番は悪役令嬢?!
サクサク読んでください!
よろしくお願いします!!
ご都合主義なので、高校生でしょうねぇ。くらいのノリで。
あーあ。わりと…っていうより、かなりつまらない人生だったなぁ。
って思ったのに!
これは…異世界転生というやつ?!だろうね。
だって、超美女になってるし。侯爵令嬢?
で、婚約者は王太子殿下?マジ?ってことは私は悪役令嬢ポジションなの?ついてなーい!
悪役令嬢の末路って?斬首とか?公開処刑?
そこは流刑にしてほしいもんだよ…。せめて余生を味わわせてほしいと思う。
前世での享年19歳なのです。
今のところ皇太子との仲は良好みたいだけど…。
このあと、‘聖女’って転生者が召喚されるんだよね。超テンプレ。
で、聖女が学園中のイケメンを味方につけて、私を断罪するんだ。
はぁ、面倒だなぁ。
聖女なら聖女らしく男は一人に絞ってほしいのに、逆ハー狙いとかおかしいけど?
婚約者がいる方でもお構いなしだし。
私は面倒は避けて生活したい。
俺は獣人国レオンハルトの第2皇子ハルト。第1皇子がレオン。第3皇子が生まれてたら名付けはどうすんだよ?ってツッコんだ。親父はハッハッハッと笑ってたけど結構重大な案件だったと思う。
俺は今、番を求めて、留学している。
いたんだけど、はぁ。婚約者がこのコロン王国の王太子ときたもんだ!
流石の俺もコレは政治的にダメだよなぁ?と悟って、手を引こうと思った。
俺はこのまま老いていくんだな…。せめて彼女だけは幸せに!!
その途端この王太子は何だ?いきなり?!
「この場で宣言する!このリーフル=ティーレイン嬢と婚約を破棄し、新たに、このジュンナ嬢と婚約を結ぶ!ジュンナ嬢は聖女だし、反論はあるまい。しかも!しかもだ、リーフル嬢はジュンナ嬢の机に落書きをしたり、ロッカーに刃物で傷をつけたりしたのだ!」
(チョロいわ。ゲームの通りに動いたら逆ハー完成?みたいな?顔面偏差値有力の男子はだいたい私の方についてるし♡)
俺はジュンナ嬢に歩み寄った。
「失礼」
俺はジュンナ嬢の首元でジュンナ嬢の匂いを覚えた。ついでに周りの男たち(有力貴族らしい)の匂いも覚えた。
(えー、何々?イケメンさらにプラス?イヤいいのよぉ。私の逆ハーに入れてあ・げ・る♡)
「殿下に申し上げます。机の落書きからはリーフル嬢の匂いがしないんです。ジュンナ嬢の匂いはしますよ。まぁ、彼女の机だから当然でしょうね。次にロッカーですが、刃物で傷?いつですか?」
「つい2・3日前よ」
「だったら匂いが残っているはずですね。リーフル嬢の匂いがしないんです。不思議ですね?代わりにそこにいらっしゃる騎士団長の御子息の匂いがしました。これは獣人の嗅覚に誓います」
「貴方がやって、それをリーフル嬢のせいにしたの?」
ジュンナ嬢が騎士団長の御子息に問う。なんか知らんが目に涙浮かべとる。
「…」
騎士団長の息子は黙っている。
「騎士たるもの刃物をそのように扱うべきではないと存じます。このことは陛下にもお伝えしたいと…」
俺が言うや否や…
「ジュンナ嬢が俺に指示したんだ。俺の剣で自分のロッカーを傷つけるように!俺だって騎士のはしくれ!剣をそんな風には使いたくなかったんだ。ケド聖女様の指示だし…」
必死だなぁ。
その辺はこいつら3人で片付ければいい話だし、俺に直接問題があるのは…
「ハルト様!おかげで助かりました!」
何が?俺にはこの無駄に元気な聖女様がリーフル嬢を貶めようとしているようにしか見えなかったが。
「どうでもいい。俺には関係ない」
(ツンデレ?クール系なのかしら?どっちにしろ聖女の私のものになるのよ!)
「俺に関係あるのは、リーフル嬢、俺の伴侶になってくれ!貴女が俺の番なんだ!頼む!」
(え?そういう展開なの?ゲームにいなかったキャラだし、攻略の仕方がわからない!!)
「私で良ければ喜んでお慕い申し上げます」
リーフルは、もう、なんでもいい。公開処刑は避けたい!
と思っている。
「では、リーフル嬢は正式に俺、獣人国レオンハルトの第2皇子ハルトの婚約者ということで構いませんね?」
「はい」
「リーフル嬢の承諾ももらった。俺がこの国にいる理由(番を探すため)はもうない。よって、リーフル嬢と共に国に帰る。諸々の手続きは部下にやらせる。では、失礼する」
そう言うと、ハルトと私は獣人国へと行った。ハルトは帰った。かな?
獣人国では様々な獣人がいた。
みんなモフモフ♡目の保養。
ハルトの耳とか尾も触りたいけど、一応自粛している。なんとなく許可が必要な予感がする。
「親父―!!俺の番だ!!純ニンゲンのリーフル嬢。よろしくな」
「お前…突然彼女を連れてきたりして、彼女の両親とか説得したのか?」
「あ…。今すぐに行って説得してきます!リーフルはここにいてな~♡」
そう言うと、ハルトはあっと言う間にコロン王国へ行ってしまった。
コロン王国は荒れていた…
王太子の婚約破棄と新たに聖女との婚約。さらに、騎士団長の息子の失態。
加えて王太子が婚約破棄した令嬢が獣人国の王子と婚約。
内政も外交も荒れていた。
そこに獣人王国より第2皇子ハルトがやって来たのだ。
(なになに?やっぱり私の逆ハーに入りたいの?)
「リーフル嬢の実家を教えてほしい」
(なんなの?リーフルリーフルって!!)
「あの女の実家なら没落して平民よ!」
「なぜ、没落したのだ?」
「私が気に入らないからかしら?」
「ふーん、聖女ね~」
(聖女ってスゴイとか思うよね?ねっ?そうでしょ?)
「そりゃどうも」と俺はとっとと平民が暮らすエリアに移動した。
リーフルの匂いがする家を探す!
あの聖女、胡散臭い。神聖さが感じられない。邪な気は感じられるけど。
あの家からリーフルと同じ匂いがする。あの家だ!
「失礼します!」
俺はその家にお邪魔した。
「あぁぁっっ、我が家にはもう売るものなどありません。娘すらどこに行ったのやら…」
と、お義父様が言う。
「いきなり連れて行ってしまって、申し訳ありませんでした!俺のせいです。リーフル嬢は俺…いいえ私の家で無事にいます」
お義母様は憔悴した様子だ。この短い期間に何があったんだ?
「えーと、私は獣人国レオンハルトの第2皇子ハルトと申します。この度、リーフル嬢が私の番と思い、いいえ確実に番です。それで急に獣人国に連れて行ってしまいました。申し訳ありません。つきましては、リーフル嬢と正式にお付き合いをすることを了承して頂きたく参りました」
「皇子様がこんなところに…。こちらこそ、娘がよろしければお願いします」
「それと、提案なのですが…お義父様、お義母様も獣人国で生活をしませんか?ここで何かに怯えて暮らすよりも、良い暮らしを保証します」
「そうねぇ、何故かやってくる金貸しより…」
「私はお金を借りたことなどない!大体その必要がなかったからな。元は高位の貴族だ。下位の貴族ならまだしも…」
「そうよねぇ・・・?」
やっぱり聖女が胡散臭いな。
こうして二人も獣人国に連れてきた。
リーフルにはえらく喜ばれた。
獣人国の国王の親父と兄貴(は皇太子なのか?)にも胡散臭い聖女がコロン王国に居る事を伝えておこう。
「本当に聖女なのか?ただのチヤホヤされてる邪な女じゃないのか?」
兄貴…それは単刀直入というか、バッサリだね…。
「それは俺も思うが…一応召喚されたから。って理由かなぁ?」
「そんな理由で‘聖女’認定されるのか?召喚されるのが極悪人かもしれないじゃないか!」
親父は冷静に局面を見てる感じだな。熱く話してるけど。
「そこがコロン王国の詰めの甘さなんですよねぇ。聖女、婚約者がいる男性にも声かけてるんですよ?あり得ないですよね?普通の貴族でもそこは遠慮しますよ」
獣人国で、俺はリーフルから冤罪をいっぱいかけられていると聞いた。おそらくその全部、裏で聖女が糸を引いてるんだろう。なんて聖女なんだろう?
その頃のコロン王国では…。
国王が頭を抱えていた。
騎士団長の息子が聖女に唆されて、聖女のロッカーに傷をつけ、その罪をリーフル嬢に擦り付けた…。
うーむ、この一件。リーフル嬢は無罪だな。聖女に唆されてというのが問題だ。今代の聖女はそのように人を唆すような人物なのだろうか?
騎士団長の息子はとりあえず自宅謹慎しているようだが、人を唆すような人物は国母に出来ない。
王家の影はどのように見る?
「はっ、口を動かして指示していたようにも、何か書いたものなどで指示したわけでもなさそうです。恐ろしくも禁術の魅了…」
ありうるなぁ。
「よし、現在聖女の取り巻きになっているもの全員に聖女としばらく離れてもらおう。どのような変化が出るのか?もちろんその中にうちの愚息も含む。場所は王都から遠く離れている王家の別荘。魔道具などの持ち込みも禁止。この夏の合宿だと思え。と伝えろ聖女は残るように」
なんなの?皇子とかイケメンたちが王都を離れるじゃない?
つまらないわ。どこかにイケメンはいないのかしら?
しばらくして、戻ってきたがすぐには聖女との面会にならなかった。なぜなら、婚約者がいるものは婚約者に会うのが一番だから。聖女が一番ではなくなっていた。
「これではっきりしたな。聖女はなんらかの方法で自分好みの男を操っている。と」
国王はそのように結論付けた。
それに反論したのは王太子。
「そのように結論付けるには時期尚早かと…」
「何故だ?」
「…」
「特に理由もなし。…か。本当に愚息だな。お前は別に聖女と一緒になってもいい。ただし、お前を廃嫡する!」
「…」
「愚かなトップは国民には不要だ。次期国王にはお前の弟になってもらう、お前よりも聡いからな。聖女というカタガキに惑わされないだろう。私もそれなりに長生きするつもりだし」
王太子は剣に力をこめる。
「いつも、王家の影が見ているという事を肝に銘じて行動することだな」
王太子は膝から崩れ落ちた。
このように国王は聖女の魅了の仕組みを解明し、聖女に王都から離れた修道院に行くように命じた。聖女は嫌がったが、聖女ならば修道院は嫌がる場所ではない。
時に、ハルトとリーフルの二人は獣人国の離れに暮らす事となった。ハルトは第二皇子とはいえ、騎士団に所属しているので、有事の際は心配である。
リーフルの両親は獣人国の城下に家を借りて生活をしているが、何不自由ない。
ハルトとリーフルの間には二人の男の子と一人の女の子が産まれた。
男の子は双子で二人とも、獣人の血を色濃く継いでいて、強くなりそうである。(ハルトが騎士にしようとしている)
女の子はニンゲンの血を色濃く継いでいるようで、モフモフしていない。
どちらにせよ、5人家族は幸せに暮らしています。
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