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3人目

 S級ダンジョン『炎焔』に潜った翌日。

 俺は教会へ足を運び、ソラさんが笑顔で皆んなを癒している姿を確認する。


「ソラさんは2、3日で【聖女】スキルをゲットできると言っていた。そろそろゲットしてもおかしくないんだが……」


 そう呟いたタイミングで「やった!遂に達成したーっ!」との声が響き渡る。


「おぉ!遂にゲットしたか!」


 突然、大声を上げたソラさんに列に並んでいる人たちは何事かと驚いているが、俺は無視してソラさんのもとへ向かう。


「あ、カミトくん!遂にゲットしたよ!」

「あぁ、おめでとう。ソラさん」

「えへへ〜、ありがと〜」


 嬉しそうな顔でソラさんが微笑む。


「それでカミトくんには【聖女】スキルの性能を鑑定してほしいんだ」

「あぁ、任せろ」


 俺はソラさんの要望通り、賢者さんに鑑定してもらう。



*****


名前:ソラ

年齢:18

レベル:875

筋力:13492

器用:13532

耐久:13489

俊敏:13521

魔力:17572

知力:17581


スキル:【聖女】


称号:〈聖なる女性 Lv.4〉


装備:なし


※上記のステータスはスキル、称号の効果を含む。


*****


ーーーーー


【聖女】


 全ステータス10,000上昇に加え、500年前、魔王を封印したメンバーの中で回復の達人だった者の戦闘技術を引き継ぐ。


〈聖なる女性 Lv.4〉


 4,000人以上の方に治療を行った者に与えられる称号。

 魔力•知力が4,000上昇し、回復時の治療効果が20%上昇する。


ーーーーー



「バッチリ【聖女】スキルをゲットできてるぞ。そしてステータスも上昇している。ちなみに【聖女】スキルの効果は……」


 と、俺が説明しようとした時、「うっ!」と苦しそうな声を出したソラさんがその場で倒れそうになる。


「ソラさんっ!」


 俺は倒れかけたソラさんを受け止め抱き抱える。

 周囲の人たちもソラさんが倒れたことにパニックを起こしている。


「だ、大丈夫だよ……はぁはぁ……た、ただ頭の中に何かが入ってきただけで……うっ!」


 俺の腕の中で苦しそうな表情をするソラさん。

 その言葉を聞き、俺と同じように500年前、聖女として活躍していた方の記憶が流れ込んでいると判断する。


「大丈夫だ、ソラさん。俺が付いてるから」

「う、うん……ありがと……」


 そう言ってソラさんは気を失った。




 俺はソラさんをお姫様抱っこで教会の中へ運ぶ。

 命に別状はないと分かっているが、好きな人が苦しそうな表情をしている姿を見て心が痛む。


 しばらくソラさんの手を握り側で待機していると「うぅ……」とソラさんが目を開ける。


「ソラさんっ!大丈夫か!?」

「……カミトくん?」

「あぁ!痛いところはないか!?」

「う、うん。大丈夫みたい。ずっと側に居てくれたんだね」

「当たり前だ。ソラさんには伝えたいことがあるんだから」

「ふふっ、告白の返事かな?」


 まだ痛みは残っているだろうが痛そうな表情を隠して笑顔を見せる。


「あぁ。でもこんな時に言うべきではないと思うからソラさんの体調が良くなってからで……」

「ううん、今聞きたい。そのために今日まで頑張ったんだから」


 ソラさんが身体を起こして俺の方を向く。


「分かった」


 その意思を尊重し…


「ソラさん。俺は天真爛漫で優しいソラさんのことが好きだ。俺の婚約者になってくれ」


 真剣な表情で自分の気持ちを伝える。


 その言葉を聞いたソラさんが、先程まで気を失っていたとは思えないほど魅力的な笑顔で…


「はいっ!喜んで!」


 俺の告白に答えてくれた。




 ソラさんの体調が良くなったため、俺とソラさんは屋敷へ向かう。


「やっぱりソラさんも500年前、聖女として活躍してた方の記憶を引き継いだんだ」

「うん!ラティファさんと言ってすごく美人さんだったよ!しかも私と同じくらい胸も小さかった!」

「あはは……」


 ラティファさんの胸が小さかったことが余程嬉しかったんだろう。

 ものすごく嬉しそうな笑顔で言った。


「私、ラティファさんの想いを継いで絶対に魔王を倒すよ」

「そうだな。俺もカインの想いを継いで絶対、魔王を討伐する。一緒に強くなろうな」

「うんっ!それと私のことは『ソラさん』ではなく『ソラ』と呼ぶように!だって私たちはその……こ、婚約者なんだから!」

「そ、そうだな」


 俺は「こほんっ!」と咳払いを挟み、名前を呼ぶ。


「ソラ」

「〜〜〜っ!」


 すると顔が一瞬で真っ赤になる。


「な、なかなか良きだよ……」

「そ、そうか。ありがとう」


 恥ずかしいけど嬉しい。そういった表情を見せる。


 その後も2人で談笑しながら屋敷を目指した。




「ただいま〜」

「お、お邪魔します」

「あ、おかえり!お兄ちゃん!それにソラさんも!」

「久しぶりだね、クレアちゃん!」


 帰って早々、クレアが出迎えてくれる。


「お兄ちゃんとソラさんが一緒にいるってことは……」

「あぁ。今日からソラは俺の婚約者だ」

「よろしくね!クレアちゃん!」

「やったー!」


 両手をあげて、喜びを全身で現すクレア。

 すると俺たちのもとへリーシャとレオノーラがやって来た。


「お噂は耳にしておりますわ、ソラ様。わたくし、第一王女のリーシャと申しますわ」

「妹のレオノーラです」


 美しい所作で自己紹介を行う2人。


「あ、ソ、ソラと言います!今日からカミトくんの婚約者となりましたので……」


 突然の王女様登場に慌てながらソラさんが自己紹介をするが、「緊張しなくてもいいですわ」と言ってリーシャがリラックスさせる。


「わたくし達はこれからカミト様を支える婚約者です。堅苦しい言葉遣いなんていりませんわ」

「その通りです!遠慮なく私たちのことはリーシャ、レオノーラと呼んでください!」


 そう言って2人が笑う。


「ありがとう、リーシャちゃん。レオノーラちゃん」


 先程まで緊張した面持ちだったソラさんが笑みを見せる。


「ではさっそくですが、ソラ様には聞きたいことがありますわ」

「な、何かな?」

「ソラ様はカミト様のどのようなところが好きですか!?」

「えっ!えーっと……」


 レオノーラからの質問に俺をチラッと見たソラさんが照れながら口を開く。


「や、優しくてカッコいいところ……かな?」

「わたくしもそう思いますわ!」

「私もカミト様の優しさとカッコ良さに惹かれて……」


 そう言って3人が俺の好きなところを話し出す。


「ひゅーひゅー」

「茶化さないの」

「あいたっ!」


 ニヤニヤしながら俺を煽ってきたクレアの脳天にチョップを見舞い、俺はリビングへと向かった。

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