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宰相親子への罰 2

「ま、待ってください!俺は……俺は死にたくないっ!」

「私もです!今後、一切、このようなことはしません!約束します!殺さないでください!」


 その後、挨拶を終えた俺たちは場所を移し、現在は俺が褒美をもらった玉座のある部屋に移動している。

 そこで俺によって縛られたニーファ宰相とワルモチが土下座しながら命乞いをしていた。


「それがこの世に残す最後の言葉でいいのかしら?」

「「っ!」」


 ひどく冷たい目をした女王陛下が2人を見下す。


「わ、私は計画を企てただけです!まだ誰も殺してなどいません!それなのに死刑は重すぎます!」

「俺も直接領民を殺してないです!殺したのは冒険者なので死刑になるのはおかしいと思います!」

「はぁ……」


 2人の理解不能な言い分に女王陛下がため息をつく。


「そ、そもそも、私たちを殺したら国が没落してしまいます!この国を存続させるには貴族で最も偉い私の息子、ワルモチとリーシャ様が結婚するしかありません!」

「そ、そうです!俺を殺したら国にとって大きな損害となります!国を存続させるためにも、俺を生かし、リーシャ様と結婚させて子供を産むしかありません!」

「よ、よく言ったワルモチ!な、なんならレオノーラ様もワルモチと結婚して子供を産めばヴェール家の血筋は増え、国は今以上に明るく……」

「ふざけるな!」


 俺は宰相の言葉を遮って声を上げる。


「リーシャ様やレオノーラ様はお前らが生き残るための道具じゃない!2人はどこにでもいる可愛い女の子なんだ!みんなと同じように恋をして好きな人と結婚する!お前らが生き残るために結婚なんてさせるか!」

「「カミト様……」」


 俺の言葉に2人の顔が赤くなる。


「そういうことよ。今更なにを言われても、アナタたちの死刑は変わらないわ」


 女王陛下の意思は固いようで、なにを言っても無駄だろう。


「「くっ……」」

「2人を牢獄へ!数日後、公開処刑にて2人の首を刎ねる!」


 女王陛下の言葉で近くにいた騎士が2人を連れ出す。


「ま、待ってくれ!死にたくないっ!」

「わ、私はこんなところで死ぬわけには……」


 そんなことを言いつつも誰も聞く耳など持っておらず、2人は部屋から連れ出される。


「シャーリー。報告を」

「はっ!」


 “バッ!”と現れたシャーリーさんが女王陛下の目の前で膝をつく。


「女王陛下の命により宰相と手を組んでいた者たちの捕縛は完了しております」


 俺たちが宰相親子の悪事を公にする前に宰相と手を組んでいた者は、女王陛下直轄の組織『シャドウ』が確保に向かっていた。


「また、宰相親子に雇われていた冒険者も捕縛が完了しております」

「ありがとう。全員、牢獄へ連れて行って。数日後、奴隷商人に受け渡し、他国で奴隷として働いてもらうわ」

「かしこまりました」


 そう言ってシャーリーさんが消える。


「ありがとう、カミト。さっきの発言、嬉しかったわ」


 シャーリーさんとのやり取りを終えた女王陛下が俺の元へ来る。


「いえ。2人が道具のように思われているのは納得できなかったので」

「ふふっ、そうね。カミトがビシッと言ってくれて嬉しかったわ」


 女王陛下が我が子を想う母親の顔となる。


「ほら、2人とも。モジモジせずカミトに感謝するのよ」

「あっ!ちょっ……」

「お、お母様っ!」


 女王陛下に背中を押されて2人が俺の前に立つ。

 2人の顔は熱があるのではないかと思うくらい赤くなっており、俺と目を合わせてくれない。


「あ、あのぉ……リーシャ様?それにレオノーラ様も。どうしましたか?」

「え、えーっと……あ、ありがとうございます。わたくし達のために宰相親子の悪事を公にしていただき」

「お、お姉様と私を助けていただき、ありがとうございます」


 未だに顔を赤くしてモジモジしているが、俺の目を見て感謝を伝えてくる。


「いえいえ。2人がワルモチと結婚することにならず良かったです」


 そんな2人に笑顔で応える。


「「〜〜〜っ!」」


 すると、2人が“バッ!”と俺から目を逸らす。


「うぅ……カッコいい……」

「ド、ドキドキしますわ……」


 そして何かを呟く。


「ふふっ、新たに2人の結婚相手を探す必要はなさそうね」

「そうですか?おニ人は王女様なので、婚約者は早々に見つけた方がいいと思いますよ?」


 俺は首を傾げつつ思ったことを口にする。


「………ねぇカミト。貴方、鈍感って良く言われない?」

「え、よく分かりましたね。妹のクレアから何度も言われてるんですよ」

「………はぁ。これは作戦会議が必要かもしれないわね」

「……?」


 何の作戦会議が必要かは理解できないが、かなり大切な会議のようだ。

 そんなことを思いつつ、俺は王宮を後にした。




 数日後、宰相親子の処刑が行われた。

 場所は宰相の領地。

 かなりの領民が見学に来ており、宰相たちへヤジや投石が行われていた。


「痛っ!や、やめて!許してくれっ!」

「いやだっ!死にたくないっ!」

「うるせぇ!お前らは死んでも償いきれねぇ罪を犯したんだ!簡単に死なせると思うなよ!」

「私の味わった苦しみ!その身で受けると良いわ!」


 領民からの不満が止むことなく宰相親子に降り注ぐ。

 そして領民からのヤジや投石を受けた宰相親子は投石によって誰か分からないくらい醜い顔となっている。

 その後、領民の気が済んだタイミングで宰相親子の首が飛んだ。


 その日以降、宰相親子から国を守った俺とメルさんは、国を救った英雄となった。

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