vsブラックドラゴン 1
俺は迷うことなく隠し通路へ入り、【賢者の眼】によるマップを使用して最短ルートでブラックドラゴンへ向かう。
「賢者さん!女の子はまだ生きてる!?」
『解、まだ生きております』
その言葉に安心しつつも俺はスピードを上げる。
「見えたっ!ドラゴンだ!」
そして通路の先にいるドラゴンを視界に捉える。
「賢者さん!女の子はどこ!?」
『解、ドラゴンの真下です』
「マズイっ!」
俺は全速力で駆けつける。
すると、地面に倒れている女の子と、その女の子に鉤爪でトドメを刺そうとしているドラゴンが見えた。
「間に合えぇぇぇ!!!」
“ドゴッ!”
ドラゴンの鉤爪による攻撃で地面にクレーターが発生する。
ドラゴンは手応えがなかったことに違和感を感じたようで、周囲を見回す。
「ふぅ、間に合った。君、大丈夫?」
ドラゴンに攻撃されそうになった瞬間、地面に倒れていた女の子を一瞬で助けた俺は、腕の中で目をつぶっている女の子に優しく話しかける。
「ふぇっ?あ、あれ?私、生きてる?」
「あぁ、生きてるぞ。よく頑張ったな。ここから先は休んでていいぞ」
俺の言葉を聞いて安心したのか…
「うぅ……うわぁぁぁぁんっ!怖かったっ!死んだと思ったよぉ!!」
「あぁ、安心しろ。俺が来たからには君が死ぬことはないよ」
ドラゴンは俺の登場で困惑しているのか、俺たちを眺めるだけで攻撃してこない。
それなら好都合だと思い、お姫様抱っこしている女の子を、戦いの邪魔にならない場所へ降ろす。
その際、少し余裕が生まれたため、女の子の容姿を確認する。
(待って、すごい美少女やん)
童顔で可愛らしい顔の美少女で、俺と同い年か年下の女の子。
胸は小さいものの、水色の髪を肩の辺りで切り揃えた綺麗な髪と、可愛らしい顔に目を奪われる。
ドラゴンの攻撃で顔や腕に傷が見られ、服は汚れているが、顔立ちは整っており、街中で見かければ10人中10人が見惚れてしまう可愛さだ。
未だに涙を流している女の子を安心させるため、俺は綺麗な水色の髪に手を置く。
「あっ……」
そして、いつもクレアにやってるように優しく頭を撫でる。
「俺は君を守るために来たんだ。だから安心してここで休んでて。俺は君を助けるまで死なないから」
「う、うん。その……助けてくれてありがとうございます」
「それは俺がドラゴンを倒した後に言ってくれると嬉しいな」
俺は笑顔で女の子に言い、ドラゴンの方を向く。
そして頑丈な長剣を取り出す。
「ここからは俺が相手になってやるよ」
こうしてランクSに分類されるブラックドラゴンとの戦いが始まった。
ブラックドラゴンとの戦いが始まる。
俺は心の中で「鑑定」と呟き、ドラゴンの能力を把握する。
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名前:ブラックドラゴン
レベル:5000
筋力:15000
器用:15000
耐久:15000
俊敏:15000
魔力:15000
知力:15000
スキル:【硬化】
【竜の息吹】
【竜の鉤爪】
【威圧】
装備:なし
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「ステータス値は全てにおいてオーガの15倍か。それに対して俺のステータスは…」
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名前:カミト•ヴィオレ
年齢:18
レベル:40(7up!)
筋力:12292(18up!)
器用:12088(18up!)
耐久:12295(17up!)
俊敏:12296(18up!)
魔力:12079(15up!)
知力:12102(19up!)
スキル:【剣聖】
【賢者の眼】
称号:なし
装備:頑丈な長剣(筋力:200上昇)
頑丈な服(耐久:200上昇)
頑丈な靴(俊敏:200上昇)
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「やはりステータスに差があるか」
『希望の花』を探しながらオーガなどのモンスターを倒したため、以前よりもステータスが上昇している。
しかしドラゴンと比べるとステータス的に心許ない。
「だが、思っていたよりもステータスに差がない。これなら、カインの記憶を有効に使えば問題ないぞ。しかも、俺には賢者さんがいる」
俺が貰ったカインの記憶にはドラゴン十数体を相手にして全てのドラゴンを討伐した記憶があるため、そのアドバンテージを活かして戦うことができる。
しかも賢者さん付きだ。
そのため、俺は臆することなくドラゴンを見据える。
「さぁ、討伐開始だ!」
俺は気合を入れるために、大きな声を出した。