スキルスクロール
カインに自分の決意を伝えたところで、改めて現状を把握する。
「カインの想いを引き継いだ俺は魔王を討伐しなければならない。そのためにはまず強くならないと。それに冒険者になるよう勧めてくれた女性には色々と聞きたいことがある。当面は強くなることと女性を見つけるための情報収集だな」
そう決めた俺は自分のステータスへと視線を移す。
「とにかく、これで俺もスキル持ちだ!まずは念願のスキルゲットを喜ぶか!」
先ほど得た膨大な情報を自分の物にすることができた俺は、スキルをゲットしたことに喜ぶ。
そして、今度は手に持っているスキルスクロールへ視線を動かす。
「さて、次は貰ったスキルスクロールを使って……いや、待てよ?」
俺は手にしている巻物を読もうとしたが、寸前のところで止まる。
「スキルスクロールは売れば金貨数枚はゲットできる代物だ。ここは読まずに売る方が……」
金銭不足に悩まされている俺は手を止めて長考する。
「いや、金貨数枚なんて普通に働いた人の年収並みだ。なら、売らずに自分で使った方が得策だろう。俺は強くならないといけないからな」
そう決めた俺は近くにスライムがいないことを確認して巻物を読む。
すると俺の身体が光だす。
『スキル【賢者の眼】を獲得しました』
「おおっ!強そうなスキルだ!」
さっそく俺は「ステータスオープン」と呟き、自分のステータスを開く。
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名前:カミト•ヴィオレ
年齢:18
レベル:10
筋力:12019(2000up!)
器用:12018(2000up!)
耐久:12022(2000up!)
俊敏:12020(2000up!)
魔力:12017(2000up!)
知力:12023(2000up!)
スキル:【剣聖】
【賢者の眼】(New!)
称号:なし
装備:ボロい短剣
ボロい服
ボロい靴
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「oh、想像以上の強さだった……」
俺は自分のステータスを見て固まる。
【剣聖】スキルよりもステータスが上昇してないため弱いスキルのように感じるが、この上昇率は最強スキルの1つと言っていいだろう。
「【賢者の眼】ってかなりのレアスキルだな。まぁ、連続でスライムを10000体討伐しようとか誰も思わないよな」
そう考えると【賢者の眼】というレアスキルをゲットしたことに納得がいく。
「レベル10って部分に違和感しか感じないステータスとなったが、このステータスならランクAに分類されているモンスターも簡単に倒せるんじゃないか?」
一般的にランクAに分類されているモンスターと戦うには全ステータスの平均値が3000あれば安全に戦えると言われている。
「でもランクSのモンスターは無理かなぁ。実際、ランクSのモンスターを倒せる人って世界に5人しかいないらしいし」
ランクSのモンスターは討伐例が少なく、モンスターのステータスも分かっていない。
1つだけわかっていることは、ランクSのモンスターを討伐できるのは、世界に5人しかいないS級冒険者だけということだ。
「えーっと、能力は……」
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【賢者の眼】
500年前、魔王を封印したメンバーの中で魔法の天才だった者が使用してたスキルの一つ。
視界内のことなら何でも知ることができ、知りたいと思えば全てを知ることができる。ただし未来に関しては3秒先の未来しか分からない。
〔未来視〕
3秒先のことを10秒間だけ確認することができる。クールタイムは1時間。
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「とんでもないスキルだな」
またしても凄まじいスキルを手に入れてしまった。