マサクス領へ
へぇ。優秀な人材ってことは才能あふれる奴らが多いってことか。なら少しは楽しめるかも。表向きには実力を隠して過ごすけどね。
「学園に通うなら帝都に寮があるかはそこに通っている間は過ごすといい。サイトはまだ六歳だからメイドと執事を何人か連れて行ってもいいけど誰を連れてく?」
父様は俺に聞くと俺はもちろん俺についてくれている二人を選ぶ。
「それはアクセクトとアンナを選びます」
「そうか。アクセクトはていたいがアンナに関してはその、なんだ。頑張りなさい」
父様はアンナの名前を出すと残念そうな顔をする。うちじゃアンナの評判は悪いからな。メイドとしては。
「それじゃ今日はゆっくり休んで明日からマサクス領へ向かいなさい。馬車の手配は私がしておくから」
「ありがとうございます。父様」
俺は父様に言った後父様の部屋を出て部屋に向かうと廊下を適当に掃除しているアンナがいた。
「あ、サイト」
「様をつけなさい!様を!」
俺をたまたま見つけたアンナが呼び捨てで俺の名を呼ぶとうちで働いているメイドの長がアンナの頭を軽くこづいていた。
「痛いですよ。メイド長」
「あなたが不敬な態度でいるからですよ。全く。主人に対しそんな態度をとるなど」
「別にいいじゃないですか。仕事はちゃんとしてるんですから」
「どこがですか!掃除が雑すぎます!」
アンナが掃除していた壁をメイド長が手で撫でてほこりをみせていうと
「これくらいいいじゃないですかー。そんなんだといつまでも男できませんよ?」
アンナ。それは禁句だ。案の定メイド長がぶちぎれてる。
「あらあら。口だけはよくまわりますね。しかたありません。教育的指導をしてあげます」
メイド長は指をパチンと鳴らすとアンナは一瞬でメイド長の魔法で腕と足を拘束された。
「あ、ずるいですよ!魔法なんて」
「ずるくありません。ほら。いきますよ。多少はまともにしてあげますから。ではサイト様。お見苦しい光景をお見せしました」
メイド長は俺に頭を下げた後両手両足を拘束したアンナをどこかへ連れて行った。
俺完全に空気とかしてたな。しかしメイド長の魔法はすごいもんだな。拘束魔法ならかなりできる方だと思うな。攻撃魔法はてんでダメらしいけど。
俺はメイド長がアンナを連れて行くのをみた後自分の部屋に戻るとアクセクトが部屋の掃除をしてくれていた。
「サイト様。旦那様からは何と言われたんですか?」
「えーとな。帝都の学園に行かないかって言われてない」
「帝都、ですか?帝都アンカレスの学園ですか」
アクセクトが何やら難しい顔をしている。帝都アンカレスには何かあるのか?
「帝都ではあまりいい噂は聞かないですね。私は一応帝都に知り合いがいて月一連絡したりしているのですが」
あまりいい噂は聞かないか。どうしようか。
「ま、とりあえずは行ってみようか。ちなみに父様からは何人か執事とメイドを連れてくように言われて。アクセクトとアンナを連れてくつもりだよ」
「私とアンナですか。そうですね。それなら安心です。唯一の問題がアンナがちゃんとできるかですね。ま、アンナにはそこまで期待できませんが」
まぁそこはいいだろ。アンナはまぁアンナだし。
「それで帝都にはいつ向かわれるのですか?」
「明日には馬車が来る予定らしい。だから明日には出るけど準備はできそうか?」
「はい。アンナにもそう伝えておきます」
アクセクトがそれだけ言うと俺の部屋から出て行き次の日帝都に向かう準備をした。
次の日俺は起きて支度を整えてからリビングに向かうと身なりをきれいにしたアクセクトと一応メイド服はきれてるけど髪の毛はボサボサで眠そうな顔をしているアンナがいた。
アンナの姿をみて近くにいたメイド長は頭が痛いような顔をしていた。
「ア、アンナ。それでいいのか?」
「え?何のこと?準備ならできてるよ?」
アンナは不思議そうな顔で俺を見るが本人がいいと思うならいいかな。
「サイト様。アンナはこんなメイドですが貴方様に対する態度に関してはちゃんとしています。ですからどうか見捨てたりは」
「大丈夫だよ。アンナを見捨てたりはしないよ。アンナも大事な使用人の一人だからね」
俺はメイド長に言うとメイド長は目に涙を浮かべていたが本人のアンナはかなり眠たそうにしていた。
アンナがあくびしているのをみるとメイド長はまた頭をこづき
「アンナ。しっかりするのですよ」
「はーい。それなりにがんばりまーす」
「はいはもっとちゃんといいなさい!もう。体調とかはくずすんじゃありませんよ」
「メイド長もね。後早く旦那さん見つけなさいな」
アンナが軽く減らず口を言うとメイド長はまたアンナの頭をこづいた。
「それじゃ父様いってきます」
「うむ。元気でな。母さんは少し泣きすぎてここにはこれんが」
......母様には悪いことしたかもね。