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間話 婚約者たちに襲われるカミト

〜ヨルカ視点〜


 メルちゃんがカミトくんの婚約者となり婚約者が7人となったある日のこと。


「シーナ、知ってる?付き合ってる人たちには倦怠期ってものがあるらしいよ」

「倦怠期ですか?」

「うん。恋人の存在に慣れてしまい、相手にドキドキしなくなる時期のことを言うんだって」

「そんな時期があるとは知りませんでした」


 ウチはシーナと秘密の会議をしていた。


「倦怠期とは厄介なものですね」

「うん。しかも必ずと言っていいほど倦怠期はやって来るらしいの。だからカミトくんたちも倦怠期を迎える可能性がある」

「つまりヨルカ様は倦怠期を迎えないよう何かされる予定ですね」

「さすがシーナ!ウチの考えが分かってるぅ!」


 優秀すぎるシーナを抱きしめる。


「だからウチが一肌脱いでみようと思う!シーナはサポートをお願い!」

「お任せください」


 とのことでシーナと作戦会議をした後、作戦を開始した。




 今日もカミトくんは婚約者たちとイチャイチャしながら夜を過ごしている。

 みんな平等に愛しているため、1人辺りの時間は少ないが、婚約者たちは満足しているようで、全く喧嘩が起きない。

 その様子を遠目から眺めながらウチはとある魔法を発動する。


「ファナティシズム」


 この魔法は思考能力が低下し、内なる想いを行動に起こしてしまう魔法。

 ウチはそれを部屋にいる女性限定で発動し、婚約者とクレアちゃんが魔法の効果を受けた。

 ちなみにカミトくんの婚約者以外に効果が出たら困るのでシーナには婚約者以外部屋に入らないよう見張りをお願いしている。


(クレアちゃんも部屋にいるけど……まぁ、大丈夫でしょう!)


 クレアちゃんのみ部屋から追い出すことは出来なかったので、クレアちゃんも効果を受けてもらう。


「さてさて、どうなるか……お、まずはクレアちゃんかー」


 ダンジョンに潜っておらずレベルも低いクレアちゃんは耐性が低く、すぐに効果が現れる。


「お兄ちゃん頭撫でてー」


 トロンとした顔でお兄ちゃんであるカミトくんにすり寄る。


「ク、クレア?どうした?」

「私、お兄ちゃんが最近構ってくれないから寂しいよぉ」


 そう言ってカミトくんに抱きつく。


「クレアちゃんも婚約者たちに負けないくらいカミトくんのことが好きだからね」


 血の繋がりがなければ婚約者の1人になっていただろう。

 それくらいクレアちゃんはお兄ちゃんを好いている。

 クレアちゃんの突然の行動に目を見開いて驚いていたが、クレアちゃんの発言に思うところがあったのか、カミトくんが優しい目をする。


「確かに最近はクレアとゆっくり話す機会もなかったな」


 そう言って優しくクレアちゃんの頭を撫でるカミトくん。


「んん〜っ!」


 頭ナデナデが気持ち良いのか、クレアちゃんが目を細めて蕩けた顔をする。

 そんな2人に今度は年少組であるリーシャちゃんとレオノーラちゃん、ユメちゃんの3人がカミトくんに迫る。


「カミト様、わたくしもカミト様に頭を撫でてほしいですわ」

「私もカミト様ともっとイチャイチャしたいです」

「ユメも構ってくださいね?」

「ちょっ!」


 3人とも思考能力が低下しており、蕩けた顔でカミトくんに迫る。


「お兄ちゃん、手が止まってるー!」

「カミト様、わたくしの頭も撫でてください」

「ユメはカミトさんをぎゅーって抱きしめたいです」

「私もカミト様の温もりを感じたいです」


 そう言ってユメちゃんとレオノーラちゃんがカミトくんを後ろから抱きしめ、リーシャちゃんはカミトくんの手を取り、自分の頭に乗せる。


「み、みんな!どうしたの!?」


 積極的な4人に困惑しているカミトくんだが、しっかりとクレアちゃんとリーシャちゃんの頭を撫でており、撫でられた2人は蕩け顔となっている。

 そしてカミトくんに抱きついているユメちゃんとレオノーラちゃんはカミトくんの匂いを堪能しつつ幸せそうな顔をしている。

 そのため、カミトくんの発言に対して返答がない。


「ルーリエさん!メルさん!クレア達の様子がおかしく……って何してるんですか!?」


 ルーリエちゃんとメルちゃんに助けを求めたカミトくんだが、2人の様子を見て声を上げる。

 何故なら2人が服を脱ぎ始めたから。


「ここは暑いですね。身体がポカポカします」

「そうね。でもカミトなら何とかしてくれるはずよ」


 そう言って下着姿となった2人がカミトくんに迫る。


「うわぁ、相変わらず良いおっぱいしてるね、2人とも」


 ハリのある巨乳がブラジャーから溢れそうで、見てるだけでエッチな気分になる。

 しかもルーリエさんは上下黒の下着を、メルさんは上下紫の下着を身につけているため、より一層エロく見える。

 その思考はカミトくんも同じようで「ふ、2人とも服を着てください!」と大慌てで言っている。


「それは無理ね。だって暑いもん」

「そうですね。なのでカミトさんの手で下着を脱がしてほしいです」

「それは名案ね、ルーリエ」


 どの辺りが名案なのか分からないが、思考能力が低下している2人は名案と思ったようで、カミトくんの目の前にたわわな巨乳を突き出す。


「ほら、はやく私の下着を脱がしなさい」

「身体の火照りが止まりません。私の下着を脱がしてくれますか?もちろん、その先のことをしていただいても構いませんよ」

「そうね。私もカミトが望むならしてあげないこともないわ」

「そ、その先って……」

「ふふっ。もちろん、エッチなことですよ」


 ルーリエちゃんが妖艶や笑みを浮かべながらカミトくんの耳元で囁く。


「〜〜〜っ!」


 ルーリエちゃんの言葉責めによりカミトくんの顔は一瞬で真っ赤となる。


「可愛いですね」

「そんなカミトも新鮮でいいわね」


 目の前で真っ赤になるカミトくんを見てご満悦な2人。


「ほらはやく脱がしなさい」

「私、胸が蒸れて暑苦しいです。はやく楽にしてくれますか?」


 2人がカミトくんとの距離を縮め、ついに2人の巨乳がカミトくんの目と鼻の先となる。

 “ぷるんぷるん”と目の前で揺れる2人の巨乳に一度釘付けとなるカミトくんだが、何とか首を横に向ける。


「セリア!ソラ!ルーリエさんとメルさんもおかしく……って2人とも何してるの!?」


 そして最後の頼みであるセリアちゃんとソラちゃんに助けを求めるが、何故か2人も下着姿となっていた。


「カミト。メルたちとエッチぃことするなら私も混ぜてほしい」

「は、恥ずかしいけど……カ、カミトくんが喜ぶよう頑張るね!」


 どうやら2人は今からエッチぃことが起こると思ったようで、混ぜてもらうために下着姿となったみたいだ。

 セリアちゃんは白の下着で清楚な雰囲気を醸し出し、ソラちゃんは髪色と同じ青色の下着を着ており、控えめに言ってとても可愛い。


(もしかして年長組はカミトくんとエッチぃことがしたいのかな?)


 ファナティシズムとは内なる想いを行動に起こしてしまう魔法。

 全員、カミトくんとイチャイチャしたいという想いは変わらないが、年少組+クレアちゃんは健全なイチャイチャを。

 年長組は大人なイチャイチャをご所望しているようだ。


「ふ、2人とも!今からエッチなことが起こるわけじゃ……」

「スタイルではルーリエとメルに勝てないから私はカミトの喜ぶことをする」

「私もセリアさんと同じくらい頑張るからね」

「って、誰も俺の言葉が届かねぇ!」


 さすがに異常事態が起きていることを把握したみたいでカミトくんが声を上げる。


「賢者さん!皆んなに何が起こってるの!?」


 そして賢者さんにウチがかけた魔法を聞く。


「内なる想い!?それって……んむっ!」


 カミトくんが何かに気づいたようだが、それを言う前にルーリエさんから唇を塞がれる。


「んっ、カミトさん。まだキスが足りません」

「あ、ずるいわよ。私もカミトとキスしたいわ」


 そう言って今度はメルちゃんがカミトくんとキスをする。

 その間に下着姿のセリアちゃんとソラちゃんがカミトくんの両サイドに到着。


「私もカミトとキスしたい」

「カミトくん……」


 そしてカミトくんの両頬に“ちゅっ”と優しいキスをする。


「んー!」

「カミトくんテンパってるねぇ」


 現在の状況に混乱しているようで、全く動かないカミトくんが婚約者たちの人形と化している。

 ちなみに現在の状況はクレアちゃんとリーシャちゃんの頭を撫でてるカミトくんに後ろからユメちゃんとレオノーラちゃんが抱きついている。

 そして両サイドでカミトくんの頬にキスしているセリアちゃんとソラちゃんに、交互でカミトくんの唇を奪い合うルーリエちゃんとメルちゃんという構図だ。

 しかも年長組は下着姿というオマケ付き。


「当初の目的通り、新たな刺激を与えることができたかな」


 カミトくんの理性がゴリゴリ削られているだろうが、婚約者といえど刺激はなければマンネリ化してしまうため、この結果に満足する。


 その後、カミトくんの発狂が屋敷中に響き渡ったが、誰も助けることなく、カミトくんは婚約者たちの人形となり続けた。

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