に言うのよ」
「だって羨ましそうに見てたから」
「そ、そんなことないわよ!」
サヤに指摘され、顔を赤くして否定するメルさん。
「ホント素直じゃないんだから。カミトさーん、お姉ちゃんも頑張ったのでご褒美が必要だと思いませんかー?」
「そうですね。メルさんのおかげでリーシャたちを気にすることなく戦うことができました。俺にできることならご褒美をあげますよ」
サヤの言う通りメルさんの頑張りは素晴らしいものだったので、俺はサヤの提案を聞き入れる。
「ですよね!ならお姉ちゃんにも皆んなのように頭をナデナデしてください!」
「おい。それって俺への死刑宣告だと思うんだが」
男嫌いのメルさんの頭を撫でるとか、自殺志願者しかいないと思う。
「そんなことありませんよ。ねー、お姉ちゃん!?」
「えっ!え、えーっと……そ、そうね。カミトのナデナデがどれほどのものか気になるから……と、特別に撫でさせてあげるわ!」
「あ、ありがとうございます」
よく分からないが特別らしいので、俺はメルさんの頭を撫でることにする。
「はぁ……なんで上から目線なの……」
その様子を見てサヤがため息をつく。
そんなサヤさんを横目に見つつそっぽを向いてるメルさんの赤い髪を触る。
そして優しく撫でる。
「メルさんのおかげでリーシャたちを気にすることなくドラゴンと戦えました。ありがとうございます」
「こ、これくらい大したことないわよ。カミトの方が頑張ったのだから」
だんだんと顔を赤くするメルさんが早口で言う。
「ナイスアイストです、サヤ様」
「前途多難だからね。私がアシストしないと」
「………わたくし、サヤ様の方がメル様のお姉様と思ってしまいそうですわ」
そんなことをコソコソと話していた。
みんなへの頭ナデナデを終えた俺は、何やら楽しそうな話をしている女性陣から離れ、ステータスを確認する。
*****
名前:カミト•ヴィオレ
年齢:18
レベル:5889(902up!)
筋力:37093(2578up!)
器用:36990(2543up!)
耐久:36992(2540up!)
俊敏:37088(2551up!)
魔力:36816(2499up!)
知力:37213(2592up!)
スキル:【剣聖】
【賢者の眼】
称号:〈ジャイアントキリング Lv.4〉
〈無傷の冒険者 Lv.5〉
〈少数精鋭 Lv.1〉
〈S級ダンジョンを踏破した者 Lv.1〉
〈火事場の馬鹿力 Lv.1〉
装備:純黒の長剣(全ステータス4,000上昇)
純黒のコート(全ステータス4,000上昇)
純黒の靴(全ステータス4,000上昇)
※純黒の長剣、純黒のコート、純黒の靴は〈無傷の冒険者 Lv.5〉の効果終了。
*****
(順調に強くなってるようだ)
レベルアップしたステータスを確認し、俺はステータス画面を閉じる。
「じゃあ、ワープゾーンに行こうか。多分、報酬部屋に繋がってるはずだから」
「「報酬部屋!」」
俺の発言にサヤとシャルちゃんが反応する。
リーシャやレオノーラ、ユメさんも早く行きたくてウズウズしているようだ。
そんな5人を引き連れて俺たちはワープゾーンへと足を踏み入れる。
すると目の前に宝箱が1つ用意されており『特殊条件、〈無傷で討伐〉をクリア。報酬部屋へ案内します』とのアナウンスが聞こえてきた。
「やっぱり報酬部屋に辿り着いたか」
「何が入っているか楽しみですわ!」
ワクワクといった様子で生徒5人が宝箱に近づく。
その様子に笑みをこぼしつつ俺は宝箱を開ける。
「おぉ、魔法の杖が出てきたぞ!」
中には黒色の杖が入っており、見るからに強そうな武器だ。
「賢者さん、鑑定!」
『了解しました』
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【強奪の杖】
相手の放った魔法を奪い、使用することができる杖。相手が魔法を発動した時と同量の魔力を消費することで吸収し、吸収した魔法を発動することができる。発動時に魔力は使用しない。吸収できる魔法は最大で5つ。また装備者の全ステータスを3,000上昇させる。
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「お、おぉ……」
「これは凄すぎるわね」
俺と同じく鑑定スキルで杖の性能を確認したメルさんが驚きながら呟いた。