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お昼休憩!いただきます!

陽葵は午前中は残務や入居者様の安否確認兼名前覚えに追われてあっという間に時間は過ぎていった。


中崎は様子を見ていたが、特に入居者様に関わる時の陽葵の明るい声質に、視線を合わせる所作は光るものがあると感じていた。しかしまだ初日だが、一人一人に向き合いすぎている節があり、業務全体をこなしていく際には、経験則を身につけて割り切るところは割り切らないとではあるかなと判断した。


「さて、立花さん! 今日はお昼介助はいいから自分のお昼ご飯食べてきちゃって!」


「はい! 休憩いただきます!」


陽葵は元気よく返事をし、忘れずお辞儀もして休憩をもらった。食堂に向かい注文していたお昼ご飯を。入居者様と同じメニューなだけあって栄養バランス良さげな健康的なお昼ご飯であった。そしてなにより一食二百円で頂けるのは陽葵にとってハッピーな事だった。ご飯はおかわり自由で陽葵はおかわりしたかったが、まだ初日からではの遠慮があり我慢した。


「あ、立花さん、下膳はこっちに。食べ残しは……無いみたいだけどもしあったらこっつのバケツに」


「あ! 遊沢さん! はい! ありがとうございます!」


遊沢も今日はお昼の食事介助は無かったようだ。食べ終わり下膳で少しまごついていた陽葵を見て助言をくれていた。


「立花さん、どう? 入居者様の名前と顔一致した?」


「っ……! まだ完全には……」


「あ、なら俺はなんだけど、食事席と名前結びつけるのも覚えやすいよ」


「食事席と!」


「ちょい待って、メモ帳一枚貰ってもいい?」


「はい……よっ! びりっと!」


「ども、簡単にだけど食堂のテレビがここだとして、テーブルあって……ちょい待ち」


遊沢はさらさらとペンを動かし、入居者様の食堂の見取り図を書き、そこのテーブルを配置し、入居者様の名前をいつも座る場所に書いていく。


「ほい、雑だけど、全体の配置把握した上で俺的には入居者様の名前と顔一致させるのに役立ったから」


「ありがとうございます! おお、こんな座席の配置なんですね……」


「ということで、まぁ、頑張って」


「はい!」


遊沢は少し素っ気ないような態度ではあったが、このメモは陽葵にとってとても役立つものであった。


「よし! さっそく座席と名前と顔覚えに行くぞ!」


「いやまだ休憩時間だから休んでたらいいのに……あ、おーい」


陽葵は意気揚々とまだ三十分程休憩時間はあるが、新人パワー全開で動いている為、入居者様がお昼を食べている食堂に向かって行ってしまった。


「……俺が新人の時あんな燃えてたっけ?」


遊沢はぽりほりと頭の後ろを書きながらエネルギーの塊みたいな新人陽葵を見送った。



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